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富士紡HD Research Memo(5):2025年3月期第2四半期の営業利益は前年同期比で2倍超増(2)

*12:05JST 富士紡HD Research Memo(5):2025年3月期第2四半期の営業利益は前年同期比で2倍超増(2)
■富士紡ホールディングス<3104>の業績動向

2. セグメント別業績概要
(1) 研磨材事業
主力の超精密加工用研磨材は、半導体デバイス向けの「CMP用途」は大幅な受注増となった。これは、世界的な生成AIブームを背景に、ロジック系半導体の需要が急激に高まっているためである。またCMP用途では、2025年3月期上期は、顧客が先行きの半導体生産稼働率アップを見込み、通常の在庫水準より多めに社内在庫を積み増したため、同社の受注数量が実需より多く出荷された。CMP用途は微細化や高精細化と生成AIなど最先端半導体向け研磨材(ソフトパッド)であり、高付加価値製品として、収益貢献している。

「シリコンウエハー用途」では想定以上に受注が堅調に推移した。先端品向けシリコンウエハーの需要が堅調で、その影響で伸長したと思われる。また、先端品向け以外のウエハーはまだ需要回復していないが、早晩需要回復するものと思われる。

「ハードディスク用途」でも受注が回復した。これは、データセンター向けハードディスクの更新需要が旺盛、かつデータセンター新設・増設などが背景にある。

一方で、「SiCウエハー用途」での2025年3月期上期受注は振るわなかった。電気自動車(EV)市場が低調で、SiCウエハーも需要右肩下がり、SiC向け研磨材需要も一時的な踊り場にさしかかっているようである。

この結果、売上高は前期比61.0%増の9,209百万円となり、営業利益は同1,971百万円増の2,125百万円(営業利益率23.1%)の増収増益となった。

研磨材事業は高成長のCMP用途市場だけでなく、シリコンウエハーやハードディスクなど多様な用途に展開することでバランスをとっている。

(2) 化学工業品事業
一部の機能性材料では、電子部品関係の需要が底を打ち少しずつ回復基調にあり、稼働率上昇に貢献している。また、得意先(大手化学メーカー)からの処方・レシピや要求仕様に基づき、試作品を開発してきたが、ここにきて、2024年上期より新製品の一部量産化が進められ、受注増に貢献した。

また、原材料・エネルギー価格高騰による製品コスト上昇部分については、2023年4月から随時価格転嫁を進めてきたが、これまでに概ね改定後の価格に置き代わり収益改善効果が得られた。

この結果、売上高は前期比6.8%増の 6,820百万円となり、営業利益は74.0%増の595百万円(営業利益率8.7%)の増収増益となった。

(3) 生活衣料事業
主力のB.V.D.では、量販店販売は一定のボリュームがあるが、大手スーパーの店舗撤退もあり縮小傾向が続いており、数量的には伸ばすのは難しい状況だ。その挽回策として、ネット販売強化をスタートさせ、量販店販売から徐々に販売シフトを進めている。EC販売の急拡大は難しいものの、多様化する顧客ニーズや市場動向に応じ、SNS活用などデジタルマーケティングを強化している。

同事業にはもう1つブランドがある。「アングル」という高級肌着だ。アングルは、海外顧客には、Made in Japanで高評価を得て需要が高まっており、現在、受注好調をキープしている。

この結果、売上高は前期比2.8%増の3,544百万円となり、営業利益は同16.4%減の321百万円(営業利益率9.1%)の増収減益となった。

同社は繊維事業領域で営業利益率8%を上げている稀有な存在である。また、同社にとっては創業事業でもあり、引き続き、構造改革を進め営業利益率の向上を図る。

(4) その他(化成品)事業
化成品部門においては、医療向け受注は好調に推移したが設備投資の償却費負担があり収益面で苦戦した。金型部門は、自動車用金型では、自動車メーカーの品質不正問題等により受注環境は依然厳しく、事務機器用金型では、開発案件の端境期となり苦戦した。

この結果、売上高は前期比3.6%減の1,485百万円となり、営業利益は同86百万円減の-50百万円の減収減益となった。


成長戦略を推進するうえでの健全な財務体質は盤石

3. 財務状況と経営指標
(1) 財務状況
2025年3月期第2四半期末の財務状況は、資産合計が前期末比3,645百万円増加の66,158百万円となった。これは棚卸資産が減少したが、現金及び預金や売上債権が増加したためである。また、固定資産は 同1,440百万円増加の40,263百万円となった。これは研磨材事業や化学工業品事業における設備投資により有形固定資産が増加したことなどによる。負債合計は同1,983百万円増加の20,523百万円となった。流動負債は同2,111百万円増加の13,868百万円、固定負債は同127百万円減少の6,654百万円となった。これは、仕入債務や未払法人税等、設備関係支払手形などのその他流動負債が増加したことなどによる。純資産合計は同1,661百万円増加し、45,635百万円となった。これは、剰余金の配当による減少が623百万円あったほか、親会社株主に帰属する中間純利益の計上による増加が2,095百万円あったことなどによる。

(2) 経営指標
経営指標においては、有利子負債は1,411百万円と低水準で安定しており、また、財務の健全性指標である流動比率186.7%、自己資本比率69.0%、有利子負債比率3.1%と、財務体質は強固であり、中長期的な成長戦略を推進するうえでの経営基盤は盤石であると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)



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