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NSW Research Memo(10):中期経営計画最終年度も目標達成に向けて重点戦略を意欲的に推進(3)

*13:10JST NSW Research Memo(10):中期経営計画最終年度も目標達成に向けて重点戦略を意欲的に推進(3)
■NSW<9739>の中長期の成長戦略

3. 業績目標とセグメント別の計画
重点戦略を推進することで、計画最終年度の2025年3月期には、売上高50,000百万円(2022年3月期実績比15.1%増、年平均成長率4.8%増)、営業利益率11%を業績目標とした。2023年3月期からスタートした4セグメント制で増収を継続し、おおむね2022年3月期並みの営業利益率を維持することで、増収増益を達成する計画である。これは、同社が3年後の達成を目指す最低限の目標を示した保守的な計画だと考えられる。事実、売上高・営業利益率は2年目まで目標を上回って推移しており、最終年度の2025年3月期も売上高52,000百万円、営業利益率11.5%を予想し、目標を上回って着地する見通しだ。2025年3月期決算に注目したい。

中期経営計画達成に向けた各セグメントの事業方針と進捗状況は、以下のとおりである。

(1) エンタープライズソリューション
各業種ノウハウを生かしたDXオファリングを推進する。流通業向けにはESL/欠品検知/接客/配送/EC通販連携、製造業向けにはERP※/デジタル生産支援/物流改革/AI図面、物流向けにはAI配送/画像識別/ロボティクス/卸向けSCM、金融向けにはクラウドシフト/モダナイゼーション、公共向けにはデジタルガバメント政策対応、などを推進している。これらの施策により、2025年3月期に売上高17,000百万円(2022年3月期比14.1%増)、営業利益率13%(2022年3月期は13.2%)を計画している。2025年3月期の通期予想として売上高16,800百万円、営業利益率13.2%を予想し、売上高は計画を小幅未達ながら営業利益率は上回る見通しである。

※ Enterprise Resource Planningの略で、企業が有する経営資源を一元管理しリアルタイムで経営判断に役立てるシステム。

(2) サービスソリューション
顧客のDX部門へのアプローチを強化しDX推進を支援するほか、ビジネスモデル変革事業の対応領域の拡大、クラウドネイティブへの対応強化とデータマネジメント領域の拡大などを推進する。これらの施策により、2025年3月期に売上高14,000百万円(2022年3月期比18.1%増)、営業利益率7%(2022年3月期は4.4%)を計画している。体制強化のコストや不採算案件の影響がなくなり、今後は利益も改善する見通しであることから、営業利益率については上昇を計画している。2025年3月期の通期予想として売上高15,300百万円、営業利益率6.6%を予想し、売上高は計画を大幅超過ながら営業利益率は下回る見通しだ。2025年3月期中間期までで不採算案件の処理を終え、下期からは平常モードに戻ることから、利益改善を図ることが大きな課題である。

(3) エンベデッドソリューション
既存の組込み技術領域を活用したサービスの創出、エッジコンピューティング分野の推進、自動運転や5G/6Gなど成長分野への取り組み強化と事業拡大などを推進する。これらの施策により、2025年3月期に売上高10,000百万円(2022年3月期比13.5%増)、営業利益率13.5%(2022年3月期は13.8%)を計画している。2025年3月期の通期予想として売上高10,700百万円、営業利益率14.2%を予想し、計画を超過達成する見通しだ。

(4) デバイスソリューション
LSI開発技術を基盤としたデザインサービスの拡大、クラウドデザインサービス事業への展開、DeepLearningをコアとした事業推進などを図る。これらの施策により、2025年3月期に売上高9,000百万円(2022年3月期比14.0%増)、営業利益率14.5%(2022年3月期は15.3%)を計画する。2025年3月期の通期予想では売上高9,200百万円で計画を超過するものの、営業利益率13.6%で計画を下回る見通しである。国内のリソース不足や新規市場開拓の両面で、海外展開推進の成果が待たれる。

4. サステナビリティへの取り組み
同社では、企業理念である「Humanware By Systemware」に基づく事業活動を通じ、時代とともに変化する様々な社会課題の解決に取り組んできた。中期経営計画においても企業としての成長と社会課題の解決の両立を目指してESGをはじめとしたサステナビリティ(持続可能な社会の実現)経営を推進している。

環境への取り組みとしては2013年4月に環境方針を発表し、効率化・省力化のためのソリューションを提供することで環境負荷の軽減を目指すほか、オフィスの省エネ・省資源活動などに取り組んでいる。社会との関わりとしては、ダイバーシティを挙げている。創業以来、個性、感性、創造性など「ヒューマンウエア」を大切にし、従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境づくりに努めており、仕事と家庭生活の両立を支援する様々な施策、各種制度の整備(フレックスタイムなどの勤務体系の整備、失効年休の利用制度、出産などを理由に退職した社員の再雇用制度)を実施してきた。ガバナンスでは従来からコーポレート・ガバナンスに注力しており、迅速かつ的確な意思決定を行うこと、並びに株主や投資家に対し、経営の透明性を高めていくことが企業としての重要課題であると認識している。そのために、取締役会構成員数の適正化、執行役員制度の導入、社外取締役の選任など、制度の見直しを適宜図っている。また、継続的なディスクローズ活動及びIR活動を通じて、株主や投資家の声を経営に反映する努力を続けている。

サステナビリティへの取り組みでは、同社の山梨ITセンターは、2023年4月には「やまなしSDGs推進企業」として登録されている。SDGsは環境改善によって持続可能な開発目標のことで、同社はSDGsに積極的に取り組む企業として認められたことを示す事例だ。さらに、同センター敷地内に太陽光パネルを設置し、2025年3月期下期より運用を開始する予定である。データセンターの電力使用量の約20~30%を賄う計画で、非常時には地域住民向けに再エネ電力の一部を提供できるよう計画している。

近年、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に対する企業の取り組みを重視して投資銘柄を選定するESG投資が世界的に重視される傾向にあり、日本でも成長余地が大きいと見られる。その意味でも、環境・社会貢献活動に積極的に取り組む同社が注目される可能性は高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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