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ローランド Research Memo(5):ディーラー在庫の調整進捗により、セルイン及びセルスルーは徐々に回復

*13:45JST ローランド Research Memo(5):ディーラー在庫の調整進捗により、セルイン及びセルスルーは徐々に回復
■業績動向

3. 2024年12月期の業績見通し
ローランド<7944>の2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比2.5%減の99,900百万円、営業利益で同4.0%減の11,400百万円、経常利益で同1.3%増の11,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同4.3%増の8,500百万円とする期初予想を据え置いた。セルイン及びセルスルーは、新製品投入効果とディーラー在庫の調整進捗に伴い徐々に回復しており、中期経営計画の施策を着実に実行することで売上高を確保する。売上総利益は2022年に子会社化したDrum Workshop, Inc.のPMI進展により継続的に改善しており、販売戦略の正常化も、計画比スローではあるものの進捗している。販管費は、需要動向や粗利改善状況を見極め慎重にコントロールしていく。足元では、2024年7月蓑輪氏が代表取締役社長に就任した。前 代表取締役社長のゴードン・レイゾン氏は同社が真のグローバルカンパニーとなることを掲げ、本社とそれぞれの海外拠点をOne Rolandとして有機的に機能させ、より結束力のあるチームに磨き上げた。蓑輪氏の下、これまで以上のスピード感を持って各種施策を推し進め、MBO後の第2創業フェーズ、再上場後の真のグローバル化フェーズを経て、次のステージへ移行していくことが期待される。

4. アナリスト所見
前期はコロナ禍を要因とした供給制約が緩和されたことによる供給過多により、ディーラーの在庫が過剰になるなど、サプライチェーンの正常化に向けた調整局面が継続した。一方で、2024年12月期第1四半期は、前期第4四半期の、同社バランスシートの健全化を目的とした積極的なセルインの反動減が見られたものの、おおむね想定内であることに加え、円安効果もあり、業績は順調に推移した。足元のトレンドに大きな変化は見られず、新製品開発も順調に進捗していることから、通期予想達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。

コロナ禍を要因とした需給バランスの調整の際にも、同社は電子楽器専業メーカーである強みを生かし機動的に増減産に対応した。同社が手掛ける電子楽器は、アコースティック楽器と比較し需要の増減に対応しやすく、稼働損益が発生しづらいという特徴が功を奏した。なお、コロナ禍以降は原材料等の高騰に加えて、生産拠点であるマレーシアからの物流費の高騰が顕著であった。これに対して同社は、2021年から2022年にかけて全世界で価格改定を4度実施しており、適切な価格転嫁がなされていると弊社では評価する。

新製品については全体への影響は大きくないものの、不確実な環境下でも確実に業績に貢献している。新製品としての期間は、同社は発売から1年間と定義しているが、中期経営計画では全体の売上に占める新製品の割合を、2022年12月期の約18%から2025年12月期に25%まで高めることを掲げている。2024年12月期第1四半期の新製品開発は順調に進捗していることから、2024年12月期の新製品の売上構成比の向上が予想される。同社の製品開発は、開発担当者が消費者の嗜好をインタビューすることで真のニーズを理解する手法を採用している。同社の技術力と製品開発力は大きな強みであると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)



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