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ラガルドの政治力【フィスコ・コラム】

*09:00JST ラガルドの政治力【フィスコ・コラム】
ラガルド欧州中銀(ECB)総裁の任期途中の退任と、次期フランス大統領選への出馬が取りざたされています。米国の信認低下が進行するなか、欧州連合(EU)の一加盟国の政治情勢にとどまる話題ではありません。欧州の顔として君臨できるか、注目されそうです。


フランスの政治情勢はここ数年、極右勢力の台頭で不透明感が漂い、マクロン政権の政策運営は迷走中。ラガルド氏は現時点では総裁の職務を任期満了まで全うする考えですが、来年4月のフランス大統領選を視野に入れ、同年10月の任期満了前に辞任する方向と報じられました。中道右派の共和党から出馬すれば反EU路線への対抗軸として最有力候補となるため、その動向が関心を集めるでしょう。


折しも、トランプ政権は相互関税を米最高裁により「違憲」とされ、「偉大な米国」をアピールできる強引な通商戦略の再設計を迫られています。一方、公約に掲げていたエプスタイン文書の全面開示について、トランプ大統領は追加公開に否定的な発言が相次ぎ、自身に不都合な事実が含まれているのではないかとの憶測も。説明責任を回避する政権運営への不信感が支持者からも広がり始めました。


約1カ月前にスイスで開催されたダボス会議では、グリーンランドの領有権に言及したトランプ大統領の発言が大きな波紋を呼びました。安全保障や資源を巡る問題を一方的に取り上げたことで、欧州連合(EU)は強く反発。テーマとなった「対話の精神」とは裏腹に、国際協調よりも対立を印象付ける結果となりました。


開催期間中の夕食会におけるスピーチの中でラトニック米商務長官が欧州を厳しく非難した際、ラガルド氏は抗議の意を表し席を立ちました。しかし、基調的なパネルでは「信頼は損なわれたかもしれないが、対話の精神に基づき、失われたものを再構築することが私たちの明確な責務」(報道)との発言で締めくくったといいます。欧米の分断を認めつつ、修復にも努めようとする姿勢が読み取れます。


足元のユーロ・ドル相場に目を向けると、米トランプ政権の不確実性でドル売りに振れやすい地合いです。それでもユーロの上昇が限定的なのは、為替が金融要因だけで動いていないためでしょう。市場は、欧州が対米関係で一枚岩として行動できるのか、その政治的な結束力や発信力を慎重に見極めているようです。ラガルド氏が新しい欧州の顔として米国と対峙できるか、ユーロの長期的な値動きも左右しそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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