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安定感増すカナダドル【フィスコ・コラム】

*09:00JST 安定感増すカナダドル【フィスコ・コラム】
カナダドルは1カ月ほど前から対ドルで上昇基調に転じ、今後も底堅い値動きが予想されます。ドル安が進むなか、対米貿易不安の後退や中銀政策の長期化観測が買い要因。さらに、カーニー政権の安定化で政治リスクは後退し、カナダドル売りは抑制されそうです。


ドル・カナダドルは11月下旬の1.41カナダドル付近から下落(カナダドルは上昇)し、足元は1.37カナダドル台で推移しています。足元で発表された米国の雇用や消費に関する経済指標が低調な内容となり、ドル売りがカナダドルを押し上げた格好です。カナダドルは対米通商摩擦を背景とした今年2月の数年ぶりの安値圏から持ち直しつつあり、2026も回復基調が続くとみられているようです。


足元の経済指標も、カナダドルを下支えしています。今年7-9月期実質GDPは、年率換算で+2.6%と市場予想を上回る伸びを示しました。輸出や政府支出が成長をけん引し、内需には弱さが残るものの、景気後退懸念を和らげる内容と受け止められています。こうした結果を受け、市場ではカナダ銀行(中銀)が緩和姿勢を弱め、政策金利を比較的高い水準で長期化するとの見方が広がりました。


米連邦準備理事会(FRB)が2026年にかけて段階的な利下げを進めるとの観測もあり、米加両国の金利差は縮小方向に向かう状況が続く見込みです。加えて、カーニー政権の盤石さも見逃せません。対中関係の改善を含め、米国以外の国々との関係強化を進める外交姿勢は、対米依存度の引き下げの観点からリスク要因の低減につながるでしょう。そうした政権運営で与党の議席数が過半数に接近しているもようです。


為替市場で政治の平静は通貨を積極的に押し上げるというより、売りを抑制する効果として作用しやすく、カナダドルの場合も底堅さに寄与します。現状を踏まえると、ドル・カナダドルは今後節目の1.35カナダドル、条件次第では1.33カナダドル近辺までのカナダドル高が視野に入ります。大きなトレンドは伴わなくとも、経済指標、金融政策、政治環境の落ち着きから、カナダドルは緩やか上値を切り上げていく展開が続きそうです。


かく乱要因は原油相場でしょう。カナダドルは良好な環境により崩れにくく、原油安が直ちに通貨安に直結する環境ではありません。ただ、2026年にはブラジルやロシアで重要選挙が予定されています。選挙結果が商品市況を押し下げる展開となれば、資源国通貨のカナダドルが一時的に調整する場面もあり得ます。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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