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ドル安チャレンジ政権【フィスコ・コラム】

*09:00JST ドル安チャレンジ政権【フィスコ・コラム】
米トランプ政権の高関税政策を背景に、ドル・円は方向感を欠く展開です。最終的には関税対象国・地域に米国製品に対する市場開放を迫り、自国の貿易赤字を解消するのが狙い。だとすれば目先はドル安の方向ですが、かつてのクリントン政権の失敗も想起されます。

4月のドル・円相場は前月の底堅さとは対照的に、下押しされる場面が目立ちます。米高関税政策は米国内のインフレ圧力を強めるとの見方から、これまでは米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派姿勢後退をにらんだドル買いに振れていました。が、足元はスタグフレーション懸念によりドル売り要因になっています。今月に入り150円半ばをピークに弱含み、直近は145円を下回っています。

トランプ政権は中国に対し相互関税の税率を従来の84%から125%に引き上げ、合成麻薬の流入を理由とする20%の関税と合わせると関税率は145%になります。逆に、日本に対しては、「迅速に交渉を申し出たので優先的に対応する」(ベッセント財務長官)考え。今後の日米貿易交渉は為替がカードになる、と経済紙が伝えています。米国製品に対する市場開放が狙いなら、ドル安・円高でしょう。

外為市場では、アメリカ・日本・ドイツ・フランス・イギリスの先進5カ国(G5)によるドル高是正を目的とした1985年の「プラザ合意」が意識されています。レーガン政権下のアメリカはドル高で打撃を受けた輸出産業の立て直しを図ります。各国は協調して為替市場に介入し、ドル安・他通貨高を誘導することで貿易不均衡の是正を目指しました。それを受け、ドルは240円台から150円台まで値を切り下げました。

トランプ政権が同様の政策運営を進めようとしているのは明らか。ただ、1990年代にクリントン政権はこのドル安政策で失敗しています。ドル安誘導に成功する一方で、金利上昇やインフレ懸念の増大により金融市場の混乱を招いたことから、政策は見直されました。当時のルービン財務長官が「強いドルは国益にかなう」と方針を転換し、それ以降「強いドル政策」がアメリカの基本姿勢となりました。

現在の米国経済はスタグフレーション懸念があるとはいえ、欧州連合(EU)よりも強く、金利は高水準を維持。また、中東や台湾など地政学リスクが解消されないなか、ドル需要は想定ほど低下しないはずです。トランプ政権の手の込んだ為替操作は成果を見込めるでしょうか。そんな市場の思惑にドル・円は揺れているようです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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