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冨士ダイス Research Memo(7):業務効率化、成長分野の新製品開発、グローバル展開を推進(2)
2024/07/19 14:27
*14:27JST 冨士ダイス Research Memo(7):業務効率化、成長分野の新製品開発、グローバル展開を推進(2)
■冨士ダイス<6167>の中長期の成長戦略
(2) 省資源関連
省資源、環境負荷低減で注目されるのが2022年11月にカタログ収載された希少金属であるタングステン、コバルトの使用量を大幅削減し、鋼より軽量で超硬合金に迫る硬さと靭性を実現した省タングステン・コバルト合金(サステロイST60)の開発である。具体的には超硬合金では比重が大きいため、適用が困難とされている回転工具分野(粉砕回転刃、ハンマー)への展開が期待される。モータの負荷軽減による電力削減や、回転数の増加による生産性向上が見込めるため、混錬機用のスクリューなど、高硬度で耐久性が求められ、かつ軽量である点が評価され、顧客によるテストが進み、2024年月期より販売を開始している。なお同合金はモノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催の「2023年超モノづくり部品大賞」において「奨励賞」を受賞している。今後の展開としては、市場のニーズをとらえ、ラインナップを増やすことを検討している。また同合金は米中摩擦、ロシア問題などで、タングステン、コバルトなどのレアメタル供給リスクの高まるなか、同社の事業継続を確実なものとする手段になる可能性も秘めている。
(3) 次世代エネルギー関連
次世代エネルギー関連では水の電気分解用触媒を開発している。本触媒は、従来の貴金属触媒に対し、安価かつ調達性の高い金属を利用し、水素発生装置への展開が見込まれる。また、CO2の還元用触媒や二次電池用触媒の開発も並行して進めている。この分野は様々な企業や研究機関も開発を行っており、同社の粉末冶金技術や高圧合成技術がカギとなろう。
3. 新事業の確立
同社は100年企業を目指し、新規事業の専門組織を2024年7月に立上げ、新事業シーズの事業化を促進することとした。同社は今までも中長期の成長基盤の創出として、プロジェクトチームによる新事業の検討を進めてきたが、その活動を引き継ぎ、恒常的に新事業シーズの探索、事業化検討が可能な体制を構築する。当該組織においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現や事業創出サイクルの短縮化に取り組むとともに、新規事業の早期実現に向けて、M&A、業務提携の検討についても積極的にも行うとしている。
4. 海外事業の強化
同社は前中期経営計画においても海外事業の強化を重点施策に挙げていたものの、必ずしも計画通りの推移にはならず、2024年3月期の海外売上比率は目標の20%超に対し、18.7%に止まった。今回新中期経営計画を策定するにあたり、成長を牽引するのは海外事業と位置づけ、2027年3月期には売上高比率25%以上を目標として掲げた。アジアを中心とした海外売上高の拡大について、子会社、輸出の両輪で売上拡大を目指す。2023年7月に海外事業本部を設立、担当役員を擁立し海外事業の強化を実行、2024年2月に中国の東莞に営業拠点を設けた。今後、インド拠点の再開、電池・モーターコア金型向けに米国展開も見据え拠点設置も視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
<SO>
■冨士ダイス<6167>の中長期の成長戦略
(2) 省資源関連
省資源、環境負荷低減で注目されるのが2022年11月にカタログ収載された希少金属であるタングステン、コバルトの使用量を大幅削減し、鋼より軽量で超硬合金に迫る硬さと靭性を実現した省タングステン・コバルト合金(サステロイST60)の開発である。具体的には超硬合金では比重が大きいため、適用が困難とされている回転工具分野(粉砕回転刃、ハンマー)への展開が期待される。モータの負荷軽減による電力削減や、回転数の増加による生産性向上が見込めるため、混錬機用のスクリューなど、高硬度で耐久性が求められ、かつ軽量である点が評価され、顧客によるテストが進み、2024年月期より販売を開始している。なお同合金はモノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催の「2023年超モノづくり部品大賞」において「奨励賞」を受賞している。今後の展開としては、市場のニーズをとらえ、ラインナップを増やすことを検討している。また同合金は米中摩擦、ロシア問題などで、タングステン、コバルトなどのレアメタル供給リスクの高まるなか、同社の事業継続を確実なものとする手段になる可能性も秘めている。
(3) 次世代エネルギー関連
次世代エネルギー関連では水の電気分解用触媒を開発している。本触媒は、従来の貴金属触媒に対し、安価かつ調達性の高い金属を利用し、水素発生装置への展開が見込まれる。また、CO2の還元用触媒や二次電池用触媒の開発も並行して進めている。この分野は様々な企業や研究機関も開発を行っており、同社の粉末冶金技術や高圧合成技術がカギとなろう。
3. 新事業の確立
同社は100年企業を目指し、新規事業の専門組織を2024年7月に立上げ、新事業シーズの事業化を促進することとした。同社は今までも中長期の成長基盤の創出として、プロジェクトチームによる新事業の検討を進めてきたが、その活動を引き継ぎ、恒常的に新事業シーズの探索、事業化検討が可能な体制を構築する。当該組織においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現や事業創出サイクルの短縮化に取り組むとともに、新規事業の早期実現に向けて、M&A、業務提携の検討についても積極的にも行うとしている。
4. 海外事業の強化
同社は前中期経営計画においても海外事業の強化を重点施策に挙げていたものの、必ずしも計画通りの推移にはならず、2024年3月期の海外売上比率は目標の20%超に対し、18.7%に止まった。今回新中期経営計画を策定するにあたり、成長を牽引するのは海外事業と位置づけ、2027年3月期には売上高比率25%以上を目標として掲げた。アジアを中心とした海外売上高の拡大について、子会社、輸出の両輪で売上拡大を目指す。2023年7月に海外事業本部を設立、担当役員を擁立し海外事業の強化を実行、2024年2月に中国の東莞に営業拠点を設けた。今後、インド拠点の再開、電池・モーターコア金型向けに米国展開も見据え拠点設置も視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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