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いい生活 Research Memo(5):2025年3月期第2四半期は増収減益。人的投資、システム投資を実施(1)

*11:05JST いい生活 Research Memo(5):2025年3月期第2四半期は増収減益。人的投資、システム投資を実施(1)
■いい生活<3796>の業績動向

1. 2025年3月期第2四半期の業績概要
2025年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比で8.2%増の1,447百万円、EBITDAは同16.1%減の232百万円、営業損益は27百万円の損失(前年同期は41百万円の利益)、経常損益は30百万円の損失(前年同期は72百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損益は25百万円の損失(前年同期は45百万円の利益)となった。

売上面においては、サブスクリプション売上が新規顧客の獲得と既存顧客からのアップセル及びクロスセルが堅調に推移し、前年同期比で4.7%増の1,257百万円であった。一方、ソリューション売上も進行中の案件の部分的な計上が進み、同38.5%増の190百万円と大幅に増加した。利益面においては、人的資本への投資の拡大により、新卒採用を中心に人材が積極的に採用され、開発活動にかかる人件費、求人関連費、研修費が増加した。さらに、クラウド・SaaSの運用インフラであるIaaSの利用料等が、米ドル建て取引のため、円安の影響を受けて、売上原価が同12.8%増の652百万円となった。これに加えて、リード獲得のためのマーケティングとインサイドセールスへの投資、及び顧客管理SaaSなど社内システムの機能強化による費用も増加し、販売費及び一般管理費が同14.4%増の822百万円となった。

為替リスクを管理するための為替予約を活用しているが、期間内に円高が進行し、為替差損が営業外損失として発生した。これらの要因が経常損失の拡大につながり、前年同期の経常利益72百万円から大きく減少して経常損失は30百万円となった。

(1) 利用法人数・店舗数
同社の利用法人数と店舗数の推移を見ると、2023年3月期第1四半期から2025年3月期第2四半期にかけて、利用法人数は1,455法人から1,517法人へと緩やかながら持続的に増加している。店舗数も4,406店舗から4,718店舗へと増加しており、特に2025年3月期第1四半期から2025年3月期の第2四半期にかけての増加が顕著である。これは、同社の市場の拡大戦略が功を奏しており、新規顧客の獲得と既存市場での店舗網の拡張が効果的に進んでいることを示している。

(2) KPI
同社は、利用法人数に加え、1顧客当たりの平均月額単価である「ARPU」と特定の期間(月単位)における顧客の売上ベースの解約率である「MRR解約率」をKPIとしている。「ARPU」は、通信業界で事業における健全性や収益性を評価するために使用され、顧客から収益を最大化するための戦略を立てる指標としても活用し、「MRR解約率」は、どれだけの顧客を売上ベースで失っているか、事業の持続可能性や収益予測を図るために用いる。

(a) ARPU
同社の四半期売上高とARPU(平均月額単価)の推移を見ると、2023年3月期第1四半期から2025年3月期第2四半期にかけて、四半期売上高は617百万円から735百万円へと着実に増加している。同時期にARPUは125千円から140千円へと上昇しており、顧客1法人当たりからの収益が増加していることが示されている。このARPUの上昇は、価格戦略の最適化やサービスの付加価値向上が功を奏している可能性が高い。ただし、2024年3月期第4四半期から2025年3月期第1四半期にかけて売上高に一時的な減少が見られるものの、その後は回復しており、全体的な収益成長トレンドはポジティブである。同社は、充実したプロダクトラインナップを展開することで、顧客の課題を深く理解し、段階的なクロスセルを行うことを可能にしている。このアプローチにより、顧客ごとのARPUを持続的に向上させることが期待される。

(b) MRR解約率
2023年3月期第1四半期から2025年3月期第2四半期までのMRR(月次経常収益)解約率の推移を見ると、「ネガティブチャーン」の状況が確認できる。ネガティブチャーンは、解約による収益減少を既存顧客からのアップセルによる収益増加が上回る(解約額がマイナス値となる)現象であり、この現象は顧客満足度が高いことを示している。このデータから解約率がマイナスで表示される期間が多いことが確認される。特に2025年3月期第2四半期に-0.43%と記録されており、これはアップセルが解約を大きく上回っていることを意味する

2024年3月期第1四半期には一時的に解約率が0.65%まで上昇しているものの、これは季節的な要因や市場の一時的な変動によるものである可能性がある。しかしながら、その後の期間で再び解約率がマイナスに戻っていることから、同社が顧客満足度を維持し続けるための戦略が有効に機能していることが窺える。総じて、MRR解約率の推移は同社の顧客維持戦略の成功を色濃く反映しており、継続的な顧客エンゲージメントとサービスの質の向上によって、長期的な収益成長が期待できる。

(3) 人員構成
2024年3月期第2四半期と2025年3月期第2四半期における企業の人員構成の変化を見てみる。5つの主要部門(セールス&マーケティング部門、エンジニア部門、カスタマーサクセス&サポート部門、導入・運用支援サービス部門、コーポレート部門)のなかで、エンジニア部門の人数が目立っている。2024年3月期第2四半期では、エンジニア部門が最も多く、73人が所属している。これに対し、2025年3月期第2四半期には、この部門の人数がさらに増えて87人となり、企業が技術力の強化に注力していることが窺える。セールス&マーケティング部門の人数は2024年3月期第2四半期に65人であり、2025年3月期第2四半期では66人とわずかに増加しているものの、エンジニア部門に比べるとその増加幅は小さい。このデータから、同社が市場の需要に応えるために製品開発と技術革新に重点を置いている様子が垣間見える。加えて、カスタマーサクセス&サポート部門もわずかながら人数を増やしており、顧客サービスと内部サポートの質の向上にも力を入れていることが分かる。総じて、同社は技術革新と顧客満足度の向上を戦略の主軸に置いていると考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)



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