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ネットイヤー Research Memo(3):あるべきCXを実現するデザイン設計力に強みを持つ
2024/07/17 12:43
*12:43JST ネットイヤー Research Memo(3):あるべきCXを実現するデザイン設計力に強みを持つ
■事業概要
2. 事業内容と強み
ネットイヤーグループ<3622>が事業領域とするデジタルマーケティングとは、企業活動においてオウンドメディアを中心に、既存メディアや営業、コールセンター、店舗などと連携させるマーケティング手法を指す。企業や自治体などのクライアントに対して、新たなデジタルマーケティング戦略を提案・実践することで、クライアントが目標とするブランド価値の向上や売上成長、業務変革の推進などの成果を導き出すサービスである。
デジタルマーケティング領域は、顧客との接触手段によって以下の4つのメディアに分類される。1つ目は、ネット広告を掲載する「ペイドメディア(Paid Media)」、2つ目はインフルエンサーマーケティング等を行う「アーンドメディア(Earned Media)」、3つ目がSNSなどで消費者が口コミ投稿を行う「ソーシャルメディア(Social Media)」、4つ目が自社のWebサイトやアプリ上で各種コミュニケーション施策を行う「オウンドメディア(Owned Media)」である。このうち、同社は「オウンドメディア」を使ったデジタルサービス開発やデジタルマーケティング施策の立案・開発・運用などを強みとしている。
同社の強みは創業から25年間、CXの向上を起点としてプロジェクトに取り組んできたことで、あるべきCXを実現するための引き出しを多く持っていることにある(=高いコンサルティング力)。CXとは直訳すると顧客体験のことだが、「顧客が店頭、広告、Webサイト、アプリなど様々な接点を通して、企業が提供するサービスや商品に興味・関心を持ち、購入し、利用し続ける一連の体験」を指し、CXを高めることで商品の購入につなげる、あるいはその企業やブランドのファンになってもらうことが最終的な目標となる。こうしたCXのデザインから構築、運用・改善等の一連のプロセスをPDCAで回すことでより良いものにし、顧客企業の事業成長を支援している。また、同社はスペシャリストとしてのUXデザイナー以外の人材がUXデザインの価値を理解し、プロジェクトを推進できることも強みとなっている。社内のUXデザインレベルを高める活動として、一定のスキルを満たした従業員などに対して認定を行う制度を運用しており、UX講習※の受講者は156名と全従業員の約8割が受講しており、うち12名が資格認定者である(2024年5月末時点)。
※UXに関する基礎知識の習得だけでなく、ワークショップで実際にUXデザインを行う6ヶ月間の講習。
CXを効果的に高める方法はクライアントの事業内容によって異なるため、案件ごとに要件定義を設定するカスタムプロジェクトとなる。一般的に開発期間は3ヶ月程度、長いもので1年程度となる。システム開発部分に関しては大半を外注でまかなっている。受注単価は案件によって様々だが、最近では「データ分析」を取り入れたマーケティング手法の活用、あるいは顧客企業の他の部門(営業部門や情報システム部門等)とのシステム連携などが求められるなど、プロジェクトが複雑化かつ大型化する傾向にある。また、デジタルマーケティング技術も進化を続けており、ここ最近はクライアントの要求もより専門的かつ高度化している。こうした市場環境において、同社の課題であったシステム開発力はNTTデータと協業することによって解消されつつあり、協業案件の増加によって同社の業績も低迷期を脱するなどシナジー効果も出始めている。
カスタムプロジェクト以外では、自社及び他社開発プロダクトの導入支援も行っている。また、2022年3月期よりShopify Inc. が提供するECプラットフォーム「Shopify」の導入・活用支援サービスも開始した。
クライアントの業種は小売業やサービス業、製造業、金融業など幅広く、顧客規模は日本を代表する大企業が中心だ。なかでも、オウンドメディアによるデジタルマーケティングの重要性が高いBtoC領域を展開するクライアントが多く、最近手掛けた大型案件にはスターバックスコーヒージャパン(株)(以下、スターバックス)やモスフードサービス<8153>などのプロジェクトがある。
2024年3月期の売上構成比は、NTTデータを中心としたNTTグループが36.3%と最も高く、次いで小売・飲食業が31.1%、サービス業が17.8%、その他が14.8%となっている。個社別ではNTTデータが30.9%、スターバックスが12.3%となっており、直近3年間は両社で売上高の40%以上を占める状況が続いている。NTTデータ向けでは通信業や金融、自治体向けの協業案件が多い。2024年3月期の構成比は前期から低下したものの、今後も協業関係の強化により構成比も緩やかに上昇していくと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
■事業概要
2. 事業内容と強み
ネットイヤーグループ<3622>が事業領域とするデジタルマーケティングとは、企業活動においてオウンドメディアを中心に、既存メディアや営業、コールセンター、店舗などと連携させるマーケティング手法を指す。企業や自治体などのクライアントに対して、新たなデジタルマーケティング戦略を提案・実践することで、クライアントが目標とするブランド価値の向上や売上成長、業務変革の推進などの成果を導き出すサービスである。
デジタルマーケティング領域は、顧客との接触手段によって以下の4つのメディアに分類される。1つ目は、ネット広告を掲載する「ペイドメディア(Paid Media)」、2つ目はインフルエンサーマーケティング等を行う「アーンドメディア(Earned Media)」、3つ目がSNSなどで消費者が口コミ投稿を行う「ソーシャルメディア(Social Media)」、4つ目が自社のWebサイトやアプリ上で各種コミュニケーション施策を行う「オウンドメディア(Owned Media)」である。このうち、同社は「オウンドメディア」を使ったデジタルサービス開発やデジタルマーケティング施策の立案・開発・運用などを強みとしている。
同社の強みは創業から25年間、CXの向上を起点としてプロジェクトに取り組んできたことで、あるべきCXを実現するための引き出しを多く持っていることにある(=高いコンサルティング力)。CXとは直訳すると顧客体験のことだが、「顧客が店頭、広告、Webサイト、アプリなど様々な接点を通して、企業が提供するサービスや商品に興味・関心を持ち、購入し、利用し続ける一連の体験」を指し、CXを高めることで商品の購入につなげる、あるいはその企業やブランドのファンになってもらうことが最終的な目標となる。こうしたCXのデザインから構築、運用・改善等の一連のプロセスをPDCAで回すことでより良いものにし、顧客企業の事業成長を支援している。また、同社はスペシャリストとしてのUXデザイナー以外の人材がUXデザインの価値を理解し、プロジェクトを推進できることも強みとなっている。社内のUXデザインレベルを高める活動として、一定のスキルを満たした従業員などに対して認定を行う制度を運用しており、UX講習※の受講者は156名と全従業員の約8割が受講しており、うち12名が資格認定者である(2024年5月末時点)。
※UXに関する基礎知識の習得だけでなく、ワークショップで実際にUXデザインを行う6ヶ月間の講習。
CXを効果的に高める方法はクライアントの事業内容によって異なるため、案件ごとに要件定義を設定するカスタムプロジェクトとなる。一般的に開発期間は3ヶ月程度、長いもので1年程度となる。システム開発部分に関しては大半を外注でまかなっている。受注単価は案件によって様々だが、最近では「データ分析」を取り入れたマーケティング手法の活用、あるいは顧客企業の他の部門(営業部門や情報システム部門等)とのシステム連携などが求められるなど、プロジェクトが複雑化かつ大型化する傾向にある。また、デジタルマーケティング技術も進化を続けており、ここ最近はクライアントの要求もより専門的かつ高度化している。こうした市場環境において、同社の課題であったシステム開発力はNTTデータと協業することによって解消されつつあり、協業案件の増加によって同社の業績も低迷期を脱するなどシナジー効果も出始めている。
カスタムプロジェクト以外では、自社及び他社開発プロダクトの導入支援も行っている。また、2022年3月期よりShopify Inc.
クライアントの業種は小売業やサービス業、製造業、金融業など幅広く、顧客規模は日本を代表する大企業が中心だ。なかでも、オウンドメディアによるデジタルマーケティングの重要性が高いBtoC領域を展開するクライアントが多く、最近手掛けた大型案件にはスターバックスコーヒージャパン(株)(以下、スターバックス)やモスフードサービス<8153>などのプロジェクトがある。
2024年3月期の売上構成比は、NTTデータを中心としたNTTグループが36.3%と最も高く、次いで小売・飲食業が31.1%、サービス業が17.8%、その他が14.8%となっている。個社別ではNTTデータが30.9%、スターバックスが12.3%となっており、直近3年間は両社で売上高の40%以上を占める状況が続いている。NTTデータ向けでは通信業や金融、自治体向けの協業案件が多い。2024年3月期の構成比は前期から低下したものの、今後も協業関係の強化により構成比も緩やかに上昇していくと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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