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タナベ Research Memo(5):2024年3月期業績は減益となるも、売上高は順調に拡大し過去最高を更新
2024/08/02 13:15
*13:15JST タナベ Research Memo(5):2024年3月期業績は減益となるも、売上高は順調に拡大し過去最高を更新
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
タナベコンサルティンググループ<9644>の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.3%増の12,739百万円、営業利益で同12.3%減の1,009百万円、経常利益で同12.9%減の1,012百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.5%減の641百万円と増収減益となった。売上高はグループ会社も含めてすべての経営コンサルティング領域が伸長したことに加え、2023年2月にグループ化したカーツメディアワークスの貢献もあり3期連続の増収、過去最高を連続更新した。一方、利益面では中期経営計画と持続的成長を実現していくための戦略投資(人的資本投資や新規事業開発投資、デジタル投資等)を積極的に実施したことにより、売上原価に含まれる人件費や販管費が増加し減益要因となった。
費用増要因の内訳を見ると、人的資本投資で688百万円増、伸び率で13.4%増となったほか、デジタル投資で42百万円増、伸び率で20.5%増となった。人的資本投資では、既存社員の処遇向上を実施したほか、各業界・職種における実務経験者を全国で採用し、教育研修を積極的に実施するなど人材育成を強化した。また、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定企業として、D&Iを実現する取り組みを推進した。デジタル投資では、働く環境及びシステムへの投資を積極的に実施したほか、新たな「プロフェッショナルDXサービス※」の開発、ChatGPTの社内用システムやAIの開発・活用などを推進した。新規事業への投資については、グローバル戦略コンサルティング機能や行政/公共コンサルティング機能の強化を行った。
※デジタル技術により、現場におけるオペレーションを支援するサービスの総称。新規サービスとして、「財務価値分析システム」「DX Cloudシリーズ(業種別ERPシステム導入支援)」等をリリースした。
計画比で見ると、売上高は1.9%上回った。経営コンサルティング領域別で見ると、「ファイナンス・M&A」が地域におけるファイナンシャルアドバイザリー収入の未達により計画を8.0%下回ったものの、「ブランド&PR」がカーツメディアワークスの業績上振れとリアル(展示会やイベント)×デジタル(Web、SNS)でのコミュニケーションニーズの高まりにより同10.4%上回ったほか、「HR」も企業の人的資本投資に対する取り組み強化を背景に同7.5%上回り、連結売上高の上振れ要因となった。一方、営業利益は計画を17.9%、金額ベースで220百万円下回った。既述のとおり戦略投資を計画比でも上積みしたことが要因だ。内訳を見ると人的資本投資で281百万円、デジタル投資で22百万円上積みした。特に、下半期に戦略投資を多く積み増したことで、下期の営業利益が前年同期比22.5%減の426百万円と大きく落ち込む格好となった。なお、期末の連結従業員数は前期末比34名増の600名と増加基調が続いたものの、人材流動を防ぐため、報酬や処遇の改善に注力したことにより、計画比では40名下回った。
同社がKPIとしているチームコンサルティング件数、社数及び売上高はいずれも前期を上回り、過去最高を更新した。件数で前期比12.5%増の1,839件、期中平均社数で同9.8%増の1,066社となり、売上高は同4.1%増の8,089百万円となった。1案件当たり平均売上単価は新規子会社が加わったことや既存事業会社においても新規顧客獲得が進んだ影響もあり、若干低下したものの、これら新規に獲得した顧客の育成により平均単価も趨勢的には上昇していくものと予想される。さらには、基本6ヶ月以上の長期契約サービスで構成され、安定的な成長基盤となるベース売上高についても同9.3%増の7,426百万円と過去最高を更新するなど順調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
タナベコンサルティンググループ<9644>の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.3%増の12,739百万円、営業利益で同12.3%減の1,009百万円、経常利益で同12.9%減の1,012百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.5%減の641百万円と増収減益となった。売上高はグループ会社も含めてすべての経営コンサルティング領域が伸長したことに加え、2023年2月にグループ化したカーツメディアワークスの貢献もあり3期連続の増収、過去最高を連続更新した。一方、利益面では中期経営計画と持続的成長を実現していくための戦略投資(人的資本投資や新規事業開発投資、デジタル投資等)を積極的に実施したことにより、売上原価に含まれる人件費や販管費が増加し減益要因となった。
費用増要因の内訳を見ると、人的資本投資で688百万円増、伸び率で13.4%増となったほか、デジタル投資で42百万円増、伸び率で20.5%増となった。人的資本投資では、既存社員の処遇向上を実施したほか、各業界・職種における実務経験者を全国で採用し、教育研修を積極的に実施するなど人材育成を強化した。また、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定企業として、D&Iを実現する取り組みを推進した。デジタル投資では、働く環境及びシステムへの投資を積極的に実施したほか、新たな「プロフェッショナルDXサービス※」の開発、ChatGPTの社内用システムやAIの開発・活用などを推進した。新規事業への投資については、グローバル戦略コンサルティング機能や行政/公共コンサルティング機能の強化を行った。
※デジタル技術により、現場におけるオペレーションを支援するサービスの総称。新規サービスとして、「財務価値分析システム」「DX Cloudシリーズ(業種別ERPシステム導入支援)」等をリリースした。
計画比で見ると、売上高は1.9%上回った。経営コンサルティング領域別で見ると、「ファイナンス・M&A」が地域におけるファイナンシャルアドバイザリー収入の未達により計画を8.0%下回ったものの、「ブランド&PR」がカーツメディアワークスの業績上振れとリアル(展示会やイベント)×デジタル(Web、SNS)でのコミュニケーションニーズの高まりにより同10.4%上回ったほか、「HR」も企業の人的資本投資に対する取り組み強化を背景に同7.5%上回り、連結売上高の上振れ要因となった。一方、営業利益は計画を17.9%、金額ベースで220百万円下回った。既述のとおり戦略投資を計画比でも上積みしたことが要因だ。内訳を見ると人的資本投資で281百万円、デジタル投資で22百万円上積みした。特に、下半期に戦略投資を多く積み増したことで、下期の営業利益が前年同期比22.5%減の426百万円と大きく落ち込む格好となった。なお、期末の連結従業員数は前期末比34名増の600名と増加基調が続いたものの、人材流動を防ぐため、報酬や処遇の改善に注力したことにより、計画比では40名下回った。
同社がKPIとしているチームコンサルティング件数、社数及び売上高はいずれも前期を上回り、過去最高を更新した。件数で前期比12.5%増の1,839件、期中平均社数で同9.8%増の1,066社となり、売上高は同4.1%増の8,089百万円となった。1案件当たり平均売上単価は新規子会社が加わったことや既存事業会社においても新規顧客獲得が進んだ影響もあり、若干低下したものの、これら新規に獲得した顧客の育成により平均単価も趨勢的には上昇していくものと予想される。さらには、基本6ヶ月以上の長期契約サービスで構成され、安定的な成長基盤となるベース売上高についても同9.3%増の7,426百万円と過去最高を更新するなど順調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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