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ユーロの巻き返し【フィスコ・コラム】

*09:00JST ユーロの巻き返し【フィスコ・コラム】
ブルガリアが来年1月からユーロを導入する見通しです。ユーロの値動きへの影響は軽微ですが、国際金融市場で存在感が高まる手がかりとなります。ドルの信認が低下するなか、ユーロが再び代替通貨としての輝きを増していくか注目されます。


欧州委員会と欧州中銀(ECB)は6月4日、ブルガリアに対しユーロ導入の基準を満たしたと評価。7月の正式決定を経て、2026年1月から21番目のユーロ加盟国に加わりそうです。ユーロ圏はさらに東方へと拡大。ブルガリアは通貨レフを長らくユーロとペッグさせており、すでに経済面では一定の連動性がありましたが、正式導入により、金融・通貨政策の一体性がさらに強化される見通しです。


ブルガリアは2007年の欧州連合(EU)加盟以来、自国通貨レフからユーロへの移行に取り組んでおり、財政赤字の抑制やインフレ率の安定化など、導入基準の達成に注力してきました。政府債務はGDP比25%前後と域内でも良好な水準にとどまり、通貨の安定性や対外収支も健全と評価されています。ユーロ導入によって金融市場からの信用力が向上するほか、外国直接投資の促進の効果が期待されます。


ユーロは発足当初、ドルの代替通貨として期待されながらも、金融危機や制度的不備によって信認を損ねた時期がありました。近年はECBの対応により安定を回復し、ブルガリアの加盟はその流れを象徴。一方、ドルは高関税政策や財政赤字の拡大、金融政策への政治介入といった要因から信認が低下し、足元では米国債、株、ドルの「トリプル安」が再燃するなど、不安定な値動きが目立ちます。


足元のユーロ・ドルはドル安によって2022年以来3年ぶりの高値水準となる1.15ドル台に押し上げられる場面がありました。ユーロ圏経済はコロナ禍後の回復が遅れ、ECBは政策金利の追加的な引き下げを継続。トランプ政権の高関税政策にも翻弄され、ドルに主導権を握られています。ただ、欧米貿易交渉は延期され、米連邦裁判所の司法判断によってはユーロの買戻しも期待されます。


ブルガリアに続く東欧諸国の動向は、ユーロ再浮上への重要なカギを握るでしょう。数年内の導入を目指すルーマニアのほか、セルビアやモンテネグロなど、EU加盟を目指す国々でもユーロは実質的な準備通貨として流通。一方で、ポーランドのように政治的にユーロ導入に慎重な国もあります。それでも政治的な統合が進めば、ユーロは再び「ドルに代わる通貨」としての存在感を強めるかもしれません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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