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イスラエル通貨に不透明感【フィスコ・コラム】

*09:00JST イスラエル通貨に不透明感【フィスコ・コラム】
イスラエル通貨シェケルの底堅さが目立っています。ドル先安観のほか景気の回復、インフレ高止まりが背景にあるようです。ただ、米トランプ政権の中東政策と歩調を合わせた外交・防衛はもろ刃の剣。中東で孤立を深めつつあることは懸念材料になりそうです。


シェケルは年初からドルに振り回される展開で3.8シェケル台まで下げる場面もありましたが、その後は信認低下のドル売りがサポート。上昇一服後も先月から緩やかに値を上げ、3.3シェケル付近と年初来高値付近で推移しています。イスラエル経済はイランとの戦闘激化で前期比年率-4.0%(修正後)と1年半ぶりのマイナス成長に陥りましたが、短期的な打撃にとどまるとの見方からシェケル売りは限定的です。


実際、イスラエル中銀は8月20日の定例会合で政策金利について13会合連続の4.5%据え置きを決定。同中銀は軍事行動の影響を除けば、プラス成長を維持していたとの見解を示しています。同国の経済指標をみると、全般的に堅調と言えるかもしれません。直近の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.9%と、中銀目標の範囲内に抑えられ、失業率の低下で雇用情勢も改善が示されました。


シェケルの値動きは外交・防衛によっても左右されます。やはり米トランプ政権と接近したことで国際政治上での安定感が増し、ドル資金の裏付けや軍事援助が市場心理を支える構図が鮮明です。アメリカの後ろ盾がある限り、シェケルは強い売り圧力に見舞われたとしても買戻しが入りやすく、極端な通貨安は回避されるでしょう。そうした安心感は、金利の高止まりと相まって為替の底堅さを裏付けます。


半面、アメリカとの一体感からか、ネタニヤフ政権の攻撃的なスタンスは周辺国以外にも敵を作る可能性があります。欧州や湾岸諸国の投資資金が細れば、シェケルの安定は一段と米国依存に傾き、リスクオフ局面では脆弱さを露呈しかねません。安全保障費の増大が財政赤字を押し上げるなかで、国際的な孤立が強まれば市場の信認が揺らぐリスクは高まります。見かけの強さの背後には、長期的な不透明感が積み上がっているのです。


イスラエルは景気の回復やアメリカの支持を背景に、自信を深めているように映ります。しかし、その強気はむしろ国際社会での孤立や財政負担の増大につながらないか、と懸念されます。そうした観点から、パレスチナの国家承認の行方は目先のシェケルの値動きにも響きそうです。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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