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昭和産業 Research Memo(6):ワンストップ型の営業体制を生かして提案型営業を深化させる
2024/06/24 18:06
*18:06JST 昭和産業 Research Memo(6):ワンストップ型の営業体制を生かして提案型営業を深化させる
■昭和産業<2004>の今後の見通し
1. 2025年3月期の業績予想
2025年3月期は、売上高346,000百万円(前期比0.1%減)、営業利益12,000百万円(同8.7%減)、経常利益13,000百万円(同21.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円(同11.0%減)を計画している。前期に引き続き経済活動や社会活動の正常化、インバウンド需要の回復等が期待される一方で、緊迫した世界情勢など、先行き不透明な状況にある。穀物相場は落ち着いた状況にあるが、為替の動向は円安基調が継続している。加えて、2025年3月期はいわゆる物流の2024年問題で物流コストの上昇が予想されるほか、賃上げ等の人件費の増加要因もあって、厳しい事業環境が予想される。同社は、引き続き製造コスト等に見合った適正価格での製品販売に注力するとともに、事業環境に左右されにくい収益構造の確立に向け、「中期経営計画23-25」で掲げた5つの基本戦略に基づく施策を推進する考えである。
セグメント別に見ると、売上高は食品事業及びその他については前期並みを見込んでいるが、飼料事業については若干の減収を見込む。営業利益は食品事業で減益を見込んでいる。
2. セグメント別重点施策
2025年3月期は、組織改編による業態別・顧客別営業体制を生かした提案型営業をさらに深化させ、売上げ増加につなげる。また、グループ全体での生産拠点最適化による生産性向上・原価低減の継続と検証を進めていく。ほかにも、高付加価値製品を拡販するとともに、製造コスト等に見合った適正価格での販売を徹底して利益を確保する方針である。
(1) 食品事業
売上高は2,830億円(前期比6億円増)、営業利益は115億円(同13億円減)を見込む。
a) 製粉カテゴリ
小麦粉については、2024年4月から輸入小麦の政府売渡価格が改定されたことに伴い、業務用の強力粉・準協力をを30円/袋値下げ、中力粉・薄力粉を110円/袋値上げ(2024年7月納品分より)、家庭用の小麦粉、プレミックス、乾麺、パスタを3%前後値上げする(同年8月納品分より)。同社としてはグループ会社を含めた5社7工場のそれぞれの特徴と強みを生かしながら、製品開発の連携、生産拠点の最適化、物流の効率化など生産体制の最適化を図り、販売数量増加、収益性向上に取り組む計画だ。前期も同様な施策を行っているが、工場間及び工場~販売拠点間の物流コスト削減の観点から全国各地の工場で製造する製品を見直し、販売拠点までの距離を最適化する。プレミックス及びパスタについては、2022年6月に稼働した船橋プレミックス第2工場の強みを生かして業務用の小袋化、小ロットに対応するとともに、グループ連携による効率的な生産体制を構築し、生産強化を図る。2024年3月期にグループ間の取り組みによりヒットしたコンビニエンスストア向け「焼成パン」については、グループ内で原価管理を徹底して生産性向上を図るとともにフードロス削減に取り組み、さらなる拡大を目指す。
b) 製油カテゴリ
収益の基盤となる大豆・菜種油については、提案型営業により販売数量の確保を図るほか、適正価格での販売、高品質付加価値製品(機能性油脂や大豆たん白)の販売拡大を目指す。販売チャネルごとの課題を敏感にキャッチして商品開発につなげ、提案型営業によって売上げ確保につなげる考えである。また、ボーソー油脂(株)及び辻製油(株)※との連携を強化することで、コーン油・こめ油の競争力向上と販売拡大を実現し、事業環境に左右されにくい収益構造を確立することで事業基盤の底上げを図る。
※同社及び辻製油は2023年5月に製油事業についての資本業務提携を公表した。
c) 糖質カテゴリ
同社では糖質カテゴリにおいて、差別化戦略の推進を重点施策として掲げている。低分解水あめ、粉あめ等、特徴のある製品群の拡販を進めるほか、健康訴求のマーケティングと顧客開拓を推進する計画である。また、グループ一体となった相互供給体制や生産拠点の最適化を図る。また、同社グループの特徴ある製品群である低分解水あめや粉あめなどについては、競争優位が確保できる差別化戦略として、BtoBマーケティング機能を生かした提案型営業による拡販が見込まれると弊社では考えている。
(2) 飼料事業
売上高は580億円(前期比14億円減)、営業利益は8億円(同1億円増)を見込む。損益の安定化施策として、高付加価値製品である「人工乳」や「オリゴ糖配合飼料」の販売促進、顧客となる農場主の抱える様々な課題に対する解決策提案により拡販を目指す。鶏卵については、同社と昭和鶏卵との取り組みによる付加価値卵(ブランド卵)の開発と販売、温泉卵の拡販を図る。また、廃棄されていた冷凍パン生地やうどんの端材などをリキッドフィードや乾燥飼料として再利用するなど、未利用原料の飼料化技術を追求し、新価値を創出する。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<SO>
■昭和産業<2004>の今後の見通し
1. 2025年3月期の業績予想
2025年3月期は、売上高346,000百万円(前期比0.1%減)、営業利益12,000百万円(同8.7%減)、経常利益13,000百万円(同21.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円(同11.0%減)を計画している。前期に引き続き経済活動や社会活動の正常化、インバウンド需要の回復等が期待される一方で、緊迫した世界情勢など、先行き不透明な状況にある。穀物相場は落ち着いた状況にあるが、為替の動向は円安基調が継続している。加えて、2025年3月期はいわゆる物流の2024年問題で物流コストの上昇が予想されるほか、賃上げ等の人件費の増加要因もあって、厳しい事業環境が予想される。同社は、引き続き製造コスト等に見合った適正価格での製品販売に注力するとともに、事業環境に左右されにくい収益構造の確立に向け、「中期経営計画23-25」で掲げた5つの基本戦略に基づく施策を推進する考えである。
セグメント別に見ると、売上高は食品事業及びその他については前期並みを見込んでいるが、飼料事業については若干の減収を見込む。営業利益は食品事業で減益を見込んでいる。
2. セグメント別重点施策
2025年3月期は、組織改編による業態別・顧客別営業体制を生かした提案型営業をさらに深化させ、売上げ増加につなげる。また、グループ全体での生産拠点最適化による生産性向上・原価低減の継続と検証を進めていく。ほかにも、高付加価値製品を拡販するとともに、製造コスト等に見合った適正価格での販売を徹底して利益を確保する方針である。
(1) 食品事業
売上高は2,830億円(前期比6億円増)、営業利益は115億円(同13億円減)を見込む。
a) 製粉カテゴリ
小麦粉については、2024年4月から輸入小麦の政府売渡価格が改定されたことに伴い、業務用の強力粉・準協力をを30円/袋値下げ、中力粉・薄力粉を110円/袋値上げ(2024年7月納品分より)、家庭用の小麦粉、プレミックス、乾麺、パスタを3%前後値上げする(同年8月納品分より)。同社としてはグループ会社を含めた5社7工場のそれぞれの特徴と強みを生かしながら、製品開発の連携、生産拠点の最適化、物流の効率化など生産体制の最適化を図り、販売数量増加、収益性向上に取り組む計画だ。前期も同様な施策を行っているが、工場間及び工場~販売拠点間の物流コスト削減の観点から全国各地の工場で製造する製品を見直し、販売拠点までの距離を最適化する。プレミックス及びパスタについては、2022年6月に稼働した船橋プレミックス第2工場の強みを生かして業務用の小袋化、小ロットに対応するとともに、グループ連携による効率的な生産体制を構築し、生産強化を図る。2024年3月期にグループ間の取り組みによりヒットしたコンビニエンスストア向け「焼成パン」については、グループ内で原価管理を徹底して生産性向上を図るとともにフードロス削減に取り組み、さらなる拡大を目指す。
b) 製油カテゴリ
収益の基盤となる大豆・菜種油については、提案型営業により販売数量の確保を図るほか、適正価格での販売、高品質付加価値製品(機能性油脂や大豆たん白)の販売拡大を目指す。販売チャネルごとの課題を敏感にキャッチして商品開発につなげ、提案型営業によって売上げ確保につなげる考えである。また、ボーソー油脂(株)及び辻製油(株)※との連携を強化することで、コーン油・こめ油の競争力向上と販売拡大を実現し、事業環境に左右されにくい収益構造を確立することで事業基盤の底上げを図る。
※同社及び辻製油は2023年5月に製油事業についての資本業務提携を公表した。
c) 糖質カテゴリ
同社では糖質カテゴリにおいて、差別化戦略の推進を重点施策として掲げている。低分解水あめ、粉あめ等、特徴のある製品群の拡販を進めるほか、健康訴求のマーケティングと顧客開拓を推進する計画である。また、グループ一体となった相互供給体制や生産拠点の最適化を図る。また、同社グループの特徴ある製品群である低分解水あめや粉あめなどについては、競争優位が確保できる差別化戦略として、BtoBマーケティング機能を生かした提案型営業による拡販が見込まれると弊社では考えている。
(2) 飼料事業
売上高は580億円(前期比14億円減)、営業利益は8億円(同1億円増)を見込む。損益の安定化施策として、高付加価値製品である「人工乳」や「オリゴ糖配合飼料」の販売促進、顧客となる農場主の抱える様々な課題に対する解決策提案により拡販を目指す。鶏卵については、同社と昭和鶏卵との取り組みによる付加価値卵(ブランド卵)の開発と販売、温泉卵の拡販を図る。また、廃棄されていた冷凍パン生地やうどんの端材などをリキッドフィードや乾燥飼料として再利用するなど、未利用原料の飼料化技術を追求し、新価値を創出する。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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