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本格円安の入り口【フィスコ・コラム】

*09:00JST 本格円安の入り口【フィスコ・コラム】
ドル・円は1986年に162円を割り込み、その後10年近く円高に突き進んでいきました。40年後の2026年、今度はその水準を上抜け、さらに上値を試す展開です。歴史的な節目は、本格的な円安時代の始まりを告げているのでしょうか。


ドル・円は4月30日に160円70銭台に浮上すると、日本の為替介入で一時155円付近まで急落。ゴールデンウィーク期間中も断続的に円買い介入を繰り返し、戻りを抑えました。三村財務官はそうした値動きから、介入は「意味があった」と振り返りました。ただ、10兆円超の大規模資金を投入したわりに、1カ月ほどで急落前の水準に戻したことについては効果を疑問視する声もあります。


この時の介入は160円台を日本の「防衛ライン」と印象づけ、6月初めから介入への警戒感で戻りのペースはさらに緩慢になっていきました。ただ、米インフレ指標の伸びが加速し、ウォーシュ議長に代わった連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め的な政策をにらみ、目下ドル買い地合いは継続。高市政権による財政悪化懸念、日銀への利上げ牽制により円買いが抑え込まれたこともドルを押し上げました。


そうした背景からドル・円は161円台の時間帯が続き、162円台で介入との見方が広がりました。「いつ為替介入があってもおかしくない」(市場筋)ため、まとまったドル売り・円買いに過剰反応がみられます。が、同水準に上昇しても政府サイドの牽制は型通りのコメントで、逆に上値を試す場面もありました。米7月雇用統計の悪化でドル買い・円売りは一服したものの、ドル・円の下げは限定的です。


振り返ってみると、40年前は全く逆の相場でした。1985年のプラザ合意を受けてドル安・円高が加速し、1986年秋に162円を割り込んだ後も円高の流れは止まりませんでした。その後は150円、130円台へとドル安が進み、1995年には一時79円台まで下落。162円は長期的な円高時代の通過点にすぎず、当時その後の歴史的な円高を予想できた市場参加者は決して多くありませんでした。


1980年代はドルが全般的に売られたため、主要国には協調介入という共通利益がありました。一方、現在はドル全面高というより円独歩安の色彩が強く、日本固有の低金利や海外投資の拡大が相場を押し上げています。このため、1987年のルーブル合意のような国際協調は期待しにくく、円安の流れを変えるには日米金利差の縮小など市場の前提条件が変わる必要があります。


162円は円安局面の終着点ではなく、新たな円安時代の入り口だった--後になって振り返れば、そう位置付けられる可能性もありそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。



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