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底堅さ増すタイバーツ【フィスコ・コラム】

*09:00JST 底堅さ増すタイバーツ【フィスコ・コラム】
タイ通貨バーツが2月8日の総選挙後、底堅い値動きが目立ちます。政局流動化が一服する見通しとなり、経済への好影響が期待されるためです。ただ、おなじみの内輪揉めのような政治リスクは払しょくされず、上昇が続くかどうかは情勢次第とみられています。


米トランプ政権の政策運営をめぐる不確実性でドルの信認は低下し、新興国通貨の上昇が目立ちます。バーツもその一つで昨年10月から12月まで対ドルで値を切り上げ、31バーツ付近に浮上。2026年は年初から引き続きドルに振らされる展開ですが、直近高値のレベルを維持しているもようです。2月19日に発表された10-12月期国内総生産(GDP)の伸びが拡大し、バーツ買いの支援材料になりました。


バーツを力強く支えているのは、政治の混迷に歯止めがかかるとの期待感でしょう。国境問題で対立するカンボジアのフン・セン前首相と、当時首相だったペートンタン氏(タクシン元首相の次女)がタイ軍高官を批判したとされる音声が流出し、軍や保守層の反発が強まりました。昨年7月、憲法裁判所はペートンタン氏の解職を命じると「タイ誇り党」党首のアヌティン氏が首相に就任し、下院を解散して総選挙に踏み切りました。


今月8日の総選挙では誇り党が第一党となったものの、単独過半数には届かず。最終的にアヌティン首相は、かつて対立したタクシン派のタイ貢献党と連立政権を発足させる方針を示し、政権の安定確保を優先する形で新体制が固まりました。若者の支持を集めた改革派の国民党は前回から失速したとはいえ、第2党にとどまり、最大野党として汚職撲滅をアピールしていく方針です。


バーツは当面、政治情勢をにらみつつ、底堅さを保つ展開が想定されます。連立政権の枠組みが固まり、短期的な政治空白が回避されたことで、海外投資家の不安はいったん和らいだようです。直近のGDPで示されたように、農業部門は失速気味ではあるものの、政府の景気刺激策の効果もあって、31バーツ台前半でのもみ合いが予想されます。


ただ、タイ固有の政治リスクが完全に解消されたわけではありません。軍、司法、上院の影響力は依然として大きく、政権運営は常に不安定要因を抱えたまま。今回の連立も理念より安定を優先した妥協の産物であり、政策面での一体感がどこまで維持できるか不透明感は拭えないでしょう。そのため、市場では政治リスクを織り込んだ慎重姿勢が続き、バーツはドルに左右される相場展開となりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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