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アーバネット Research Memo(6):2024年6月期は大幅な増収増益となり、過去最高業績を更新
2024/09/02 11:06
*11:06JST アーバネット Research Memo(6):2024年6月期は大幅な増収増益となり、過去最高業績を更新
■業績動向
2. 2024年6月期の業績概要
アーバネットコーポレーション<3242>の2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比38.0%増の27,965百万円、営業利益が同12.2%増の2,726百万円、経常利益が同13.4%増の2,426百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.5%増の1,701百万円と計画を上回る大幅な増収増益となり、過去最高業績を更新した。
売上高は「不動産事業」及び「ホテル事業」がともに伸長した。主力の「不動産事業」については、1) 不動産開発販売が大型プロジェクトを含めて順調に進み、都市型賃貸マンションの販売戸数は11棟712戸(前期は11棟584戸)と大きく拡大した。特に、高付加価値マンションに対するファンド及びリートからの引き合いが強いようだ。また、2024年2月末から連結化されたケーナインについても、戸建・テラスハウスの分譲販売(23戸)が業績に寄与した。2) 不動産仕入れ販売については中古分譲マンションの買取販売1戸(前期も1戸)を計上。3) その他(不動産仲介及び不動産賃貸業等)についても、賃貸収益物件の安定稼働やケーナイン連結効果により順調に伸びた。なお、売上高が計画を上回ったのは、不動産開発販売において、2025年6月期に予定していたプロジェクト(1棟57戸)の計上が前倒しされたことによる。また、「ホテル事業」についても、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加などにより、客室単価・稼働率ともに好調に推移し、黒字化を達成した。
利益面では、用地価格や建設資材価格の高止まり、工事関連人件費の増加などにより原価が上昇したものの、計画を上回る増収や「ホテル事業」の黒字化により、大幅な増益となった。ただ、経常利益率については原価上昇の影響により8.7%(前期は10.6%)に低下した。
財政状態については、ケーナイン連結化により総資産は前期末比6.2%増の46,972百万円に拡大した。一方、自己資本も内部留保の積み増しや新株予約権の一部※が行使されたことにより前期末比11.2%増の15,062百万円に増加したことから、自己資本比率は32.1%(前期末は30.6%)に改善した。一方、有利子負債(リース債務を除く)についても長短合わせて前期末比11.2%増の29,168百万円となった。
※2023年8月24日付けで発行決議した新株予約権(合計62,000個)のうち、2024年6月末までに14,000個が行使され、合計524百万円の資金調達を行った。
キャッシュ・フローの状況については、1) 営業活動によるキャッシュ・フローが好調な物件販売によりプラスになった一方、2) 投資活動によるキャッシュ・フローはケーナインの株式取得による支出(取得価額約5億円)が、投資その他の資産の減少を上回りマイナスとなった。また、3) 財務キャッシュ・フローについても、借入金の返済や配当金の支払い、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得によりマイナスとなり、その結果、2024年6月期末の現金及び現金同等物残高は8,509百万円(前期末比621百万円減)に減少した。
3. パイプラインの状況
今後の成長につながるパイプラインの状況は、2025年6月期の販売予定分(588戸)に加え、2026年6月期以降についても1,000戸程度(弊社推定)を確保しているようだ。厳しい仕入れ環境が続くなか、ここ数年取り組んできた用地仕入れ人財の育成が稼働してきたことに加え、ケーナイン連結化によるパイプラインの増強も寄与している。
4. 2024年6月期の総括
2024年6月期を総括すると、過去最高業績を更新した業績面に加えて、成長資金の確保を目的とした新株予約権の発行やケーナインの連結子会社化、ストレージ王との業務提携など、活動面でも今後の成長に向けて大きな成果を残したと言える。また、ケーナイン連結化が業績にどのような影響を及ぼすかに注目していたが、おおむね想定どおりの結果を確認することができた。特に、P/L(損益計算書)への影響(4ヶ月分)として、売上高で約20億円の上乗せ要因となったことや利益率も想定水準を確保できたことに加え、B/S(貸借対照表)においても、棚卸資産(パイプライン)を大幅に積み増した点は、PMI(買収後の統合プロセス)が順調に進んでいることの証左と言える。また、「ホテル事業」の黒字化も好材料に挙げられる。一方、懸念材料としては、工事原価の高騰や工期の長期化、国内金利の動向などが想定される。特に、工事原価の高騰が既に利益率の低下を招いているが、建設資材の高騰や人件費増は今後も継続する見通しであり、販売価格や家賃相場への転嫁を含め、今後どのように収束していくのかに注目する必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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■業績動向
2. 2024年6月期の業績概要
アーバネットコーポレーション<3242>の2024年6月期の連結業績は、売上高が前期比38.0%増の27,965百万円、営業利益が同12.2%増の2,726百万円、経常利益が同13.4%増の2,426百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同17.5%増の1,701百万円と計画を上回る大幅な増収増益となり、過去最高業績を更新した。
売上高は「不動産事業」及び「ホテル事業」がともに伸長した。主力の「不動産事業」については、1) 不動産開発販売が大型プロジェクトを含めて順調に進み、都市型賃貸マンションの販売戸数は11棟712戸(前期は11棟584戸)と大きく拡大した。特に、高付加価値マンションに対するファンド及びリートからの引き合いが強いようだ。また、2024年2月末から連結化されたケーナインについても、戸建・テラスハウスの分譲販売(23戸)が業績に寄与した。2) 不動産仕入れ販売については中古分譲マンションの買取販売1戸(前期も1戸)を計上。3) その他(不動産仲介及び不動産賃貸業等)についても、賃貸収益物件の安定稼働やケーナイン連結効果により順調に伸びた。なお、売上高が計画を上回ったのは、不動産開発販売において、2025年6月期に予定していたプロジェクト(1棟57戸)の計上が前倒しされたことによる。また、「ホテル事業」についても、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加などにより、客室単価・稼働率ともに好調に推移し、黒字化を達成した。
利益面では、用地価格や建設資材価格の高止まり、工事関連人件費の増加などにより原価が上昇したものの、計画を上回る増収や「ホテル事業」の黒字化により、大幅な増益となった。ただ、経常利益率については原価上昇の影響により8.7%(前期は10.6%)に低下した。
財政状態については、ケーナイン連結化により総資産は前期末比6.2%増の46,972百万円に拡大した。一方、自己資本も内部留保の積み増しや新株予約権の一部※が行使されたことにより前期末比11.2%増の15,062百万円に増加したことから、自己資本比率は32.1%(前期末は30.6%)に改善した。一方、有利子負債(リース債務を除く)についても長短合わせて前期末比11.2%増の29,168百万円となった。
※2023年8月24日付けで発行決議した新株予約権(合計62,000個)のうち、2024年6月末までに14,000個が行使され、合計524百万円の資金調達を行った。
キャッシュ・フローの状況については、1) 営業活動によるキャッシュ・フローが好調な物件販売によりプラスになった一方、2) 投資活動によるキャッシュ・フローはケーナインの株式取得による支出(取得価額約5億円)が、投資その他の資産の減少を上回りマイナスとなった。また、3) 財務キャッシュ・フローについても、借入金の返済や配当金の支払い、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得によりマイナスとなり、その結果、2024年6月期末の現金及び現金同等物残高は8,509百万円(前期末比621百万円減)に減少した。
3. パイプラインの状況
今後の成長につながるパイプラインの状況は、2025年6月期の販売予定分(588戸)に加え、2026年6月期以降についても1,000戸程度(弊社推定)を確保しているようだ。厳しい仕入れ環境が続くなか、ここ数年取り組んできた用地仕入れ人財の育成が稼働してきたことに加え、ケーナイン連結化によるパイプラインの増強も寄与している。
4. 2024年6月期の総括
2024年6月期を総括すると、過去最高業績を更新した業績面に加えて、成長資金の確保を目的とした新株予約権の発行やケーナインの連結子会社化、ストレージ王との業務提携など、活動面でも今後の成長に向けて大きな成果を残したと言える。また、ケーナイン連結化が業績にどのような影響を及ぼすかに注目していたが、おおむね想定どおりの結果を確認することができた。特に、P/L(損益計算書)への影響(4ヶ月分)として、売上高で約20億円の上乗せ要因となったことや利益率も想定水準を確保できたことに加え、B/S(貸借対照表)においても、棚卸資産(パイプライン)を大幅に積み増した点は、PMI(買収後の統合プロセス)が順調に進んでいることの証左と言える。また、「ホテル事業」の黒字化も好材料に挙げられる。一方、懸念材料としては、工事原価の高騰や工期の長期化、国内金利の動向などが想定される。特に、工事原価の高騰が既に利益率の低下を招いているが、建設資材の高騰や人件費増は今後も継続する見通しであり、販売価格や家賃相場への転嫁を含め、今後どのように収束していくのかに注目する必要がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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