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PXB Research Memo(1):PXBマウスで創薬を支援
2024/08/20 15:31
*15:31JST PXB Research Memo(1):PXBマウスで創薬を支援
■要約
フェニックスバイオ<6190>は、経営理念に「生命を科学することで人々の健康増進に貢献する」を掲げ、世界中の製薬企業・研究機関等の創薬を支援するサービスを展開している。
1. PXBマウスや新鮮ヒト肝細胞PXB-cell関連製品の販売、安全性評価等の受託試験サービスが主力
同社の創薬支援サービスは、独自開発した高品質なヒト肝細胞キメラマウスであるPXBマウス(R)(以下、PXBマウス)の販売、PXBマウスから採取した新鮮ヒト肝細胞PXB-cells(R)(以下、PXB-cells)関連製品の販売、及び新薬評価の受託試験サービス(薬効評価、安全性評価等)を展開している。同社のPXBマウスの特徴は、マウスの肝臓の70%以上がヒト肝細胞に置き換わった状態を維持しつつ、実験動物として利用可能なことにある。受託試験サービスは同社の受託試験部門で行うほか、業務提携した外部CRO(受託試験実施機関)を活用している。同社の事業領域は新薬開発工程のうち非臨床試験を対象としているため、世界の大手製薬企業が研究開発拠点を置く北米市場を中心に事業展開し、顧客の約8割は海外の製薬企業・研究機関等となっている。また同社は、今後の次世代医薬品(核酸医薬品、遺伝子治療等)の開発増加に向けて、戦略的に受託サービスから製品販売へのシフトを進めており、製品販売が増収基調となっている。
2. 2024年3月期は製薬企業の開発中止等の影響で大幅減収減益
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比19.2%減の1,715百万円、営業利益が同97.8%減の11百万円、経常利益が同91.5%減の43百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同94.7%減の26百万円と、大幅減収減益だった。売上面は、安全性等分野及び製品販売においては核酸医薬品及び遺伝子治療でのPXBマウスの需要が拡大したが、海外製薬企業を中心に抗B型肝炎ウイルス薬の開発中止が相次いだため薬効薬理分野及び受託試験サービスの売上高が大幅に減少し、全体としても大幅減収だった。分野別の売上高は、薬効薬理分野が海外製薬企業を中心に抗B型肝炎ウイルス薬の開発中止が相次いだため受託試験サービスが減少して同84.0%減の159百万円、安全性等分野が核酸医薬品及び遺伝子治療でのPXBマウスの需要が拡大したため製品販売が増加して同38.0%増の1,556百万円だった。サービスライン別の売上高は、製品販売が核酸医薬品及び遺伝子治療の安全性等分野においてPXBマウスの需要が拡大したため同68.6%増の1,320百万円(PXBマウスが同99.5%増の1,135百万円、PXB-cellsが同13.6%減の185百万円)、受託試験サービスが海外製薬企業を中心に抗B型肝炎ウイルス薬の開発中止が相次いだため薬効薬理分野が減少して同70.5%減の396百万円だった。
3. 2025年3月期はPXBマウス販売等が牽引して大幅増収増益予想
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比23.7%増の2,121百万円、営業利益が214百万円(前期は11百万円)、経常利益が同393.6%増の214百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同662.3%増の201百万円と、大幅増収増益を予想している。核酸医薬品や遺伝子治療など新しいモダリティによる新薬開発が活発化しており、主力のPXBマウスとPXB-cells関連製品の販売、及び安全性等分野の受託試験サービスが大幅に伸長する見込みだ。売上高の内訳は、分野別売上高では薬効薬理分野が同75.5%増の279百万円、安全性等分野が同18.4%増の1,842百万円、サービスライン別売上高は製品販売が同19.2%増の1,573百万円(PXBマウスが同20.0%増の1,362百万円、PXB-cells関連が同14.1%増の211百万円)、受託試験サービスが同38.6%増の549百万円を計画している。想定為替レートは1米ドル=145円である。なお半期別では下期偏重の計画となっている。受注が下期に向けて増加基調となる形だ。
4. 成長性が高い次世代医薬品市場に向けて製品販売等を推進拡大
同社は成長戦略の基本方針として、成長性が高い次世代医薬品市場に向けて製品(PXBマウス、PXB-cells関連製品)販売や(安全性等の分野)受託試験サービスを拡大をする方針である。経営目標値としては、2027年3月期にPXBマウスの売上高を2024年3月期比50%増、PXB-cellsの売上高を同100%増に拡大し、営業利益率を20%以上に高めることを掲げている。PXBマウスについては需要が増加基調のため段階的に供給能力を拡大する。PXB-cellsについては、これまでは輸送コストの問題から海外市場において積極的なプロモーションを行っていなかったが、北米(カナダ)での生産が軌道に乗ったため、今後は北米市場での新製品投入と販路拡大を推進する。営業利益については、受託試験サービスから製品販売へと収益構造が変化する中で、既存設備・人員等のリソースを効率的に運用・拡大していくことで、営業利益率20%以上が達成できると見込んでいる。
5. 中長期成長ポテンシャルに注目
同社は、現在は事業の確立や経営基盤の強化に向けて研究開発及び設備投資を実施している段階にある。当面は製薬企業・研究機関等の新薬開発投資の影響で業績が変動する可能性があるものの、独自開発したPXBマウスやPXB-cells関連製品の需要は増加基調となっている。また主力製品の特徴や強みを武器に、核酸医薬品等の次世代医薬品の開発においても、創薬支援サービス企業として重要なポジションを確立する可能性があることなどを勘案し、中長期成長ポテンシャルに注目したいと弊社では考えている。
■Key Points
・世界中の製薬企業・研究機関等の創薬を支援
・独自開発のPXBマウス販売、新鮮ヒト肝細胞PXB-cells、安全性等評価の受託試験サービスが主力
・2024年3月期は製薬企業の開発中止等の影響で大幅減収減益
・2025年3月期はPXBマウス等が牽引して大幅増収増益予想
・成長性が高い次世代医薬品市場に向けて製品販売拡大等を推進
・中長期成長ポテンシャルに注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SO>
■要約
フェニックスバイオ<6190>は、経営理念に「生命を科学することで人々の健康増進に貢献する」を掲げ、世界中の製薬企業・研究機関等の創薬を支援するサービスを展開している。
1. PXBマウスや新鮮ヒト肝細胞PXB-cell関連製品の販売、安全性評価等の受託試験サービスが主力
同社の創薬支援サービスは、独自開発した高品質なヒト肝細胞キメラマウスであるPXBマウス(R)(以下、PXBマウス)の販売、PXBマウスから採取した新鮮ヒト肝細胞PXB-cells(R)(以下、PXB-cells)関連製品の販売、及び新薬評価の受託試験サービス(薬効評価、安全性評価等)を展開している。同社のPXBマウスの特徴は、マウスの肝臓の70%以上がヒト肝細胞に置き換わった状態を維持しつつ、実験動物として利用可能なことにある。受託試験サービスは同社の受託試験部門で行うほか、業務提携した外部CRO(受託試験実施機関)を活用している。同社の事業領域は新薬開発工程のうち非臨床試験を対象としているため、世界の大手製薬企業が研究開発拠点を置く北米市場を中心に事業展開し、顧客の約8割は海外の製薬企業・研究機関等となっている。また同社は、今後の次世代医薬品(核酸医薬品、遺伝子治療等)の開発増加に向けて、戦略的に受託サービスから製品販売へのシフトを進めており、製品販売が増収基調となっている。
2. 2024年3月期は製薬企業の開発中止等の影響で大幅減収減益
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比19.2%減の1,715百万円、営業利益が同97.8%減の11百万円、経常利益が同91.5%減の43百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同94.7%減の26百万円と、大幅減収減益だった。売上面は、安全性等分野及び製品販売においては核酸医薬品及び遺伝子治療でのPXBマウスの需要が拡大したが、海外製薬企業を中心に抗B型肝炎ウイルス薬の開発中止が相次いだため薬効薬理分野及び受託試験サービスの売上高が大幅に減少し、全体としても大幅減収だった。分野別の売上高は、薬効薬理分野が海外製薬企業を中心に抗B型肝炎ウイルス薬の開発中止が相次いだため受託試験サービスが減少して同84.0%減の159百万円、安全性等分野が核酸医薬品及び遺伝子治療でのPXBマウスの需要が拡大したため製品販売が増加して同38.0%増の1,556百万円だった。サービスライン別の売上高は、製品販売が核酸医薬品及び遺伝子治療の安全性等分野においてPXBマウスの需要が拡大したため同68.6%増の1,320百万円(PXBマウスが同99.5%増の1,135百万円、PXB-cellsが同13.6%減の185百万円)、受託試験サービスが海外製薬企業を中心に抗B型肝炎ウイルス薬の開発中止が相次いだため薬効薬理分野が減少して同70.5%減の396百万円だった。
3. 2025年3月期はPXBマウス販売等が牽引して大幅増収増益予想
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比23.7%増の2,121百万円、営業利益が214百万円(前期は11百万円)、経常利益が同393.6%増の214百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同662.3%増の201百万円と、大幅増収増益を予想している。核酸医薬品や遺伝子治療など新しいモダリティによる新薬開発が活発化しており、主力のPXBマウスとPXB-cells関連製品の販売、及び安全性等分野の受託試験サービスが大幅に伸長する見込みだ。売上高の内訳は、分野別売上高では薬効薬理分野が同75.5%増の279百万円、安全性等分野が同18.4%増の1,842百万円、サービスライン別売上高は製品販売が同19.2%増の1,573百万円(PXBマウスが同20.0%増の1,362百万円、PXB-cells関連が同14.1%増の211百万円)、受託試験サービスが同38.6%増の549百万円を計画している。想定為替レートは1米ドル=145円である。なお半期別では下期偏重の計画となっている。受注が下期に向けて増加基調となる形だ。
4. 成長性が高い次世代医薬品市場に向けて製品販売等を推進拡大
同社は成長戦略の基本方針として、成長性が高い次世代医薬品市場に向けて製品(PXBマウス、PXB-cells関連製品)販売や(安全性等の分野)受託試験サービスを拡大をする方針である。経営目標値としては、2027年3月期にPXBマウスの売上高を2024年3月期比50%増、PXB-cellsの売上高を同100%増に拡大し、営業利益率を20%以上に高めることを掲げている。PXBマウスについては需要が増加基調のため段階的に供給能力を拡大する。PXB-cellsについては、これまでは輸送コストの問題から海外市場において積極的なプロモーションを行っていなかったが、北米(カナダ)での生産が軌道に乗ったため、今後は北米市場での新製品投入と販路拡大を推進する。営業利益については、受託試験サービスから製品販売へと収益構造が変化する中で、既存設備・人員等のリソースを効率的に運用・拡大していくことで、営業利益率20%以上が達成できると見込んでいる。
5. 中長期成長ポテンシャルに注目
同社は、現在は事業の確立や経営基盤の強化に向けて研究開発及び設備投資を実施している段階にある。当面は製薬企業・研究機関等の新薬開発投資の影響で業績が変動する可能性があるものの、独自開発したPXBマウスやPXB-cells関連製品の需要は増加基調となっている。また主力製品の特徴や強みを武器に、核酸医薬品等の次世代医薬品の開発においても、創薬支援サービス企業として重要なポジションを確立する可能性があることなどを勘案し、中長期成長ポテンシャルに注目したいと弊社では考えている。
■Key Points
・世界中の製薬企業・研究機関等の創薬を支援
・独自開発のPXBマウス販売、新鮮ヒト肝細胞PXB-cells、安全性等評価の受託試験サービスが主力
・2024年3月期は製薬企業の開発中止等の影響で大幅減収減益
・2025年3月期はPXBマウス等が牽引して大幅増収増益予想
・成長性が高い次世代医薬品市場に向けて製品販売拡大等を推進
・中長期成長ポテンシャルに注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SO>