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四電工 Research Memo(9):「中期経営指針2025」の進捗はおおむね順調
2024/06/24 16:49
*16:49JST 四電工 Research Memo(9):「中期経営指針2025」の進捗はおおむね順調
■成長戦略
1. 「中期経営指針2025」
四電工<1939>は2021年7月に「中期経営指針2025」(2022年3月期〜2026年3月期)を策定し、数値目標として最終年度2026年3月期の売上高1,000億円、営業利益60億円、ROE8.0%を掲げた。売上高は、営業強化や専門技術者の質・量の拡充を図り、設備工事企業に対するM&Aも積極活用する。利益は、増収に加え原価管理を充実させる。目標売上高1,000億円の内訳は、事業分野別で配電工事300億円、送電・土木工事50億円、電気・計装工事290億円、空調・管工事220億円、情報通信工事90億円、その他50億円、地域別で四国760億円、首都圏120億円、関西圏120億円である。また、M&A投資、ESG関連投資、研究開発・デジタル化投資として合計100億円の成長投資枠を設定している。要員計画は2025年4月時点の連結ベース従業員数を2,800人程度(うち単体ベースで2,320人)としており、定期採用(単体ベース)としては年間100人強を採用する方針だ。
取り組むべき重点課題については、「総合設備企業としての多面的な収益力の強化」「広域的な事業展開の拡充」「ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持」「四電工グループとしての総合力の発揮」「環境・社会の持続性確保に向けたコミットメント」の5点である。
具体的な重点戦略については、総合設備企業としての多面的な収益力の強化では、施工対象とする業態や施設用途の多様化・拡大、設備一式施工の機会拡充などを推進する。広域的な事業展開の拡充では、四国域内において市場シェアアップや利益率向上により売上・利益を最大化しつつ、首都圏・関西圏を中心とする四国域外での収益力を強化し総合設備企業としての収益基盤を整備する。ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持では、協力企業を含めた施工体制・技術力の維持とともに、施工効率のさらなる向上に取り組み、事業の収益性を確保する。同社グループとしての総合力の発揮では、特に首都圏・関西圏において現地の設備工事企業と新たな資本・事業提携関係を構築し、受注・施工面での協業やシナジー創出を推進する。これにより、パートナー企業やその協力企業を含めたグループとしての施工体制を拡充し、連結ベースでの収益力を高める。環境・社会の持続性確保に向けたコミットメントでは環境・社会の持続性確保に向け、雇用とダイバーシティの確保、従業員エンゲージメントの向上、省エネ技術の活用や再生可能エネルギーの開発等による環境負荷軽減、地域社会との共存・支援活動など、多面的な取り組みを推進する。
「中期経営指針2025」の進捗状況は、営業利益は2024年3月期に64.4億円となり、最終年度2026年3月期目標の60億円を前倒し達成した。また売上高については2025年3月期の予想を1,000億円としており、目標の1,000億円を前倒し達成する見込みだ。これは、設備工事の比率が高い工場、物流倉庫、データセンターなどを中心に需要が高水準であり、受注価格上昇や受注採算性改善の進展に加え、原価管理部門が資材調達も担当するなどコストダウンに向けた各種取り組みの成果が出始めていることが要因である。要員計画については、2024年4月時点の連結ベース従業員数が2,715人(うち単体ベースで2,226人)となっており、目標としている2025年4月時点の連結ベース従業員数をおおむね達成する見込みである。
なお重点戦略のうち、首都圏・関西圏を中心とする広域的な事業展開についてはやや進捗が遅れているもようだが、これは大型再開発案件(香川県)を受注するなど四国域内での受注が想定以上であることや、関西万博工事に伴う関西圏での人手不足の影響などを考慮して、当面の四国域外への展開を抑えていることが主因である。今後は人材の再配置や現地採用の強化、M&Aなどによって徐々に施工力を高め、首都圏・関西圏への展開を強化する方針としている。全体として「中期経営指針2025」の進捗状況はおおむね順調と弊社は考えている。
受注環境は好調。今後の課題に対する取り組み戦略に期待
2. 弊社の視点
同社は電気設備工事から空調・給排水設備工事までワンストップで提供できる技術力や高品質の施工力を強みとしており、地盤とする四国域内で受注が堅調に推移して業績の安定感が強い点、一般工事等の受注拡大に向けた運転資金を安定収入源である送配電設備工事から得られるキャッシュ・フローにより安定的に確保できる点、「中期経営指針2025」の進捗が順調である点などを弊社では高く評価している。今後は人材採用・育成やM&Aによる施工能力強化、首都圏・関西圏など四国域外への展開加速、資本収益性の一段の向上が課題となるが、受注環境は良好であり、次期中期経営計画においてはこれらの課題に対する積極的な取り組み戦略が打ち出されることが期待される。その内容に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SI>
■成長戦略
1. 「中期経営指針2025」
四電工<1939>は2021年7月に「中期経営指針2025」(2022年3月期〜2026年3月期)を策定し、数値目標として最終年度2026年3月期の売上高1,000億円、営業利益60億円、ROE8.0%を掲げた。売上高は、営業強化や専門技術者の質・量の拡充を図り、設備工事企業に対するM&Aも積極活用する。利益は、増収に加え原価管理を充実させる。目標売上高1,000億円の内訳は、事業分野別で配電工事300億円、送電・土木工事50億円、電気・計装工事290億円、空調・管工事220億円、情報通信工事90億円、その他50億円、地域別で四国760億円、首都圏120億円、関西圏120億円である。また、M&A投資、ESG関連投資、研究開発・デジタル化投資として合計100億円の成長投資枠を設定している。要員計画は2025年4月時点の連結ベース従業員数を2,800人程度(うち単体ベースで2,320人)としており、定期採用(単体ベース)としては年間100人強を採用する方針だ。
取り組むべき重点課題については、「総合設備企業としての多面的な収益力の強化」「広域的な事業展開の拡充」「ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持」「四電工グループとしての総合力の発揮」「環境・社会の持続性確保に向けたコミットメント」の5点である。
具体的な重点戦略については、総合設備企業としての多面的な収益力の強化では、施工対象とする業態や施設用途の多様化・拡大、設備一式施工の機会拡充などを推進する。広域的な事業展開の拡充では、四国域内において市場シェアアップや利益率向上により売上・利益を最大化しつつ、首都圏・関西圏を中心とする四国域外での収益力を強化し総合設備企業としての収益基盤を整備する。ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持では、協力企業を含めた施工体制・技術力の維持とともに、施工効率のさらなる向上に取り組み、事業の収益性を確保する。同社グループとしての総合力の発揮では、特に首都圏・関西圏において現地の設備工事企業と新たな資本・事業提携関係を構築し、受注・施工面での協業やシナジー創出を推進する。これにより、パートナー企業やその協力企業を含めたグループとしての施工体制を拡充し、連結ベースでの収益力を高める。環境・社会の持続性確保に向けたコミットメントでは環境・社会の持続性確保に向け、雇用とダイバーシティの確保、従業員エンゲージメントの向上、省エネ技術の活用や再生可能エネルギーの開発等による環境負荷軽減、地域社会との共存・支援活動など、多面的な取り組みを推進する。
「中期経営指針2025」の進捗状況は、営業利益は2024年3月期に64.4億円となり、最終年度2026年3月期目標の60億円を前倒し達成した。また売上高については2025年3月期の予想を1,000億円としており、目標の1,000億円を前倒し達成する見込みだ。これは、設備工事の比率が高い工場、物流倉庫、データセンターなどを中心に需要が高水準であり、受注価格上昇や受注採算性改善の進展に加え、原価管理部門が資材調達も担当するなどコストダウンに向けた各種取り組みの成果が出始めていることが要因である。要員計画については、2024年4月時点の連結ベース従業員数が2,715人(うち単体ベースで2,226人)となっており、目標としている2025年4月時点の連結ベース従業員数をおおむね達成する見込みである。
なお重点戦略のうち、首都圏・関西圏を中心とする広域的な事業展開についてはやや進捗が遅れているもようだが、これは大型再開発案件(香川県)を受注するなど四国域内での受注が想定以上であることや、関西万博工事に伴う関西圏での人手不足の影響などを考慮して、当面の四国域外への展開を抑えていることが主因である。今後は人材の再配置や現地採用の強化、M&Aなどによって徐々に施工力を高め、首都圏・関西圏への展開を強化する方針としている。全体として「中期経営指針2025」の進捗状況はおおむね順調と弊社は考えている。
受注環境は好調。今後の課題に対する取り組み戦略に期待
2. 弊社の視点
同社は電気設備工事から空調・給排水設備工事までワンストップで提供できる技術力や高品質の施工力を強みとしており、地盤とする四国域内で受注が堅調に推移して業績の安定感が強い点、一般工事等の受注拡大に向けた運転資金を安定収入源である送配電設備工事から得られるキャッシュ・フローにより安定的に確保できる点、「中期経営指針2025」の進捗が順調である点などを弊社では高く評価している。今後は人材採用・育成やM&Aによる施工能力強化、首都圏・関西圏など四国域外への展開加速、資本収益性の一段の向上が課題となるが、受注環境は良好であり、次期中期経営計画においてはこれらの課題に対する積極的な取り組み戦略が打ち出されることが期待される。その内容に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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