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nms Research Memo(1):期初の営業利益計画を超過達成。2025年3月期下期から需要回復の可能性
2024/07/09 12:01
*12:01JST nms Research Memo(1):期初の営業利益計画を超過達成。2025年3月期下期から需要回復の可能性
■要約
nmsホールディングス<2162>は、ヒューマンソリューション(HS)事業、エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業及びパワーサプライ(PS)事業の3つの事業セグメントで構成されている。HS事業は、製造派遣及び請負、修理カスタマーサービスを行う。EMS事業は、国内及び海外において電子機器基板の実装組み立てサービスを行う。PS事業は、電源分野における設計開発・製造・販売を行う。
1. 2024年3月期の業績概要
同社の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.8%減の72,874百万円、営業利益が同22.8%増の1,888百万円、経常利益が同10.1%増の1,570百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.8%増の737百万円となった。売上高は世界的な景気減速や主要顧客の生産調整の影響から期初予想の85,000百万円、修正予想の77,000百万円に対して大幅に未達となったが、営業利益は期初予想の1,800百万円を超過し、大幅な営業増益となった。セグメント別に見ると主要3事業ともに前期比で減収増益となったが、特にEMS事業のセグメント利益率が2023年3月期の0.9%から2024年3月期は1.7%へ、PS事業の利益率も同3.6%から4.9%へと改善したことが大きく寄与している。EMS事業ではベトナムやメキシコ、マレーシアなどの主要拠点における生産性改善やコスト構造の見直しによる収益性向上の効果が発現、PS事業では生産性向上のための施策や、部材調達コストの削減などを進めたことが寄与した。事業環境変化による顧客の減産影響等もあり、外部環境が非常に厳しかったなか、経営努力により収益性の向上を進め、期初に計画した営業利益を達成できたことを弊社ではポジティブに捉えている。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績予想は、売上高が75,000百万円(前期比2.9%増)、営業利益が2,100百万円(同11.2%増)、経常利益が1,900百万円(同21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,300百万円(同76.4%増)。上期を中心に引き続きEMS事業における主要顧客の在庫調整影響が残ること、PS事業においても複写機メーカーの需要停滞や在庫調整影響があり厳しい事業環境が続くことを見込んでおり、売上高は大きな拡大を計画には織り込んでいない。一方、これらの調整はおおむね上期いっぱいで完了し、下期においては外部環境が好転、売上高も前期比で増収へと転換する見通しであり、回復ペース次第では売上高の上振れ余地も十分にあると見られる。EMS事業では製造業の脱中国化の進展による同社ベトナム拠点の売上大幅増加が見込まれることに加え、依然として収益性に課題のあったメキシコ拠点における黒字化の達成を必達目標としている。EMS事業においては業界としての目指すべきベンチマークの営業利益率が5%程度と弊社では考えており、同社の2024年3月期の営業利益率は1.7%であることから、依然として改善余地は大きい。
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年4月24日に中期経営計画を公表し、2026年3月期を最終年度とする目標値を示した。従来、経営指標として、2期目の2025年3月期は営業利益3,100百万円、最終年度である2026年3月期に営業利益4,200百万円を目指していたが、外部環境の悪化や為替環境の変化などから今期発表の2025年3月期の営業利益の期初計画は2,100百万円に留まっている。同社では中期経営計画の基本的な戦略の軸や数値目標は変更していないが、これらの外部環境の変化を踏まえ、2026年3月期に目指していた営業利益4,200百万円の達成は従来計画より1年遅れの2027年3月期に目指したい考えだ。引き続き、製造業の人手不足を背景としたHS事業の成長や、EMS事業におけるメキシコやベトナム拠点の業績寄与など、独自性のあるビジネスモデルの特長を最大化し、売上高・営業利益ともに連続的な成長を計画している。外部環境は想定より厳しいが、省人化投資による生産効率改善、ポートフォリオの見直しなどで着実に筋肉質な収益体質に変化してきており、需要が本格的な回復期に入ればこれまでの経営努力の成果が奏功し、同社の収益性が想定を上回るペースで改善する可能性もあることから、注目したいと弊社では考えている。
■Key Points
・2024年3月期は売上高は外部環境の悪化により期初計画を下振れて着地も、省人化投資や構造改革成果の刈り取りで営業利益は計画過達
・2025年3月期予想は売上高は大きな外部環境の好転は見込まない保守的な計画としており、営業利益は引き続き経営努力で収益性の改善に努め、増益を目指す
・中期経営計画で掲げられていた2026年3月期の営業利益4,200百万円目標は、外部環境の悪化から1年遅れの2027年3月期に達成を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<SO>
■要約
nmsホールディングス<2162>は、ヒューマンソリューション(HS)事業、エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業及びパワーサプライ(PS)事業の3つの事業セグメントで構成されている。HS事業は、製造派遣及び請負、修理カスタマーサービスを行う。EMS事業は、国内及び海外において電子機器基板の実装組み立てサービスを行う。PS事業は、電源分野における設計開発・製造・販売を行う。
1. 2024年3月期の業績概要
同社の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比7.8%減の72,874百万円、営業利益が同22.8%増の1,888百万円、経常利益が同10.1%増の1,570百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.8%増の737百万円となった。売上高は世界的な景気減速や主要顧客の生産調整の影響から期初予想の85,000百万円、修正予想の77,000百万円に対して大幅に未達となったが、営業利益は期初予想の1,800百万円を超過し、大幅な営業増益となった。セグメント別に見ると主要3事業ともに前期比で減収増益となったが、特にEMS事業のセグメント利益率が2023年3月期の0.9%から2024年3月期は1.7%へ、PS事業の利益率も同3.6%から4.9%へと改善したことが大きく寄与している。EMS事業ではベトナムやメキシコ、マレーシアなどの主要拠点における生産性改善やコスト構造の見直しによる収益性向上の効果が発現、PS事業では生産性向上のための施策や、部材調達コストの削減などを進めたことが寄与した。事業環境変化による顧客の減産影響等もあり、外部環境が非常に厳しかったなか、経営努力により収益性の向上を進め、期初に計画した営業利益を達成できたことを弊社ではポジティブに捉えている。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績予想は、売上高が75,000百万円(前期比2.9%増)、営業利益が2,100百万円(同11.2%増)、経常利益が1,900百万円(同21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,300百万円(同76.4%増)。上期を中心に引き続きEMS事業における主要顧客の在庫調整影響が残ること、PS事業においても複写機メーカーの需要停滞や在庫調整影響があり厳しい事業環境が続くことを見込んでおり、売上高は大きな拡大を計画には織り込んでいない。一方、これらの調整はおおむね上期いっぱいで完了し、下期においては外部環境が好転、売上高も前期比で増収へと転換する見通しであり、回復ペース次第では売上高の上振れ余地も十分にあると見られる。EMS事業では製造業の脱中国化の進展による同社ベトナム拠点の売上大幅増加が見込まれることに加え、依然として収益性に課題のあったメキシコ拠点における黒字化の達成を必達目標としている。EMS事業においては業界としての目指すべきベンチマークの営業利益率が5%程度と弊社では考えており、同社の2024年3月期の営業利益率は1.7%であることから、依然として改善余地は大きい。
3. 中期経営計画の進捗状況
同社は2023年4月24日に中期経営計画を公表し、2026年3月期を最終年度とする目標値を示した。従来、経営指標として、2期目の2025年3月期は営業利益3,100百万円、最終年度である2026年3月期に営業利益4,200百万円を目指していたが、外部環境の悪化や為替環境の変化などから今期発表の2025年3月期の営業利益の期初計画は2,100百万円に留まっている。同社では中期経営計画の基本的な戦略の軸や数値目標は変更していないが、これらの外部環境の変化を踏まえ、2026年3月期に目指していた営業利益4,200百万円の達成は従来計画より1年遅れの2027年3月期に目指したい考えだ。引き続き、製造業の人手不足を背景としたHS事業の成長や、EMS事業におけるメキシコやベトナム拠点の業績寄与など、独自性のあるビジネスモデルの特長を最大化し、売上高・営業利益ともに連続的な成長を計画している。外部環境は想定より厳しいが、省人化投資による生産効率改善、ポートフォリオの見直しなどで着実に筋肉質な収益体質に変化してきており、需要が本格的な回復期に入ればこれまでの経営努力の成果が奏功し、同社の収益性が想定を上回るペースで改善する可能性もあることから、注目したいと弊社では考えている。
■Key Points
・2024年3月期は売上高は外部環境の悪化により期初計画を下振れて着地も、省人化投資や構造改革成果の刈り取りで営業利益は計画過達
・2025年3月期予想は売上高は大きな外部環境の好転は見込まない保守的な計画としており、営業利益は引き続き経営努力で収益性の改善に努め、増益を目指す
・中期経営計画で掲げられていた2026年3月期の営業利益4,200百万円目標は、外部環境の悪化から1年遅れの2027年3月期に達成を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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