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ビューテHD Research Memo(3):高い技術力やデザイン性に加え、事業間シナジーによる価格競争力にも強み
2024/10/02 11:13
*11:13JST ビューテHD Research Memo(3):高い技術力やデザイン性に加え、事業間シナジーによる価格競争力にも強み
■企業特長
1. 生花祭壇事業の特長
ビューティカダンホールディングス<3041>の祖業である「生花祭壇事業」の強みは、1) 生花祭壇の先駆者として長年培ってきた技術難易度の高いデザイン性による差別化に加え、2) 独自の流通システムやスケールメリット、業務効率化を通じた価格競争力にある。1) については、葬家からの要望に応じた創作祭壇の企画・提案に生かされているほか、地域性を加味しながらも全国に同一サービスを展開する体制が構築されている。一方、2) については、後述する「生花卸売事業」との連携(独自の流通システム等)が重要な支えとなっており、「業界のコストリーダー」としてのポジショニングを確立してきたことは、環境変化への対応や今後の事業拡大に向けて大きなアドバンテージとなっている。
2. 生花卸売事業の特長
「生花卸売事業」における強みは、1) 独自の流通システム、2) 情報収集力、3) 値付けの説得力(国内外の最適な調達バランスの実現)、4) 冷蔵輸送などにある。1) については、全国の中央・地方卸売市場との提携や全国の生産者とのネットワークを通じて全国の相場情報を取得し、顧客へのスピーディで満足度の高い商品提供を行っている。また、2) 及び3) については、同一規格の生花であっても地域により価格差があることから、仕入れ担当者を各支店及び営業所に配属することで、各エリアでの価格・需要動向を把握し最適な価格にて提供するほか、国内外からの調達比率のバランスを図ることで、天候不順や需給の急激な変動へのリスクを最小限にした最適調達を実現している。4) では、顧客サービスを強化すべく、国内物流業者と連携して国内外生産地から消費者まで一貫したコールドチェーンを展開している。
3. 事業間シナジーの実現
「生花祭壇事業」と「生花卸売事業」の連携により、1) 利益の相互補完、2) 在庫リスクの軽減、3) 情報のフィードバックによるシナジー創出を実現している。1) については、「生花祭壇事業」における生花祭壇の価格が一定であるのに対し、「生花卸売事業」では仕入れ価格に対する一定の割合が利益となるため、仕入れ価格が下落すると「生花卸売事業」の利益は減少する一方、「生花祭壇事業」では原価が下がることで利益が増加するという利益の相互補完ができる。また、2) については、突発的に受注が発生する葬儀において、同社は花の仕入れ数量を「生花卸売事業」で調整し、かつ「生花祭壇事業」で使用する花を中心に少品種にて卸売を行うため、常に花のロス率を低く抑えている。3) についても、「生花祭壇事業」を通じて消費者や生花店からの需要や消費動向を得る一方、「生花卸売事業」では生産地や卸売市場からの供給動向が獲得できるため、それらの情報をスピーディかつ効率よくフィードバックし相互の事業に有効活用している。
4. M&Aによる業容拡大
同社は、これまでもM&Aを軸とした周辺事業への展開により、規模拡大とシナジー創出(大量物流の実現、顧客基盤や人材等の相互活用、一体となったサービス提供)に取り組んできた。2007年5月に参入した「ブライダル装花事業」は、「生花祭壇事業」と繁忙期が重ならないため、スタッフや車両・設備などの経営資源をうまく融通し合うことで経費の削減を図ることができる。2012年4月に子会社化したソフトウェア開発会社のSHFは、モバイル端末ツールに同社の祭壇や供花を組み込んで全国の葬儀関連会社への売り込みを図るほか、葬儀関連会社向けに各種業務支援システムを提供しており、葬儀業界のDXが進むなかで、顧客との関係をシステムで囲い込むことが可能となっている。2015年6月に連結化したキャリアライフサポートは、サプライチェーンの統合を人材面で支える役割を担っている。この数年においては、コア事業へ集中する方針の下で事業を整理してきた経緯があるが、今後の事業拡大(シェア向上)に向けて、M&Aが重要な成長戦略であることに変わりはない。数々のM&A(PMIを含む)を通じて蓄積してきた知見やノウハウは組織能力を形成しており、今後のM&Aを成功に結び付ける強みとして評価することができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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■企業特長
1. 生花祭壇事業の特長
ビューティカダンホールディングス<3041>の祖業である「生花祭壇事業」の強みは、1) 生花祭壇の先駆者として長年培ってきた技術難易度の高いデザイン性による差別化に加え、2) 独自の流通システムやスケールメリット、業務効率化を通じた価格競争力にある。1) については、葬家からの要望に応じた創作祭壇の企画・提案に生かされているほか、地域性を加味しながらも全国に同一サービスを展開する体制が構築されている。一方、2) については、後述する「生花卸売事業」との連携(独自の流通システム等)が重要な支えとなっており、「業界のコストリーダー」としてのポジショニングを確立してきたことは、環境変化への対応や今後の事業拡大に向けて大きなアドバンテージとなっている。
2. 生花卸売事業の特長
「生花卸売事業」における強みは、1) 独自の流通システム、2) 情報収集力、3) 値付けの説得力(国内外の最適な調達バランスの実現)、4) 冷蔵輸送などにある。1) については、全国の中央・地方卸売市場との提携や全国の生産者とのネットワークを通じて全国の相場情報を取得し、顧客へのスピーディで満足度の高い商品提供を行っている。また、2) 及び3) については、同一規格の生花であっても地域により価格差があることから、仕入れ担当者を各支店及び営業所に配属することで、各エリアでの価格・需要動向を把握し最適な価格にて提供するほか、国内外からの調達比率のバランスを図ることで、天候不順や需給の急激な変動へのリスクを最小限にした最適調達を実現している。4) では、顧客サービスを強化すべく、国内物流業者と連携して国内外生産地から消費者まで一貫したコールドチェーンを展開している。
3. 事業間シナジーの実現
「生花祭壇事業」と「生花卸売事業」の連携により、1) 利益の相互補完、2) 在庫リスクの軽減、3) 情報のフィードバックによるシナジー創出を実現している。1) については、「生花祭壇事業」における生花祭壇の価格が一定であるのに対し、「生花卸売事業」では仕入れ価格に対する一定の割合が利益となるため、仕入れ価格が下落すると「生花卸売事業」の利益は減少する一方、「生花祭壇事業」では原価が下がることで利益が増加するという利益の相互補完ができる。また、2) については、突発的に受注が発生する葬儀において、同社は花の仕入れ数量を「生花卸売事業」で調整し、かつ「生花祭壇事業」で使用する花を中心に少品種にて卸売を行うため、常に花のロス率を低く抑えている。3) についても、「生花祭壇事業」を通じて消費者や生花店からの需要や消費動向を得る一方、「生花卸売事業」では生産地や卸売市場からの供給動向が獲得できるため、それらの情報をスピーディかつ効率よくフィードバックし相互の事業に有効活用している。
4. M&Aによる業容拡大
同社は、これまでもM&Aを軸とした周辺事業への展開により、規模拡大とシナジー創出(大量物流の実現、顧客基盤や人材等の相互活用、一体となったサービス提供)に取り組んできた。2007年5月に参入した「ブライダル装花事業」は、「生花祭壇事業」と繁忙期が重ならないため、スタッフや車両・設備などの経営資源をうまく融通し合うことで経費の削減を図ることができる。2012年4月に子会社化したソフトウェア開発会社のSHFは、モバイル端末ツールに同社の祭壇や供花を組み込んで全国の葬儀関連会社への売り込みを図るほか、葬儀関連会社向けに各種業務支援システムを提供しており、葬儀業界のDXが進むなかで、顧客との関係をシステムで囲い込むことが可能となっている。2015年6月に連結化したキャリアライフサポートは、サプライチェーンの統合を人材面で支える役割を担っている。この数年においては、コア事業へ集中する方針の下で事業を整理してきた経緯があるが、今後の事業拡大(シェア向上)に向けて、M&Aが重要な成長戦略であることに変わりはない。数々のM&A(PMIを含む)を通じて蓄積してきた知見やノウハウは組織能力を形成しており、今後のM&Aを成功に結び付ける強みとして評価することができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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