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ヤマノHD Research Memo(10):積極的な人財投資により「従業員が投資したくなる会社へ」を目指す
2024/08/20 12:50
*12:50JST ヤマノHD Research Memo(10):積極的な人財投資により「従業員が投資したくなる会社へ」を目指す
■ヤマノホールディングス<7571>の中長期の成長戦略
2. 中期経営計画
「2030年ビジョン」の達成に向けた第1フェーズと位置付ける中期経営計画においては、テーマを「つなげる」とし、グループの経営基盤のさらなる充実を図る。「人的資本をより活かす経営」「既存事業の収益安定化」「資本コストや株価を意識した経営」を重点取り組みの方針としている。
(1) 人的資本をより活かす経営
少子高齢化が進む中、採用難や人財の流動化は今後さらに進むと予想される。同社グループは、M&Aを通じて出身企業の異なる多様な人財をグループ内に数多く抱え、女性社員比率も72.1%と高いことが特徴であるが、その強みを十分に活かしきれていない状況が、2024年3月期に実施したES調査の結果等で明らかになった。そのため、注力する取り組みを「多様な人財の活躍と有機的な結びつきで生産性の向上につなげる」とした。インナーブランディングによる企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透、グループを横断したCHRO機能(Chief Human Resource Officerの略。経営戦略に則った人事戦略や組織づくりを統括する最高人事責任者)の強化、個人のキャリア形成を促進する職場環境の整備等をグループ全体で進める。また、現場を運営する各部門においては、柔軟な働き方、ワークライフバランスの促進、管理職層による組織マネジメント能力の向上、職種別/階層別の育成教育システムの見直し、人事評価制度(項目及び基準)の見直し等を進める方針である。その中で、同社においてグループ全体の従業員の統一採用・教育・育成を行っていくことも想定しており、各部門、グループ会社間に横串を刺していくCHROの機能が十分にワークする組織・体制づくりにも期待したい。同社では上期中にCHROを新たに登用・設置する計画だ。
(2) 既存事業の収益安定化
2024年3月期の決算では、販売人員の不足感(主力販売員の離職等に伴い戦力が低下)、地域特性と店頭運営のミスマッチ(店舗間の営業成績に格差)、店頭への顧客誘引力不足(催事販売比率の高止まり)、販売チャネルの多様化に遅れ(非来店顧客への販売ルートが未整備)等の課題が浮き彫りになった。そのため、創業時より構築してきた顧客ネットワークと、そこに蓄積されたノウハウを強みとして活かしながら、注力する取り組みを「全ての事業で店舗運営における課題を解決し、生産性の向上につなげる」とした。DXによる間接業務の効率化(2025年4月から小売業態向け販売管理システムの全面刷新)、既存事業とのシナジーを生むM&Aの実行、顧客に選ばれ続けるためのアウターブランディングの強化をグループ全体で進める。各部門においては、販売プロセスの見える化とOJT教育による店舗運営レベルの向上、不採算店舗の整理と戦略的な新規出店、店装の刷新、オリジナル商品/サービス導入による店頭売上アップ、SNSやECサイトの有効活用による顧客層の拡張、人手不足でも可能な、新たな集客/店舗運営ノウハウの模索等を現場で進める方針である。
(3) 資本コストや株価を意識した経営
WACC(資本コスト)を上回る当期純収益を安定的に稼ぐことで、株主の期待に応え持続的な株価向上につなげる方針だ。同社では、コロナ禍を挟む2019年3月期~2024年3月期において、ROEが株主資本コストを上回ったのは3決算期であり、事業ごとの粗利益額や販促費の増減等による営業利益率の変動により、ROEが安定しないことを課題として認識している。そのため、各既存事業における適切な販売単価管理、厳格なコスト管理、従業員1人当たりの生産性向上等によりEBITDAマージン向上による「収益性の改善」、事業承継型M&Aに積極投資しグループ企業価値を向上するほか、事業の入替により保有ポートフォリオの最適化を図りROEの向上による「資本効率化」、投資家との対話及び情報開示の充実・高度化により同社の成長戦略の理解促進や資本コストの低減を図る「IR活動の強化」の取り組みに注力し、PERの向上を目指す方針である。
(4) 定量目標
定量目標として、既存事業とM&Aの両輪による利益成長を図り、2027年3月期の売上高は175~185億円(年平均成長率1.6%)、EBITDAは7~8億円(同22.2%)を目指す。既存事業については、収益安定化を目標とし、店舗運営における生産性向上に最注力して、2027年3月期に売上高145億円、EBITDA4億円を計画する。M&Aについては、既存事業とのシナジー発現と新規事業の獲得で、業容の拡充を図ることを目標とし、売上高30~40億円、EBITDA3~4億円の規模を計画する。
また、財務目標として、事業収益力を高め、株主資本コストを上回るROEの実現を目標とし、2027年3月期でEBITDAマージン5.0%以上(営業利益520百万円)、エクイティスプレッド7.0%以上(ROE15.0%-株主資本コスト8.0%)、PBR2.5倍以上を目指す。
(5) 利益配分方針
安定的かつ継続した株式配当を基本とし、株式価値の向上に資する人的投資、事業成長投資並びに自己資本の蓄積等、バランスを重視した利益配分を計画する。配当性向については、利益配分方針に沿い、また各年度の業績に連動して適切に検討する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<SO>
■ヤマノホールディングス<7571>の中長期の成長戦略
2. 中期経営計画
「2030年ビジョン」の達成に向けた第1フェーズと位置付ける中期経営計画においては、テーマを「つなげる」とし、グループの経営基盤のさらなる充実を図る。「人的資本をより活かす経営」「既存事業の収益安定化」「資本コストや株価を意識した経営」を重点取り組みの方針としている。
(1) 人的資本をより活かす経営
少子高齢化が進む中、採用難や人財の流動化は今後さらに進むと予想される。同社グループは、M&Aを通じて出身企業の異なる多様な人財をグループ内に数多く抱え、女性社員比率も72.1%と高いことが特徴であるが、その強みを十分に活かしきれていない状況が、2024年3月期に実施したES調査の結果等で明らかになった。そのため、注力する取り組みを「多様な人財の活躍と有機的な結びつきで生産性の向上につなげる」とした。インナーブランディングによる企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透、グループを横断したCHRO機能(Chief Human Resource Officerの略。経営戦略に則った人事戦略や組織づくりを統括する最高人事責任者)の強化、個人のキャリア形成を促進する職場環境の整備等をグループ全体で進める。また、現場を運営する各部門においては、柔軟な働き方、ワークライフバランスの促進、管理職層による組織マネジメント能力の向上、職種別/階層別の育成教育システムの見直し、人事評価制度(項目及び基準)の見直し等を進める方針である。その中で、同社においてグループ全体の従業員の統一採用・教育・育成を行っていくことも想定しており、各部門、グループ会社間に横串を刺していくCHROの機能が十分にワークする組織・体制づくりにも期待したい。同社では上期中にCHROを新たに登用・設置する計画だ。
(2) 既存事業の収益安定化
2024年3月期の決算では、販売人員の不足感(主力販売員の離職等に伴い戦力が低下)、地域特性と店頭運営のミスマッチ(店舗間の営業成績に格差)、店頭への顧客誘引力不足(催事販売比率の高止まり)、販売チャネルの多様化に遅れ(非来店顧客への販売ルートが未整備)等の課題が浮き彫りになった。そのため、創業時より構築してきた顧客ネットワークと、そこに蓄積されたノウハウを強みとして活かしながら、注力する取り組みを「全ての事業で店舗運営における課題を解決し、生産性の向上につなげる」とした。DXによる間接業務の効率化(2025年4月から小売業態向け販売管理システムの全面刷新)、既存事業とのシナジーを生むM&Aの実行、顧客に選ばれ続けるためのアウターブランディングの強化をグループ全体で進める。各部門においては、販売プロセスの見える化とOJT教育による店舗運営レベルの向上、不採算店舗の整理と戦略的な新規出店、店装の刷新、オリジナル商品/サービス導入による店頭売上アップ、SNSやECサイトの有効活用による顧客層の拡張、人手不足でも可能な、新たな集客/店舗運営ノウハウの模索等を現場で進める方針である。
(3) 資本コストや株価を意識した経営
WACC(資本コスト)を上回る当期純収益を安定的に稼ぐことで、株主の期待に応え持続的な株価向上につなげる方針だ。同社では、コロナ禍を挟む2019年3月期~2024年3月期において、ROEが株主資本コストを上回ったのは3決算期であり、事業ごとの粗利益額や販促費の増減等による営業利益率の変動により、ROEが安定しないことを課題として認識している。そのため、各既存事業における適切な販売単価管理、厳格なコスト管理、従業員1人当たりの生産性向上等によりEBITDAマージン向上による「収益性の改善」、事業承継型M&Aに積極投資しグループ企業価値を向上するほか、事業の入替により保有ポートフォリオの最適化を図りROEの向上による「資本効率化」、投資家との対話及び情報開示の充実・高度化により同社の成長戦略の理解促進や資本コストの低減を図る「IR活動の強化」の取り組みに注力し、PERの向上を目指す方針である。
(4) 定量目標
定量目標として、既存事業とM&Aの両輪による利益成長を図り、2027年3月期の売上高は175~185億円(年平均成長率1.6%)、EBITDAは7~8億円(同22.2%)を目指す。既存事業については、収益安定化を目標とし、店舗運営における生産性向上に最注力して、2027年3月期に売上高145億円、EBITDA4億円を計画する。M&Aについては、既存事業とのシナジー発現と新規事業の獲得で、業容の拡充を図ることを目標とし、売上高30~40億円、EBITDA3~4億円の規模を計画する。
また、財務目標として、事業収益力を高め、株主資本コストを上回るROEの実現を目標とし、2027年3月期でEBITDAマージン5.0%以上(営業利益520百万円)、エクイティスプレッド7.0%以上(ROE15.0%-株主資本コスト8.0%)、PBR2.5倍以上を目指す。
(5) 利益配分方針
安定的かつ継続した株式配当を基本とし、株式価値の向上に資する人的投資、事業成長投資並びに自己資本の蓄積等、バランスを重視した利益配分を計画する。配当性向については、利益配分方針に沿い、また各年度の業績に連動して適切に検討する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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