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システムズD Research Memo(1):2025年3月期はサステナビリティ関連投資を進め成長基盤を確保
2024/08/13 13:11
*13:11JST システムズD Research Memo(1):2025年3月期はサステナビリティ関連投資を進め成長基盤を確保
■要約
システムズ・デザイン<3766>は、1967年の創業以来、日本のIT産業の黎明期からITビジネスを展開している独立系システムインテグレーター(SIer)である。事業領域は、情報システムの企画、開発、運用から業務のアウトソーシングまで幅広く手掛けており、様々な企業のビジネスをITの分野からトータルにサポートしている。独立系SIerならではの強みを生かし、特定のメーカーや製品の制約を受けることなく、製造、物流、通信サービス、医療、官公庁、文教等幅広い分野にわたって、顧客からの厚い信頼を獲得している。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高9,458百万円(前期比0.5%増)、営業利益524百万円(同10.9%減)、経常利益562百万円(同7.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益341百万円(同10.3%減)と微増収減益となった。2023年3月期に大きく業績をけん引した特需(主要顧客のシステムリプレース)の収束や新型コロナウイルス感染症にかかる医療保険の請求案件の減少があったが、システムリプレース周辺案件の獲得、ローコード開発ツール等を活用したソリューションビジネスやアウトソーシング事業のオンサイトビジネスの堅調な推移に加えて、受注単価の改善もあり売上高は前期比で微増となった。損益面においては、両事業とも従業員の給与水準引き上げ、本社移転の決定に伴う原状回復費用の計上等により前期比で減益となったが、受注単価改善、開発ツール活用による開発生産性の向上等の原価低減により、期初計画を34.5%上回る利益を確保した。2024年2月に修正した計画(売上高9,382百万円、営業利益496百万円)も上回る実績となった。なお、本社移転の決定に伴い特別損失を29百万円計上した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高10,000百万円(前期比5.7%増)、営業利益412百万円(同21.3%減)、経常利益422百万円(同24.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益241百万円(同29.3%減)と増収減益を見込む。システム開発事業は、社会・企業のDXが急速に進むなかでレガシーシステムのリプレースや周辺システム開発の需要は底堅く、ローコード開発ツール・Salesforce・SAP・クラウド等を活用したソリューション提案は好調に推移すると思われる。同社がノウハウを蓄積してきた業種別に顧客や事業領域を広げていく。そのためには、自社のみならず他社のノウハウを生かしたサービスの提案も不可欠である。2024年3月に新たに資本業務提携したマルティスープ(株)の持つ位置・空間情報技術も、同社グループのシステム開発に生かしてシナジー効果を発現させる考えだ。アウトソーシング事業においては、パソコンのキッティングやヘルプデスク等、ITアウトソーシングをターゲットにオンサイトビジネスを強化するとともに、低収益ビジネスを見直し、新たなビジネスモデルへの変革を進めていく。損益面では、本社移転、給与アップ、教育研修の拡充等の人的資本投資やSDGsの推進に向けた投資等、サステナビリティ関連の各種取り組みに注力するため減益を見込む。本社の移転にかかる費用は55百万円(うち特別損失14百万円)を計画に織り込んでいる。
3. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
東京証券取引所(以下、東証)ではプライム市場・スタンダード市場の上場企業に対してPBR1倍以上の実現を求めているが、同社グループのPBR(株価純資産倍率:株価/1株当たりの純資産)は過去5年間でおおむね0.6~0.7倍で推移している状況にある。1株当たり純資産の増加に対して株価の上昇が弱いことが要因となっているため、同社は2024年5月「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を取締役会で決議し、第8次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)の施策に反映させた。PBRを構成するROE(自己資本利益率)とPER(株価収益率)を改善する4つの戦略を展開する。ROEを改善するために、中期経営計画の基本方針に掲げる成長戦略(成長事業の拡大、新たな収益基盤の確立)の各種施策を推進するとともに、財務戦略として資本政策を見直した。今後は減配を実施せず増配または維持する「累進配当方針」を掲げ、新たに財務指標として「DOE(Dividend on equity ratio:純資産配当率=配当総額/株主資本または配当性向×ROE)」を採用した。中期経営計画で掲げる2026年3月期の財務目標(KPI)には、売上高経常利益率5.0%以上、ROE8.0%以上に、DOE3.5%以上が加わった。PER改善に向けては、中期経営計画の基本方針に掲げる非財務戦略(社員の働きがいを高め、SDGsを推進する)の各種施策を推進するとともに、IR活動を一層強化する。
■Key Points
・2024年3月期は微増収減益となったが、計画を上回る実績で着地
・2025年3月期は人的資本投資の拡充、本社移転等を進め、増収減益を見込む
・資本コスト、株価を意識した資本政策等を見直し、中期経営計画目標を新たに設定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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■要約
システムズ・デザイン<3766>は、1967年の創業以来、日本のIT産業の黎明期からITビジネスを展開している独立系システムインテグレーター(SIer)である。事業領域は、情報システムの企画、開発、運用から業務のアウトソーシングまで幅広く手掛けており、様々な企業のビジネスをITの分野からトータルにサポートしている。独立系SIerならではの強みを生かし、特定のメーカーや製品の制約を受けることなく、製造、物流、通信サービス、医療、官公庁、文教等幅広い分野にわたって、顧客からの厚い信頼を獲得している。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高9,458百万円(前期比0.5%増)、営業利益524百万円(同10.9%減)、経常利益562百万円(同7.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益341百万円(同10.3%減)と微増収減益となった。2023年3月期に大きく業績をけん引した特需(主要顧客のシステムリプレース)の収束や新型コロナウイルス感染症にかかる医療保険の請求案件の減少があったが、システムリプレース周辺案件の獲得、ローコード開発ツール等を活用したソリューションビジネスやアウトソーシング事業のオンサイトビジネスの堅調な推移に加えて、受注単価の改善もあり売上高は前期比で微増となった。損益面においては、両事業とも従業員の給与水準引き上げ、本社移転の決定に伴う原状回復費用の計上等により前期比で減益となったが、受注単価改善、開発ツール活用による開発生産性の向上等の原価低減により、期初計画を34.5%上回る利益を確保した。2024年2月に修正した計画(売上高9,382百万円、営業利益496百万円)も上回る実績となった。なお、本社移転の決定に伴い特別損失を29百万円計上した。
2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高10,000百万円(前期比5.7%増)、営業利益412百万円(同21.3%減)、経常利益422百万円(同24.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益241百万円(同29.3%減)と増収減益を見込む。システム開発事業は、社会・企業のDXが急速に進むなかでレガシーシステムのリプレースや周辺システム開発の需要は底堅く、ローコード開発ツール・Salesforce・SAP・クラウド等を活用したソリューション提案は好調に推移すると思われる。同社がノウハウを蓄積してきた業種別に顧客や事業領域を広げていく。そのためには、自社のみならず他社のノウハウを生かしたサービスの提案も不可欠である。2024年3月に新たに資本業務提携したマルティスープ(株)の持つ位置・空間情報技術も、同社グループのシステム開発に生かしてシナジー効果を発現させる考えだ。アウトソーシング事業においては、パソコンのキッティングやヘルプデスク等、ITアウトソーシングをターゲットにオンサイトビジネスを強化するとともに、低収益ビジネスを見直し、新たなビジネスモデルへの変革を進めていく。損益面では、本社移転、給与アップ、教育研修の拡充等の人的資本投資やSDGsの推進に向けた投資等、サステナビリティ関連の各種取り組みに注力するため減益を見込む。本社の移転にかかる費用は55百万円(うち特別損失14百万円)を計画に織り込んでいる。
3. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
東京証券取引所(以下、東証)ではプライム市場・スタンダード市場の上場企業に対してPBR1倍以上の実現を求めているが、同社グループのPBR(株価純資産倍率:株価/1株当たりの純資産)は過去5年間でおおむね0.6~0.7倍で推移している状況にある。1株当たり純資産の増加に対して株価の上昇が弱いことが要因となっているため、同社は2024年5月「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を取締役会で決議し、第8次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)の施策に反映させた。PBRを構成するROE(自己資本利益率)とPER(株価収益率)を改善する4つの戦略を展開する。ROEを改善するために、中期経営計画の基本方針に掲げる成長戦略(成長事業の拡大、新たな収益基盤の確立)の各種施策を推進するとともに、財務戦略として資本政策を見直した。今後は減配を実施せず増配または維持する「累進配当方針」を掲げ、新たに財務指標として「DOE(Dividend on equity ratio:純資産配当率=配当総額/株主資本または配当性向×ROE)」を採用した。中期経営計画で掲げる2026年3月期の財務目標(KPI)には、売上高経常利益率5.0%以上、ROE8.0%以上に、DOE3.5%以上が加わった。PER改善に向けては、中期経営計画の基本方針に掲げる非財務戦略(社員の働きがいを高め、SDGsを推進する)の各種施策を推進するとともに、IR活動を一層強化する。
■Key Points
・2024年3月期は微増収減益となったが、計画を上回る実績で着地
・2025年3月期は人的資本投資の拡充、本社移転等を進め、増収減益を見込む
・資本コスト、株価を意識した資本政策等を見直し、中期経営計画目標を新たに設定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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