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兵機海運 Research Memo(1):2024年3月期は経常利益、当期純利益増益、子会社清算が寄与
2024/06/24 15:21
*15:21JST 兵機海運 Research Memo(1):2024年3月期は経常利益、当期純利益増益、子会社清算が寄与
■要約
兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸市に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎えた。同年4月には、東京証券取引所(以下、東証)のスタンダード市場へ移行した。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、売上高で前期比20.3%減の14,636百万円、営業利益で同7.2%減の519百万円、経常利益で同10.9%増の678百万円、当期純利益で同16.8%増の512百万円だった。港運事業における取引形態の見直しを受け、従来売上高として計上していた項目を立替金に振り替えたことや、外航事業において前期に発生した建機類のスポット特需のはく落などが影響した。一方で、建機類の輸送を行っていた極東ロシア向け航路が中長期的に再開できないとの経営判断から同航路の運航を担っていたK.S.LINES S.Aの清算を2024年3月に完了しており、これにより、営業外収益と特別利益を計上したことが増益に寄与した。なお、K.S.LINES S.Aの清算により連結子会社が存在しなくなったことから、同社は2024年3月期から非連結決算に移行している。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は、売上高で前期比4.3%減の14,000百万円、営業利益で同7.7%増の560百万円、経常利益で同11.6%減の600百万円、当期純利益で同18.0%減の420百万円を見込んでいる。外部環境については、中東情勢を初めとする地政学的緊張の高まりや、金利と為替の動向、米国大統領選挙の行方、内航船舶運航及び維持管理コストの増加など、不確実性が高い事業環境となることを見込んでいる。売上高に関しては、港運事業における取引形態の見直しが通年で影響してくることなどから減収を見込んでいるものの、各事業において価格改定交渉などの適正利潤確保に向けた活動を継続しながら、同時に収益性の向上を推進することにより利益の積み上げに注力していく。
3. 同社の強み
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、同社の業績が堅実に拡大していくと弊社は考える。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業の4事業で総合的な物流サービスを展開しており、バランスの良い事業ポートフォリオを構築している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体としてリスクの分散が図れている。また、独立系海運会社であることも同社の特長となっている。海運業界には、荷主である企業系列の海運会社が多く存在しているが、これらの会社は荷主との取引関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属していないため、機動的に全方位で営業活動が可能となっている。収益機会と見れば一気に経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合は再考、または早期撤退を実行することができる。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていけることが同社の最大の強みである。
■Key Points
・2024年3月期は特需はく落や取引形態見直しを受け、減収・営業減益
・子会社の清算により経常利益と当期純利益は増益を確保
・2025年3月期は減収予想も、適正利潤の確保と収益性向上に注力し営業増益予想
・バランスの良い事業ポートフォリオと全方位営業で、堅実な成長を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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■要約
兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸市に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎えた。同年4月には、東京証券取引所(以下、東証)のスタンダード市場へ移行した。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、売上高で前期比20.3%減の14,636百万円、営業利益で同7.2%減の519百万円、経常利益で同10.9%増の678百万円、当期純利益で同16.8%増の512百万円だった。港運事業における取引形態の見直しを受け、従来売上高として計上していた項目を立替金に振り替えたことや、外航事業において前期に発生した建機類のスポット特需のはく落などが影響した。一方で、建機類の輸送を行っていた極東ロシア向け航路が中長期的に再開できないとの経営判断から同航路の運航を担っていたK.S.LINES S.Aの清算を2024年3月に完了しており、これにより、営業外収益と特別利益を計上したことが増益に寄与した。なお、K.S.LINES S.Aの清算により連結子会社が存在しなくなったことから、同社は2024年3月期から非連結決算に移行している。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の業績は、売上高で前期比4.3%減の14,000百万円、営業利益で同7.7%増の560百万円、経常利益で同11.6%減の600百万円、当期純利益で同18.0%減の420百万円を見込んでいる。外部環境については、中東情勢を初めとする地政学的緊張の高まりや、金利と為替の動向、米国大統領選挙の行方、内航船舶運航及び維持管理コストの増加など、不確実性が高い事業環境となることを見込んでいる。売上高に関しては、港運事業における取引形態の見直しが通年で影響してくることなどから減収を見込んでいるものの、各事業において価格改定交渉などの適正利潤確保に向けた活動を継続しながら、同時に収益性の向上を推進することにより利益の積み上げに注力していく。
3. 同社の強み
同社の強みであるバランスの良い事業ポートフォリオと機動的な全方位営業により、同社の業績が堅実に拡大していくと弊社は考える。同社は、内航事業、外航事業、港運事業、倉庫事業の4事業で総合的な物流サービスを展開しており、バランスの良い事業ポートフォリオを構築している。この4つの事業を並行して手掛けていることで、会社全体としてリスクの分散が図れている。また、独立系海運会社であることも同社の特長となっている。海運業界には、荷主である企業系列の海運会社が多く存在しているが、これらの会社は荷主との取引関係が硬直的になりがちである。同社はどこの系列にも属していないため、機動的に全方位で営業活動が可能となっている。収益機会と見れば一気に経営資源を投入し、一方で危険を察知した場合は再考、または早期撤退を実行することができる。このように機動的な事業運営で稼ぐ力を高めていけることが同社の最大の強みである。
■Key Points
・2024年3月期は特需はく落や取引形態見直しを受け、減収・営業減益
・子会社の清算により経常利益と当期純利益は増益を確保
・2025年3月期は減収予想も、適正利潤の確保と収益性向上に注力し営業増益予想
・バランスの良い事業ポートフォリオと全方位営業で、堅実な成長を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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