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ツクルバ:営業黒字転換を果たした中古・リノベーション住宅仲介のトップランナー
2024/08/26 11:42
*11:42JST ツクルバ:営業黒字転換を果たした中古・リノベーション住宅仲介のトップランナー
ツクルバ<2978>は、中古・リノベーション住宅流通において買主向けメディア「カウカモ」を通じた仲介などを展開している。
「カウカモ」は、中古・リノベーション住宅の売主と買主を介在するマーケットプレイス型のプラットフォーム。蓄積された買主ユーザーの嗜好データや空間データ等を活用し、売主から供給される物件の流通に介在することで、両者に対してユニークな価値提供を行い、売買が循環する成長サイクルを構築している。収益形態は手数料収益と販売収益が存在しているが、売上総利益に対しては買主サイドの仲介手数料・売主サイドの仲介手数料の合計が80%強を占めている。残りは、リノベーション事業者・付帯サービス事業者等への顧客斡旋による手数料が10%程度、不動産販売収益が10%弱。成長指標としては、財務KPIとして売上総利益、事業KPIとしてGMV(Gross Merchandise Value:流通取引総額)とテイクレート(GMVのうちの取り分)を位置付けており、先行指標は取引件数(成約ベース)を意識しているようだ。
競合としては、(1)不動産ポータルサイト、(2)財閥系大手仲介会社・中小の仲介会社、などが挙げられている。ただ、カウカモは、不動産ポータルサイトと仲介事業を統合しているため、住宅流通業界において独自のポジションを構築している。不動産ポータルサイトは、仲介事業者からの物件記事掲載料が主な収入源であり、対象市場は広告市場となる。仲介手数料を主な収入源とし、不動産流通市場を対象市場とするカウカモとは対象市場が別で、カウカモに載せた物件について他の不動産ポータルサイトにも掲載することもある。また、仲介会社に対しては、通常の仲介会社では「オフラインでの営業」や既存の不動産ポータルサイトを利用して検索してもらうフローの集客が主体になるが、カウカモではオンラインにデザイン性への関心が高く、日常的に眺めているユーザーがアセットとして蓄積されている。蓄積されたユーザーとデータの基盤を活用した「早く適切なマッチング」と「データに基づく魅力的な物件創出」が他の仲介会社に対するカウカモの競合優位性になっている。
24年7月期第3四半期累計の売上高は前年同期非連結比41.4%増の37.6億円、売上総利益は同17.4%増の21.0億円、営業損益は1.74億円の黒字で着地した。GMVは過去最高の159.3億円(前年同期比12%増)と堅調に推移し、一部取引の決済前倒しが一時的にプラスに影響したものの、カウカモ事業の堅調な拡大により、GMVは過去最高の159.3億円(前年同期比12%増)となった。また、テイクレートは自社企画商品やリノベーションサービスの販売増がプラスに寄与して5.2%(同13%増)と想定を上回って着地したようだ。通期の売上高は52億円、営業損益は1.5億円の黒字を見込んでいる。全社生産性の向上を通じた営業利益の創出に最注力していく。そのほか、2025年7月期においては、通期増益の範囲内でカウカモ事業の持続的な成長に向けた先行投資を実施する想定。具体的には、マーケティング強化および営業組織拡大に加え、新規領域の立ち上げを実施するもよう。
中古住宅・リノベーション市場は、東京都だけで1.6兆円の規模があるが、東京都に対するカウカモのシェアは約3.4%となっている。ただ、市場規模は全国まで目を向けると20兆円規模への成長が期待されており、同社は展開エリアの拡大・市場全体の成長という高いポテンシャルを秘めている。また、2005年に2割程度であった築25年以上の中古マンションの比率は2025年には全体の半分となるため、住宅購入においてリノベーション住宅があたりまえの選択肢になることが想定されている。さらに、首都圏における中古マンションの成約件数は、新築マンションの供給戸数と比較すると、経済環境に大きな影響を受けず継続的に増加しており、中古不動産流通市場は新築に比べてマクロ環境の影響を受けにくい。金利上昇による影響も、他の不動産企業と比較して軽微であると考えられる。同社は今後、カウカモ事業のGMV高成長を継続しつつ、営業生産性やマーケティング効率の改善、バリューチェーンの統合を通じて持続的な利益創出力を向上させていく。周辺領域における新規事業やM&A等の成長投資機会にも機動的に対応していくようで、市場環境の追い風が続くなか、営業黒字転換を果たした成長中の企業として注目しておきたい。
<NH>
ツクルバ<2978>は、中古・リノベーション住宅流通において買主向けメディア「カウカモ」を通じた仲介などを展開している。
「カウカモ」は、中古・リノベーション住宅の売主と買主を介在するマーケットプレイス型のプラットフォーム。蓄積された買主ユーザーの嗜好データや空間データ等を活用し、売主から供給される物件の流通に介在することで、両者に対してユニークな価値提供を行い、売買が循環する成長サイクルを構築している。収益形態は手数料収益と販売収益が存在しているが、売上総利益に対しては買主サイドの仲介手数料・売主サイドの仲介手数料の合計が80%強を占めている。残りは、リノベーション事業者・付帯サービス事業者等への顧客斡旋による手数料が10%程度、不動産販売収益が10%弱。成長指標としては、財務KPIとして売上総利益、事業KPIとしてGMV(Gross Merchandise Value:流通取引総額)とテイクレート(GMVのうちの取り分)を位置付けており、先行指標は取引件数(成約ベース)を意識しているようだ。
競合としては、(1)不動産ポータルサイト、(2)財閥系大手仲介会社・中小の仲介会社、などが挙げられている。ただ、カウカモは、不動産ポータルサイトと仲介事業を統合しているため、住宅流通業界において独自のポジションを構築している。不動産ポータルサイトは、仲介事業者からの物件記事掲載料が主な収入源であり、対象市場は広告市場となる。仲介手数料を主な収入源とし、不動産流通市場を対象市場とするカウカモとは対象市場が別で、カウカモに載せた物件について他の不動産ポータルサイトにも掲載することもある。また、仲介会社に対しては、通常の仲介会社では「オフラインでの営業」や既存の不動産ポータルサイトを利用して検索してもらうフローの集客が主体になるが、カウカモではオンラインにデザイン性への関心が高く、日常的に眺めているユーザーがアセットとして蓄積されている。蓄積されたユーザーとデータの基盤を活用した「早く適切なマッチング」と「データに基づく魅力的な物件創出」が他の仲介会社に対するカウカモの競合優位性になっている。
24年7月期第3四半期累計の売上高は前年同期非連結比41.4%増の37.6億円、売上総利益は同17.4%増の21.0億円、営業損益は1.74億円の黒字で着地した。GMVは過去最高の159.3億円(前年同期比12%増)と堅調に推移し、一部取引の決済前倒しが一時的にプラスに影響したものの、カウカモ事業の堅調な拡大により、GMVは過去最高の159.3億円(前年同期比12%増)となった。また、テイクレートは自社企画商品やリノベーションサービスの販売増がプラスに寄与して5.2%(同13%増)と想定を上回って着地したようだ。通期の売上高は52億円、営業損益は1.5億円の黒字を見込んでいる。全社生産性の向上を通じた営業利益の創出に最注力していく。そのほか、2025年7月期においては、通期増益の範囲内でカウカモ事業の持続的な成長に向けた先行投資を実施する想定。具体的には、マーケティング強化および営業組織拡大に加え、新規領域の立ち上げを実施するもよう。
中古住宅・リノベーション市場は、東京都だけで1.6兆円の規模があるが、東京都に対するカウカモのシェアは約3.4%となっている。ただ、市場規模は全国まで目を向けると20兆円規模への成長が期待されており、同社は展開エリアの拡大・市場全体の成長という高いポテンシャルを秘めている。また、2005年に2割程度であった築25年以上の中古マンションの比率は2025年には全体の半分となるため、住宅購入においてリノベーション住宅があたりまえの選択肢になることが想定されている。さらに、首都圏における中古マンションの成約件数は、新築マンションの供給戸数と比較すると、経済環境に大きな影響を受けず継続的に増加しており、中古不動産流通市場は新築に比べてマクロ環境の影響を受けにくい。金利上昇による影響も、他の不動産企業と比較して軽微であると考えられる。同社は今後、カウカモ事業のGMV高成長を継続しつつ、営業生産性やマーケティング効率の改善、バリューチェーンの統合を通じて持続的な利益創出力を向上させていく。周辺領域における新規事業やM&A等の成長投資機会にも機動的に対応していくようで、市場環境の追い風が続くなか、営業黒字転換を果たした成長中の企業として注目しておきたい。
<NH>