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プロHD Research Memo(8):2026年12月期に売上高90億円以上、営業利益9億円以上を目指す
2024/06/13 15:28
*15:28JST プロHD Research Memo(8):2026年12月期に売上高90億円以上、営業利益9億円以上を目指す
■プロジェクトホールディングス<9246>の中長期の成長戦略
1. 中期経営計画
同社グループが属するDX市場は拡大基調にある。同社が2024年3月に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」によれば、国内のDX関連投資額は2019年の7,912億円から2030年には約3兆円に達し、年平均成長率13%で成長する。また、DX関連投資の増加はほぼすべての業種に当てはまり、特定の事業・業界にかかわらず市場が拡大する見通しである。国内のDX推進の状況は、約7割の企業が「具体的に取り組んでいる」「具体的に取組を検討している」と回答した一方で、「成果が出ている」とした企業は1割未満に留まっている。DXによるバリューアップの必要性を理解していながらも我が国では人材が大幅に不足しており、DXの取り組みにより目指す姿やアクションを十分に具体化できていないことが考えられる。ただ、大企業を中心に、取り組みの土壌は醸成されつつあると推察される。
こうした市場環境を踏まえ、同社では2022年2月に中期業績目標「TARGET100」を公表していたが、2023年12月期の業績及び足元の状況を踏まえると達成ハードルが極めて高い状況となったことから、新たに3ヶ年業績見通し(2024年12月期~2026年12月期)を公表した。成長戦略の全体像として、「プロジェクト型社会の創出」というミッションの達成に向けて、「人材育成」「事業開発」の2軸を基本戦略として取り組みを進める。すなわち、次世代で活躍するプロフェッショナル人材を輩出する人材育成の観点と、顧客企業を変革するための多様なソリューションを提供するという事業開発の両面からアプローチすることを基本戦略としている。
3ヶ年業績見通しの定量目標については、2024年12月期はそれまでの組織状況を踏まえ、その立て直しと仕込みに注力することで減収減益となる予想だ。その後の2025年12月期以降は再び成長軌道に乗せていくことを計画している。2025年12月期は売上高7,000百万円~8,000百万円、営業利益450百万円~550百万円、EBITDA 750百万円~850百万円を、2026年12月期には売上高9,000百万円~10,000百万円、営業利益900百万円~1,000百万円、EBITDA 1,200百万円~1,300百万円を想定している。
2024年12月期の業績予想は下方修正としたが、現段階では2025年12月期以降の見通しは維持している。2025年12月期以降への影響は精査中であり、年度末に事業状況を踏まえて新たな3ヶ年業績見通しを公表する予定である。
2. 成長戦略
(1) 人材育成
新たな人材定義を策定し評価体系に組み込むとともに、人材育成をミッションとする組織をプロジェクトカンパニーの社内に新設した。この組織が新卒や第2新卒の未経験人材を中心とするポテンシャル人材の立ち上げと、マネージャー人材の育成を担うこととした。人材育成はこれまで営業・案件推進・育成などを総括的に求めていたが、「経営人材」「マネージャー人材」「Professional人材」「Potentional人材」と明確に育成ミッションを持つ組織として切り出した。また、育成観点で実績を有する人材を本部長やエグゼクティブフェローとして登用することにより、人材育成の強化を図る。2024年12月期第1四半期には既に人材育成の実績を豊富に有するシニアクラスの人材を採用するなど、計画に向け着実に進捗している。
(2) 事業開発
中核事業であるデジタルトランスフォーメーション事業におけるコンサルティングを通じて、ビジネス領域を絞らずに幅広く顧客の事業を支援しながら、企業変革の課題ニーズの探索を行い、そのなかで共通項として見えてきた課題に対してソリューションのサービス化・プロダクト化を推進する計画である。
(3) 事業別取り組み
デジタルトランスフォーメーション事業においては、1) 2023年12月期水準の採用を継続しつつ、2) 採用した人材のマネージャーへの育成、3) 離職率の抑制等により、組織規模の拡大を図る計画である。すなわち、離職率を2023年12月期の41%を2026年12月期には15%に抑制することに重点的に取り組み、期末従業員数を同期間に134人を223人に増加させる。またマネージャーの育成により、期末マネージャー数を2023年12月期の19人(従業員数の18.4%)から、2026年12月期には43人(同約20%を維持)を計画する。従業員1人当たりの売上については、2023年12月期の3.41百万円/月から2026年12月期には3.16百万円/月を計画している。2023年12月期には組織に過度の負荷がかかったことへの反省から、本指標については抑制的に計画している。また、参考指標として各期の取引社数及び顧客単価を示している。2023年12月期の取引社数134社、顧客単価34.5百万円/年から、2026年12月期には165社、45.4百万円/年への拡大を目指す。2024年12月期は組織立て直しに注力することから横ばいであるが、以降は継続的に既存顧客に入り込み大口顧客化を推進する方針である。
DX×テクノロジー事業では、採用活動の強化及び離職率の抑制により組織規模の拡大を進める。施策効果の最大化を企図し、グループ内のSES(エンジニアのスキルや労働力を時間単位で提供するサービス)事業を2024年4月にアルトワイズへ集約(プロジェクトテクノロジーズを吸収合併)した。採用強化と離職率の抑制により、期末エンジニア数を2023年12月期の61人から2026年12月期には77人へ拡大する計画である。
(4) 財務戦略・投資戦略
ROEについては、2026年12月期に20%以上を目安に資本効率の向上を図る。中期経営計画では採用やオフィス等の人材投資が先行し利益額が減少するため、ROEは2023年12月期の21.6%から低下する見通しであり、2026年12月期には20%以上の水準回復を目指す。
投資(資金配分)戦略では、成長戦略に照らし採用費や人材育成関連費用、オフィス費用などの人材投資、及び事業開発に資するM&A等に優先的に費用を投下する計画である。
以上のとおり、同社の中期経営計画及びそれを実現するための取り組みは多岐にわたっている。まだスタートしたばかりであるが、シニアクラスの人材確保などの成果が現れている。今後の進捗状況を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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■プロジェクトホールディングス<9246>の中長期の成長戦略
1. 中期経営計画
同社グループが属するDX市場は拡大基調にある。同社が2024年3月に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」によれば、国内のDX関連投資額は2019年の7,912億円から2030年には約3兆円に達し、年平均成長率13%で成長する。また、DX関連投資の増加はほぼすべての業種に当てはまり、特定の事業・業界にかかわらず市場が拡大する見通しである。国内のDX推進の状況は、約7割の企業が「具体的に取り組んでいる」「具体的に取組を検討している」と回答した一方で、「成果が出ている」とした企業は1割未満に留まっている。DXによるバリューアップの必要性を理解していながらも我が国では人材が大幅に不足しており、DXの取り組みにより目指す姿やアクションを十分に具体化できていないことが考えられる。ただ、大企業を中心に、取り組みの土壌は醸成されつつあると推察される。
こうした市場環境を踏まえ、同社では2022年2月に中期業績目標「TARGET100」を公表していたが、2023年12月期の業績及び足元の状況を踏まえると達成ハードルが極めて高い状況となったことから、新たに3ヶ年業績見通し(2024年12月期~2026年12月期)を公表した。成長戦略の全体像として、「プロジェクト型社会の創出」というミッションの達成に向けて、「人材育成」「事業開発」の2軸を基本戦略として取り組みを進める。すなわち、次世代で活躍するプロフェッショナル人材を輩出する人材育成の観点と、顧客企業を変革するための多様なソリューションを提供するという事業開発の両面からアプローチすることを基本戦略としている。
3ヶ年業績見通しの定量目標については、2024年12月期はそれまでの組織状況を踏まえ、その立て直しと仕込みに注力することで減収減益となる予想だ。その後の2025年12月期以降は再び成長軌道に乗せていくことを計画している。2025年12月期は売上高7,000百万円~8,000百万円、営業利益450百万円~550百万円、EBITDA 750百万円~850百万円を、2026年12月期には売上高9,000百万円~10,000百万円、営業利益900百万円~1,000百万円、EBITDA 1,200百万円~1,300百万円を想定している。
2024年12月期の業績予想は下方修正としたが、現段階では2025年12月期以降の見通しは維持している。2025年12月期以降への影響は精査中であり、年度末に事業状況を踏まえて新たな3ヶ年業績見通しを公表する予定である。
2. 成長戦略
(1) 人材育成
新たな人材定義を策定し評価体系に組み込むとともに、人材育成をミッションとする組織をプロジェクトカンパニーの社内に新設した。この組織が新卒や第2新卒の未経験人材を中心とするポテンシャル人材の立ち上げと、マネージャー人材の育成を担うこととした。人材育成はこれまで営業・案件推進・育成などを総括的に求めていたが、「経営人材」「マネージャー人材」「Professional人材」「Potentional人材」と明確に育成ミッションを持つ組織として切り出した。また、育成観点で実績を有する人材を本部長やエグゼクティブフェローとして登用することにより、人材育成の強化を図る。2024年12月期第1四半期には既に人材育成の実績を豊富に有するシニアクラスの人材を採用するなど、計画に向け着実に進捗している。
(2) 事業開発
中核事業であるデジタルトランスフォーメーション事業におけるコンサルティングを通じて、ビジネス領域を絞らずに幅広く顧客の事業を支援しながら、企業変革の課題ニーズの探索を行い、そのなかで共通項として見えてきた課題に対してソリューションのサービス化・プロダクト化を推進する計画である。
(3) 事業別取り組み
デジタルトランスフォーメーション事業においては、1) 2023年12月期水準の採用を継続しつつ、2) 採用した人材のマネージャーへの育成、3) 離職率の抑制等により、組織規模の拡大を図る計画である。すなわち、離職率を2023年12月期の41%を2026年12月期には15%に抑制することに重点的に取り組み、期末従業員数を同期間に134人を223人に増加させる。またマネージャーの育成により、期末マネージャー数を2023年12月期の19人(従業員数の18.4%)から、2026年12月期には43人(同約20%を維持)を計画する。従業員1人当たりの売上については、2023年12月期の3.41百万円/月から2026年12月期には3.16百万円/月を計画している。2023年12月期には組織に過度の負荷がかかったことへの反省から、本指標については抑制的に計画している。また、参考指標として各期の取引社数及び顧客単価を示している。2023年12月期の取引社数134社、顧客単価34.5百万円/年から、2026年12月期には165社、45.4百万円/年への拡大を目指す。2024年12月期は組織立て直しに注力することから横ばいであるが、以降は継続的に既存顧客に入り込み大口顧客化を推進する方針である。
DX×テクノロジー事業では、採用活動の強化及び離職率の抑制により組織規模の拡大を進める。施策効果の最大化を企図し、グループ内のSES(エンジニアのスキルや労働力を時間単位で提供するサービス)事業を2024年4月にアルトワイズへ集約(プロジェクトテクノロジーズを吸収合併)した。採用強化と離職率の抑制により、期末エンジニア数を2023年12月期の61人から2026年12月期には77人へ拡大する計画である。
(4) 財務戦略・投資戦略
ROEについては、2026年12月期に20%以上を目安に資本効率の向上を図る。中期経営計画では採用やオフィス等の人材投資が先行し利益額が減少するため、ROEは2023年12月期の21.6%から低下する見通しであり、2026年12月期には20%以上の水準回復を目指す。
投資(資金配分)戦略では、成長戦略に照らし採用費や人材育成関連費用、オフィス費用などの人材投資、及び事業開発に資するM&A等に優先的に費用を投下する計画である。
以上のとおり、同社の中期経営計画及びそれを実現するための取り組みは多岐にわたっている。まだスタートしたばかりであるが、シニアクラスの人材確保などの成果が現れている。今後の進捗状況を注視したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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