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藤商事 Research Memo(3):2025年3月期中間期は新機種の販売が順調で大幅増収増益に

*16:13JST 藤商事 Research Memo(3):2025年3月期中間期は新機種の販売が順調で大幅増収増益に
■藤商事<6257>の業績動向

1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比37.3%増の25,114百万円、営業利益が同121.6%増の5,725百万円、経常利益が同125.2%増の5,833百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同58.2%増の3,809百万円とおおむね計画どおりに進捗した。

売上高の内訳は、パチンコ遊技機が前年同期比96.4%増の21,108百万円、パチスロ遊技機が同46.9%減の4,005百万円となった。パチンコ遊技機はメインスペック4機種を投入し、販売台数で同85.2%増の53.4千台、パチスロ遊技機は1機種を投入し、同40.6%減の10.0千台となった。パチンコ遊技機のうち、パネル販売※比率は約50%と前年同期から若干低下し平均販売単価の押し上げ要因となった。

※ 販売形態として外枠(本体)、盤面(パネル)、サイドユニット一式を販売する本体販売と、盤面(パネル)とサイドユニットのみを販売するパネル販売の2方式がある。本体枠をモデルチェンジした最初の機種は、すべて枠付きの本体販売となる。売上総利益率は材料費が少ないパネル販売のほうが高くなる。

売上総利益率は前年同期の55.8%から53.1%に低下し、売上総利益は同30.7%増の13,337百万円となった。パネル販売比率が低下したことに加えて、パチスロ遊技機において前期に投入したヒット機種「Lゴブリンスレイヤー」の下取り回収費用が増加したことが要因だ。今後投入する新機種でリユースできる部材が多く、下取りを強化した。このため、今後の新機種の材料費はリユース品の使用により低減し、均して見れば売上総利益率の改善要因となる。

販管費は前年同期比0.1%減の7,611百万円となった。主な増減要因を見ると、広告宣伝費が「御坂美琴生誕祭2024」の開催等により101百万円増加したほか、配送料金高騰の影響等によりその他の販管費が251百万円増加した。一方で、パチンコ遊技機のソフト開発費を中心に研究開発費が369百万円減少したほか、人件費が38百万円減少した。人件費については、給与・賞与が増加したものの退職給付費用が減少した。


「P貞子」「スマスロ ゲゲゲの鬼太郎 覚醒」が計画を上回る販売台数に

2. パチンコ・パチスロ遊技機の販売状況
2025年3月期中間期のパチンコ遊技機の販売台数は前年同期比85.2%増の53.4千台となった。メインスペックの新規タイトルとして、前期末に発売した「P FAIRY TAIL これが七炎竜の力だ」、「P魔王学院の不適合者」(2024年5月発売)、「P貞子」(同年6月発売)、「P とある科学の超電磁砲2」(同年7月発売)を市場投入したほか、シリーズ後継機種などを継続販売した。主力タイトルの「P とある科学の超電磁砲2」は予定台数を販売し、稼働状況も順調だった。また、新規IPとして注目された「P魔王学院の不適合者」は他メーカーの人気機種と重なったこともあり稼働状況はやや物足りなかったが、おおむね想定どおりだった。一方、「P貞子」は、同社比2倍のヘソサイズで回る「BIGスタート」や、玉の動きでドキドキ感を味わえる「祠チャレンジ役物」など新たなゲーム性を取り入れたチャレンジ機種として投入した。幅広い年代の客層から支持を集め現在も稼働を続けており、当初の販売台数が少なかったこともあり追加増産を2回実施した。同社の斬新な開発力が生かされた格好だ。

一方、パチスロ遊技機の販売台数は前年同期比40.6%減の10.0千台となった。前年同期は2機種の投入だったのに対して当中間期は「スマスロ ゲゲゲの鬼太郎 覚醒」(2024年7月発売)1機種の投入に留まったが、販売台数は、当初計画から2割程度上回ったものと見られる。


無借金経営で手元資金は220億円超と潤沢

3. 財務状況と経営指標
2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比9,376百万円増加の60,720百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産で棚卸資産が484百万円減少した一方、現金及び預金・有価証券が2,334百万円、売上債権が5,015百万円それぞれ増加した。固定資産では繰延税金資産が746百万円、長期前払費用が363百万円減少した一方で、保有株式の株価上昇等により投資有価証券が3,653百万円増加した。

負債合計は前期末比3,946百万円増加の12,349百万円となった。流動負債で買掛金が1,657百万円、未払法人税等が1,236百万円それぞれ増加したほか、固定負債で繰延税金負債564百万円を計上した。純資産合計は同5,430百万円増加の48,371百万円となった。配当金626百万円を支出した一方で、親会社株主に帰属する中間純利益3,809百万円を計上し、その他有価証券評価差額金が2,345百万円増加した。

財務指標を見ると、自己資本比率は前期末の83.6%から79.7%と若干低下したが、無借金経営で手元キャッシュも220億円超と潤沢なことから、財務の健全性は確保されていると判断できる。売上規模に対して手元キャッシュが高水準となっているが、ビジネスモデルが開発先行型であり、継続した機種開発を行うためには手厚い内部留保とキャッシュが必要なためだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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