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平和不動産リート投資法人 Research Memo(1):サステナブルな投資主価値の向上を追求
2024/08/13 15:41
*15:41JST 平和不動産リート投資法人 Research Memo(1):サステナブルな投資主価値の向上を追求
■要約
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産<8803>グループの投資法人であり、中小規模の事業所が集中し、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITだ。全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業を幅広く展開する平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。
1. 2024年5月期の業績概要
2024年5月期は、営業収益8,735百万円(前期比0.9%増)、営業利益4,483百万円(同0.3%減)であった。営業収益及び営業利益は、2024年3月25日公表の修正予想を上回って着地した。内部成長では、バリューアップを通じた既存物件の内部成長が進展し、オフィス、レジデンスともに賃料改定額は2020年以降の最高値を更新し、ポートフォリオ稼働率も高稼働が継続した。外部成長では、将来の内部成長の基礎となる資産の取得を実行し、スポンサーパイプライン及び第三者との資産入替による外部成長を継続した。財務運営では、調達期間、金利固定化比率の水準などにおいて、健全な財務基盤を維持した。以上から、本来EPU(譲渡益及び内部留保充当額を除いた1口当たり分配金に、バリューアップ関連費用を足し戻して計算)は、バリューアップ投資の費用計上が先行したことで2,676円(前期比40円減)であった。ただ、DPU(1口当たり分配金)は、資産入替に伴う含み益の顕在化による譲渡益計上でバリューアップ費用をカバーし、3,380円(同80円増)と17期連続で過去最高水準を更新した。着実な成長に加え、潤沢な内部留保と含み益を有することで、継続的な物件取得、財務基盤の安定化、安定的な分配金支払いなどを可能にしている。
2. 2024年11月期と2025年5月期の業績見通し
2024年11月期は、営業収益8,771百万円(前期比0.4%増)、営業利益4,445百万円(同0.8%減)を予想する。既に確定している物件譲渡益を見込むが、今後発生する物件取得や譲渡は織り込んでいない。また、2025年5月期は、将来発生する物件取得や譲渡を織り込んでいないことから、営業収益8,084百万円(同7.8%減)、営業利益3,740百万円(同15.9%減)を見込む。先行投資となるバリューアップ工事として各期約3.5億円を計画するが、それには譲渡益及び内部留保を充当する方針だ。その結果、本来EPUは2024年11月期2,684円(同8円増)、2025年5月期2,704円(同20円増)と増加を見込む。また、DPUは内部留保取崩により2024年11月期3,440円(同60円増)、2025年5月期3,450円(同10円増)と過去最高水準の更新を予想する。これらの予想は今後発生する物件譲渡益や物件取得は織り込んでおらず、保守的な稼働率やNOI利回りを前提にしており、達成可能であると弊社では見る。
3. 中期目標と成長戦略
同REITは、2024年5月期からは「サステナブルな投資主価値の向上を追求するステージ」として「NEXT VISION II」を推進し、(1)分配金3,800円、(2)資産規模3,000億円、(3)内部成長として賃料収入年率+1%とROI10%、(4)格付AA、(5)2030年までにGHG(温室効果ガス)90%削減(2018年比)と再生可能エネルギー電力100%、を目標に掲げた。目標達成に向けては、外部成長として、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」を目指す。内部成長では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「付帯収入増加と費用削減」に加えて、「戦略的な「攻め」の資金活用」を掲げる。財務運営では、「財務基盤の強化」「LTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を図る。また、投資主還元として、「潤沢な内部留保の還元」「フリーキャッシュの活用」「流動性向上」「含み益の顕在化」を計画する。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の向上にも引き続き前向きに取り組む方針だ。「NEXT VISION II」では、潤沢な内部留保残高と含み益の活用などの「攻め」の資金活用によって、バリューアップ工事や物件入替によるポートフォリオのブラッシュアップ戦略を推進することで、サステナブルな投資主価値の向上を追求する点に大きな特徴がある。今後予想される金利上昇に対しては、内部留保や含み益を活用したバリューアップ工事による賃料増額によりカバーすることに計画の重点がある。目標達成に向けた意欲的な取り組み及び着実な成果は投資家に高く評価されると弊社では見ており、進捗状況に注目したい。
■Key Points
・2024年5月期は、物件取得や物件譲渡益が寄与し、予想を上回る決算。DPUは17期連続でスポンサー変更後の最高水準を更新
・2024年11月期及び2025年5月期は保守的な予想ながら、外部成長と潤沢な内部留保の活用により、過去最高水準のDPU更新を見込む
・「NEXT VISION II」では、分配金、資産規模、格付け、GHG削減と再生可能エネルギー電力に加えて、内部成長としてバリューアップ投資に注力。分配金の目標達成に向けた意欲的な取り組みと着実な成果は、投資家に高く評価されると見る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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■要約
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産<8803>グループの投資法人であり、中小規模の事業所が集中し、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITだ。全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業を幅広く展開する平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。
1. 2024年5月期の業績概要
2024年5月期は、営業収益8,735百万円(前期比0.9%増)、営業利益4,483百万円(同0.3%減)であった。営業収益及び営業利益は、2024年3月25日公表の修正予想を上回って着地した。内部成長では、バリューアップを通じた既存物件の内部成長が進展し、オフィス、レジデンスともに賃料改定額は2020年以降の最高値を更新し、ポートフォリオ稼働率も高稼働が継続した。外部成長では、将来の内部成長の基礎となる資産の取得を実行し、スポンサーパイプライン及び第三者との資産入替による外部成長を継続した。財務運営では、調達期間、金利固定化比率の水準などにおいて、健全な財務基盤を維持した。以上から、本来EPU(譲渡益及び内部留保充当額を除いた1口当たり分配金に、バリューアップ関連費用を足し戻して計算)は、バリューアップ投資の費用計上が先行したことで2,676円(前期比40円減)であった。ただ、DPU(1口当たり分配金)は、資産入替に伴う含み益の顕在化による譲渡益計上でバリューアップ費用をカバーし、3,380円(同80円増)と17期連続で過去最高水準を更新した。着実な成長に加え、潤沢な内部留保と含み益を有することで、継続的な物件取得、財務基盤の安定化、安定的な分配金支払いなどを可能にしている。
2. 2024年11月期と2025年5月期の業績見通し
2024年11月期は、営業収益8,771百万円(前期比0.4%増)、営業利益4,445百万円(同0.8%減)を予想する。既に確定している物件譲渡益を見込むが、今後発生する物件取得や譲渡は織り込んでいない。また、2025年5月期は、将来発生する物件取得や譲渡を織り込んでいないことから、営業収益8,084百万円(同7.8%減)、営業利益3,740百万円(同15.9%減)を見込む。先行投資となるバリューアップ工事として各期約3.5億円を計画するが、それには譲渡益及び内部留保を充当する方針だ。その結果、本来EPUは2024年11月期2,684円(同8円増)、2025年5月期2,704円(同20円増)と増加を見込む。また、DPUは内部留保取崩により2024年11月期3,440円(同60円増)、2025年5月期3,450円(同10円増)と過去最高水準の更新を予想する。これらの予想は今後発生する物件譲渡益や物件取得は織り込んでおらず、保守的な稼働率やNOI利回りを前提にしており、達成可能であると弊社では見る。
3. 中期目標と成長戦略
同REITは、2024年5月期からは「サステナブルな投資主価値の向上を追求するステージ」として「NEXT VISION II」を推進し、(1)分配金3,800円、(2)資産規模3,000億円、(3)内部成長として賃料収入年率+1%とROI10%、(4)格付AA、(5)2030年までにGHG(温室効果ガス)90%削減(2018年比)と再生可能エネルギー電力100%、を目標に掲げた。目標達成に向けては、外部成長として、「着実かつ健全な外部成長」「継続的な入替戦略の実施」「投資機会の拡大・中長期で競争力を有するポートフォリオの構築」を目指す。内部成長では、「高稼働率の維持・向上」「賃料増額に向けた取り組み」「付帯収入増加と費用削減」に加えて、「戦略的な「攻め」の資金活用」を掲げる。財務運営では、「財務基盤の強化」「LTVのコントロール」「資金調達手段の多様化」「金融コストの抑制」を図る。また、投資主還元として、「潤沢な内部留保の還元」「フリーキャッシュの活用」「流動性向上」「含み益の顕在化」を計画する。さらに、ESG(環境・社会・ガバナンス)の向上にも引き続き前向きに取り組む方針だ。「NEXT VISION II」では、潤沢な内部留保残高と含み益の活用などの「攻め」の資金活用によって、バリューアップ工事や物件入替によるポートフォリオのブラッシュアップ戦略を推進することで、サステナブルな投資主価値の向上を追求する点に大きな特徴がある。今後予想される金利上昇に対しては、内部留保や含み益を活用したバリューアップ工事による賃料増額によりカバーすることに計画の重点がある。目標達成に向けた意欲的な取り組み及び着実な成果は投資家に高く評価されると弊社では見ており、進捗状況に注目したい。
■Key Points
・2024年5月期は、物件取得や物件譲渡益が寄与し、予想を上回る決算。DPUは17期連続でスポンサー変更後の最高水準を更新
・2024年11月期及び2025年5月期は保守的な予想ながら、外部成長と潤沢な内部留保の活用により、過去最高水準のDPU更新を見込む
・「NEXT VISION II」では、分配金、資産規模、格付け、GHG削減と再生可能エネルギー電力に加えて、内部成長としてバリューアップ投資に注力。分配金の目標達成に向けた意欲的な取り組みと着実な成果は、投資家に高く評価されると見る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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