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システムズD Research Memo(7):2024年3月期は微増収減益だが、計画を上回る実績で着地

*13:17JST システムズD Research Memo(7):2024年3月期は微増収減益だが、計画を上回る実績で着地
■業績動向

1. 2024年3月期の業績概要
システムズ・デザイン<3766>の2024年3月期の連結業績は、売上高9,458百万円(前期比0.5%増)、営業利益524百万円(同10.9%減)、経常利益562百万円(同7.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益341百万円(同10.3%減)と微増収減益となった。2023年3月期に大きく業績をけん引した特需(主要顧客のシステムリプレース)の収束や新型コロナウイルス感染症にかかる医療保険の請求案件の減少があったが、システムリプレース周辺案件の獲得、ローコード開発ツール等を活用したソリューションビジネスやアウトソーシング事業のオンサイトビジネスの堅調な推移に加えて、受注単価の見直しに支えられ売上高は前期比で微増となった。損益面においては、両事業とも従業員の給与水準引き上げ、本社移転の決定に伴う原状回復費用の計上等により前期比で減益となったが、受注単価の見直し、開発ツール活用による開発生産性の向上等の原価低減により、期初計画を34.5%上回る利益を確保した。また、2024年2月に上方修正した売上高9,382百万円、営業利益496百万円も上回る着地となった。なお、本社移転の決定に伴う特別損失(本社移転後に行う原状回復工事期間中の賃借料相当額等)を29百万円計上した。

セグメント別業績では、システム開発事業が、売上高5,171百万円(前期比0.7%減)、営業利益370百万円(同6.9%減)となった。2023年3月期の業績をけん引した主要顧客のシステムリプレース受注案件が収束したが、その周辺案件を獲得できたこと、単価の見直しに加えて、ローコード開発ツール等を活用したソリューションビジネスが堅調に推移したこと等により売上高は微減にとどまった。

アウトソーシング事業については、売上高4,286百万円(同2.0%増)、営業利益153百万円(同19.3%減)となった。新型コロナウイルス感染症にかかる医療保険の請求案件が減少したが、単価の見直しが進み、加えてオンサイトビジネスが順調に推移したため前期比で増収となった。

一方、いずれのセグメントにおいても、正社員の基本給与引き上げだけではなく契約・パート社員についても個別に給与引き上げを実施する等、人的資本投資を拡充したこと及び本社移転の決定に伴う原状復帰費用の計上等により減益となった。

同社の収益性については、不採算案件の影響で2020年3月期には売上総利益率が13.5%にまで低下した。ただ、その後はプロジェクト管理の強化等もあり、足元では売上総利益率は20%を超え、従来水準まで戻ってきている。2024年3月期の売上総利益率は22.1%(前期は22.1%)であり、受注単価の見直し、開発ツール活用による開発の生産性向上等の原価低減により人件費増をカバーし、前期比横ばいで推移した。

生産性については、2024年3月期の1人当たり売上高が1,819万円(前期は1,841万円)となり、1人当たり売上総利益は402万円(同407万円)と、どちらも前期を下回ったが、前期のシステムリプレースといった大型案件が収束したこと、アウトソーシング事業の比率が高まったことが要因となっているが、いずれも2022年3月期以前の水準を超えており、事業の選択と集中による高付加価値化のトレンドは変わっていないと見てとれる。

2. 財務状況と経営指標
(1) 連結貸借対照表
2024年3月期末における資産の残高は6,328百万円となり前期末比403百万円の増加となった。流動資産は147百万円の増加となったが、これは主に現金及び預金の増加379百万円、受取手形及び売掛金等の減少253百万円によるものである。固定資産は256百万円の増加となったが、これは長期貸付金100百万円、保険積立金160百万円の増加によるものである。負債の残高は1,868百万円となり、同140百万円の増加となった。流動負債は122百万円の増加となったが、これは主に未払金の増加52百万円、賞与引当金の増加29百万円、本社移転費用引当金の増加25百万円、預り金の増加38百万円によるものである。固定負債は17百万円の増加となったが、これは主に役員株式報酬引当金の増加13百万円、退職給付にかかる負債の増加9百万円によるものである。

純資産合計は4,459百万円となり、同263百万円の増加となった。これは主に利益剰余金の増加260百万円によるものである。財政状況に関しては、同社の自己資本比率は70.5%(前期末は70.8%)となっており、健全な財政状況を維持している。また、流動比率においても363.9%(同388.7%)と高い水準を維持している。

(2) 連結キャッシュ・フロー計算書
営業活動によるキャッシュ・フローは859百万円の収入(前期は562百万円の収入)となった。これは主に税金等調整前当期純利益の532百万円、売上債権及び契約資産の減少額523百万円、のれん償却額85百万円によるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは396百万円の支出(前期は88百万円の支出)となった。これは主に長期貸付による支出100百万円、保険積立金の積立による支出160百万円、敷金及び保証金の差入による支出88百万円、投資有価証券の取得による支出36百万円によるものである。財務活動によるキャッシュ・フローは84百万円の支出(前期は54百万円の支出)となったが、これは主に配当金の支払額81百万円によるものである。その結果、現金及び現金同等物は379百万円増加し、無借金で手元資金が潤沢に積み上がった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)



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