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三機サービス Research Memo(4):売上高は過去最高を更新、純利益は過去2番目の利益額に(1)

*12:04JST 三機サービス Research Memo(4):売上高は過去最高を更新、純利益は過去2番目の利益額に(1)
■三機サービス<6044>の業績動向

1. 2024年5月期の業績概要
2024年5月期の連結業績は、売上高19,430百万円(前期比31.9%増)、営業利益736百万円(同28.1%増)、経常利益758百万円(同31.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益467百万円(同3.3%増)と増収増益となった。業績予想に対する達成率は、売上高が108.6%、営業利益が同101.0%、経常利益は同103.7%、親会社株主に帰属する当期純利益が同99.6%と、親会社株主に帰属する当期純利益を除くすべてが計画を達成した。なお売上高は過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目となる利益額を達成した。同社を取り巻く事業環境は、エネルギーコストの上昇などに伴って顧客企業の省エネ対策に向けた関心が高まっており、設備維持管理費用の削減ニーズも高い。同社は顧客企業の設備状況に合わせた最適な省エネサービスを提案したほか、全国での営業活動強化に努めた。売上面については、トータルメンテナンスサービスや空調設備改善工事の受注が順調に進捗したことに加え、2024年5月期より通期で連結対象となった兵庫機工の貢献も大きく、結果として2ケタ増収を確保した。

利益面ではサービスエンジニアの多能工化を推進し、メンテナンスだけでなく多様な空調工事にも対応できる体制を強化したほか、保守や修繕作業の効率化による粗利改善策や、M&A効果による生産性向上策を進めた。また人件費などの高騰に伴い、契約先企業との値上げ交渉も進めたが、売上高に対する価格転嫁の効果は前期比軟調に推移し、粗利率としては21.3%(前期比1.7ポイント減)とほぼ前期並みに留まった。今後はこれら施策をさらに強化して継続し、改善に努める。販管費については中期経営計画の一環として人的資本の拡充に取り組み、採用や教育面の投資を進めたが、一方で増収効果もあり、販管費率としては17.5%(同1.6ポイント減)と前期比同水準となった。この結果、営業利益及び経常利益は前期比大幅増益につながった。なお親会社株主に帰属する当期純利益は、損害補償引当金その他の一過性の損失計上があったことにより前期比3.3%の増加に留まったが、利益額としては過去2番目に高い実績となった。

同社は「人的資本経営は企業価値向上の源泉」と考え、事業の拡大には人材の拡充が不可欠であるとの認識の下、中期経営計画においても「専門技術者内製化・育成」と「営業体制の強化」を2本の柱として目標達成に向けた施策を展開している。

電気工事や管工事などの建築工事においては、建設業法により現場毎に主任技術者や監理技術者の設置が義務付けられており、さらに工事内容に応じた専門の資格を有する者の作業への従事が必要になることから、事業規模に応じた資格保有者を有することは企業にとって必須となる。同社は、現在の人手不足による人員確保が困難な業界にあって、2024年5月期には工事メンテナンス部門及び管理部門を中心に100名を超える人材採用を実現した。また従業員の処遇面の改善にも力を入れており、2025年5月期の平均年収は前期比38万円増の589万円となる見込みである。業界平均(472万円)との差は100万円以上となり、従業員満足度向上の一因となっているものと考えられる。また資格取得の奨励にも熱心であり、約100種類の資格を対象に資格手当を支給している。また2025年5月期の従業員の平均年齢は40.4歳となる見込み(業界平均は50.3歳)であり、2023年5月期に比べ1歳下回っており、組織の若返りが進んでいる。

これらの施策は、1) 教育・研修などを通じた人材育成、2) 人材の採用強化、エンゲージメント向上による人材確保・定着、3) 健康と安全、4) ダイバーシティ&インクルージョン、5) 労働環境の公平化、などの人的資本拡充のための取り組みを着実に進めてきていることの証左であると言えよう。また24時間365日コールセンターによる相談体制を敷くために健康経営には力を入れており、4年前より「三機サービス健康宣言」を行い、健康診断受診率、離職率、時間外労働時間、有給休暇取得率などの具体的な目標数値を毎年設定し改善施策を実施してきた。これが評価され、2024年3月に経済産業省及び日本健康会議が主催する健康経営優良認定法人制度において「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定された。

2. セグメント別業績
同社グループのセグメントはこれまで「メンテナンス事業」の単一セグメントであったが、前述のとおり兵庫機工の連結子会社化に伴い、2023年5月期より「建設関連製品サービス事業」を新たにセグメントとして追加した。

メンテナンス事業においては、同社が従来から手掛けている建物設備のメンテナンス・維持管理、ソリューション提案を行うメンテナンスサービス、及びそこから派生する工事を手掛けるメンテナンス事業が対象となる。メンテナンス事業の売上高は17,459百万円(前期比21.3%増)、セグメント利益は696百万円(同12.5%増)と増収増益となった。建設関連製品サービス事業は、兵庫機工が手掛ける、各種建物を対象とする金属製ドア・シャッター・サッシの製造・販売、及び取付工事が対象となるが、2024年5月期は子会社化後初めて通期の業績が反映したこともあり、売上高は1,971百万円(同474.0%増)、セグメント利益は39百万円(前期は44百万円の損失)と大幅に増加した。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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