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共産主義者を追い出す(1)【中国問題グローバル研究所】

*16:55JST 共産主義者を追い出す(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)フレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。


※この論考は9月30日の<Casting out the communists>(※2)の翻訳です。


闇雲な警戒
「共産主義者、マルクス主義者、ファシストを追い出す」――ドナルド・トランプ

共産主義という統治体制が過去1世紀にわたってロシア、中国、北朝鮮などの国民にもたらし、今ももたらし続けている甚大な犠牲は、軽視できるものではない。ただ米国では、共産主義活動が大規模に発生し現実の脅威になったことはない。共和党の政治家たちは、支持基盤を固め愛国心を誇示する手段として、以前から民主党の対立候補を共産主義者と呼んできた。他の先進国から見れば滑稽な言いがかりだ。国民皆保険を支持するだけで相手陣営から共産主義者と呼ばれるのが米国だ。11月の中間選挙が迫る中で好材料に乏しいトランプは、民主党の勢いを食い止めるべくこうした根拠のない非難に走り、縮小しつつある支持基盤の回復を図っている。

共産主義者やマルクス主義者を追放するというトランプの主張(皮肉なことに、トランプと習の国内政策の多くは驚くほどファシスト的だ――両者とも決して認めないだろうが)は目新しいものではないが、トランプが中国共産党総書記である習近平をとりわけ豪華なレッドカーペットで歓迎してからまだ1週間も経っていない。習は紛れもなく共産主義者でありマルクス主義者だ。少なくとも彼自身はそう言い続けている。しかしトランプには伝わっていないようだ。彼は習を強権的な指導者と見なしており、自らが模倣したい人物であり、(少なくともトランプの頭の中では)無限の権力を持ち、自国を絶対的に支配している人物と捉えている。トランプ、習、プーチンこそが世界の偉大な指導者であり、その筆頭はもちろんトランプだ。彼の世界観では自分が二番手になることなどあり得ない。他の格下の独裁者や権威主義者も一目置かれているが、この3人には誰もかなわない。

前回から10年以上を経て実現した習の国賓訪米は、5月にトランプが北京を訪問したことへの返礼だ。国賓訪問や首脳会談は良好な外交関係に不可欠であり、米中間の安定は重要だが、習を歓迎しようというトランプの必死さが窺える。習は訪中したトランプを空港で出迎えなかったが、トランプは自ら空港に出向いた。中国の指導者の訪問に対して異例の行動であり、過去80年の間に数えるほどしかなかった厚遇ぶりだ。3日間にわたる習の訪問は有意義な成果をほとんど生まず、トランプが複数の報道機関に対して癇癪を起こし大統領に対する通常の代表取材を制限したことで、訪問の様子はほとんど中継されなかった。会談の唯一の成果が両国関係の一時的な安定というのでは、あまりにお粗末だ。関税は高いままだが対処可能な水準にあり、レアアースは供給されているが米国側が望むほど円滑ではない。5月と同様、トランプの個人外交は実質的な成果にほとんど結びつかなかった。

ウォール・ストリート・ジャーナルは今月中旬、中国が支配するレアアースの供給・精製網への依存を減らすために、レアアースなどの資源に関して一連の新たな取引が成立していると報じた。これは何年にも及ぶプロセスの重要な一歩だ。この分野で中国を優位に立たせてしまった米国の判断は極めて短絡的だった。その判断を後押ししたのは国家安全保障ではなく経済的利益であり、結果的に中国がこの分野を掌握することになった。中国への依存を減らしつつ中国にレアアースの供給を続けさせることは重要だ。ただ中国を巡るさらに大きな問題からすれば、それは重要ではあっても小さな部分に過ぎない。

5月の会談以来、イランを抑制してホルムズ海峡を開放するために習が何ら有効な手を打っていないのは明らかだ。5月の会談後、トランプは習が喜んで協力し、できることは何でもすると言っていたと述べたが、そうは思えない。トランプが習の話を理解していなかったか、自身の立場を強めるために嘘をついたかのどちらかだろう。いずれも情けない話だが、4か月経った今、中国は米国をほとんど助けておらず、長年のパートナーであるイランへの支援を続けているというのが現実だ。トランプの主張とは異なりイラン軍は破壊されておらず、ドローンの製造を続け、中東全域で米軍の基地・艦船を標的にしている。現代の戦争の経験則として、ドローンが関わっているなら、そのサプライチェーンのどこかに中国がいる。完成品を提供しているわけではなくても、部品を供給しているのは間違いない。また中国はイランに物資を提供するだけでなく、イランが米軍基地を狙うための詳細な衛星画像も提供していると思われる。実に不条理だ。中国は、米国と戦争しているイランが米軍を攻撃できるように積極的に支援しているというのに、米国の大統領は空港で自ら中国の指導者を出迎え、強固な米中関係を称賛し、習を偉大な指導者と呼んでいるのだから。

トランプは10年前、膨らみ続ける米国の政府債務を削減し、中国の脅威に対抗することを公約に掲げて大統領選を戦った。以来、国家債務は倍増している上、米国と戦争状態にあるイランを中国が積極的に支援する中で、トランプは習のために公式晩餐会を開いている。


「共産主義者を追い出す(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。

中国・習主席が訪米 国立公文書館を訪問(写真:AP/アフロ)

(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://grici.or.jp/7605





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