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サナエノエンダカ【フィスコ・コラム】

*09:00JST サナエノエンダカ【フィスコ・コラム】
自民党の高市新総裁の就任直後に進んだ円安は、その後円高に転じました。公明党が自民党との連立政権から離脱を突如表明し、新政権発足に不透明感が深まったためです。紆余曲折はなお続いており、政治の不安定化はリスク回避的な円高を招く要因となりそうです。


自民党総裁選の結果を受け10月6日の週は円売り圧力が強まり、ドル・円は148円97銭から一時153円27銭まで急激に水準を切り上げました。しかし、その後は米中貿易摩擦の激化を懸念したドル売りもあり、翌週は150円台に失速。アジア市場で相場を圧迫したのは、公明党が1999年から26年間にわたる自民党との協力関係を解消したことによる、政治情勢の不安定化です。


自民党は臨時国会の首班指名選挙で、自公プラス少数政党により高市政権を発足させる思惑でしたが、公明党に代わる複数のパートナーの支援を受けなければなりません。当初は国民民主党+日本維新の会の新連立により、衆参両院で過半数を目指していたとみられます。一方、野党側は立憲民主党を中心に国民民主党、日本維新の会、公明党が結束すれば、少なくとも衆院では多数派を形成できるとの算段でした。


ところが、自民党、野党との提携について両にらみだった維新の会は共同代表が立憲民主、国民民主との党首会談に臨み、代表が高市氏と会談。結果、自民党に12項目の政策協定を提示し連立体制を模索することになりました。参院では過半数に足りないものの、他の少数政党の協力を取り付けられれば政治情勢の混乱はおおむね収束に向かい、遂に初の女性宰相誕生の見通しです。


とはいえ、今後どのような連立体制となっても、これまでのような自民党主導の安定政権は見込めません。自民党の議席はこの26年間、公明党の支援を受けていたにもかかわらず、衆院で196人まで3割近くも減少しました。定数が現在の465に削減されるなか、議席占有率でみても5割超から4割付近に低下。このペースだと、次の総選挙では自民党の議席占有率が4割を下回るのは間違いないでしょう。


与党の政策運営はますます不安定化するため、政局のたびにリスク回避の円買いが強まるかもしれません。ちょうど30年前も自民・社会・さきがけの3党連立による政策の方向性が定まらず、円は1ドル=79円台と、当時の戦後最高値を記録。現在は円安の巻き戻しですが、一歩間違えれば急激な日本売りにつながりかねません。「高市政権」がそうした円相場のうねりを制御できるのか、期待と不安が交錯しています。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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