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アジア通貨に明暗【フィスコ・コラム】

*09:00JST アジア通貨に明暗【フィスコ・コラム】
米国の引き締め観測を背景に、ドルが他通貨に対し強含む展開が目立ちます。ただ、アジア通貨の中では明暗がくっきり。原油相場の高止まりで内需主導国の通貨は軟調推移が続きます。逆に、人工知能(AI)開発に携わる国はマネー流入から底堅さが目立ちます


今月発表された米国の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)はいずれも予想を上回る内容となり、インフレ圧力が意識されました。それを受け米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の引き締め観測が広がり、ドル買い地合いを強めています。米国とイランの和平協議の行方は不透明で市場心理は悪化。原油相場は引き続き高値圏にあり、ドルに買いが入りやすい地合いが維持されています。


対照的にアジア通貨はドル買いに押される展開です。特に苦戦が目立つのがインド。インド準備銀行(RBI)は断続的なドル売り介入を続けているものの、ルピーは対ドルで過去最安値圏を更新中。インドは原油輸入依存度が高く、原油価格の上昇は貿易赤字拡大に直結。さらに、海外投資家の資金流出も重なり、ドル需要が膨らみやすい状況です。株価は全般的に堅調ながらも、通貨市場では「エネルギー輸入国」である点が難点に。


インドよりも通貨の弱さが意識されるのがインドネシア。米金利上昇局面では海外勢がインドネシア株や国債の持ち高を縮小し、資金をドル建て資産へ戻す動きが出ています。同国はニッケル輸出国である半面、内需拡大で輸入も増加。ドル調達需要が膨らみ、ルピアには下押し圧力がかかっています。そのため、中央銀行は市場介入や金利政策を通じて通貨安を抑制し、急激な下落局面を回避している状況です。


逆に底堅さが際立つのは台湾ドルです。背景には世界的なAI投資ブームがあります。米巨大IT企業によるデータセンター投資が拡大するなか、半導体供給網の中心に位置する台湾には資金流入が継続。一方、韓国ウォンは米金利上昇や海外資金流出の影響は避けられないとはいえ、半導体輸出が支えています。対ドルで上昇基調にはなっていないものの、相対的に下げは限定的と言えるでしょう。


原油高に苦しむ内需国と、AI・半導体関連で外貨を稼ぐ輸出国で、資金の流れに違いが生じています。以前のように「新興国」という括りで一斉に売買されていないところに違いがあります。今後も米金利と原油相場が焦点となる一方、AI関連マネーがどの国へ向かうかで、新興国通貨の明暗はさらに分かれそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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