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リログループ Research Memo(5):営業利益は売上収益を上回る大きな伸び

*11:35JST リログループ Research Memo(5):営業利益は売上収益を上回る大きな伸び
■リログループ<8876>の業績動向

1. 2025年3月期第2四半期の業績動向
2025年3月期第2四半期の業績は、売上収益70,073百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益15,664百万円(同25.1%増)、税引前中間利益37,899百万円(同190.6%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益32,972百万円(同273.6%増)となった。従来通りストックを積み上げることに注力してきたことに加え観光事業における施設の売却が前倒しになったこともあり、営業利益は売上収益を上回る強い伸びとなった。なお、SIRVA-BGRS Holdings, Inc.の債権放棄に伴う為替換算調整戻り益の発生と日本ハウズイング(株)の売却など資本の組み替えを実行したことにより持分法による投資の売却益などが発生し、税引前中間利益と親会社の所有者に帰属する中間利益は営業利益を上回る増加となった。

日本企業の海外進出が活発化し、企業のグローバルな競争が激化する環境下、同社は企業使命に基づき「世界規模で展開する『生活総合支援サービス産業』の創出」、「グローバル・リロケーションカンパニーNo.1」というビジョンを掲げている。このビジョンの実現に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画「新第三次オリンピック作戦」で、国内市場シェアダントツNo.1に向けた国内事業のさらなる強化に取り組んでいる。この結果、借上社宅管理事業における管理戸数や福利厚生事業における会員数などストック基盤が堅調に積み上がったことなどにより売上収益が2ケタ増加、また観光事業において施設売却益をその他の収益に計上したため、営業利益は20%を超える伸びとなった。一時的要因だが、優先株式関連債権の放棄により為替換算調整戻り益が発生したため持分法投資損益約30億円、及び日本ハウズイングの株式売却に伴う持分法による投資の売却益187億円が発生し、親会社の所有者に帰属する中間利益は4倍近くの伸びとなった。なお、期初予想に対する進捗率は売上収益で50.1%、営業利益で52.2%となり、全体の業績はおおむね計画線で推移しているものと思われる。


全セグメントで増収増益となった

2. セグメントの動向
2025年3月期第2四半期のセグメント業績は、リロケーション事業が売上収益48,408百万円(前年同期比10.6%増)、営業利益8,834百万円(同14.3%増)、福利厚生事業が売上収益13,384百万円(同9.6%増)、営業利益5,952百万円(同7.6%増)、観光事業が売上収益7,720百万円(同14.9%増)、営業利益2,899百万円(同146.3%増)となり、ほぼ全事業で増収増益となった。

(1) リロケーション事業
リロケーション事業を構成する借上社宅管理事業、賃貸管理事業、海外赴任支援事業はともに堅調で、事業全体で2ケタ増収増益となった。なお、一部取引の計上方法変更により、リロケーション事業の内部で数値の入り繰りがあった。変更に合わせて2024年3月期第2四半期の業績数値を調整すると、リロケーション事業全体の売上収益が44,745百万円、営業利益は変わらず、借上社宅管理事業の売上収益が14,050百万円、営業利益が3,091百万円、賃貸管理事業の売上収益が23,421百万円、営業利益が3,318百万円となるが、業績動向の見方に大きな影響を与える水準ではないと思われる。

2025年3月期第2四半期の借上社宅管理事業の売上収益は15,822百万円(前年同期比19.6%増/調整後前年同期比12.6%増)、営業利益は3,518百万円(同8.1%増益/同13.8%増)となった。借上社宅管理事業における管理戸数が267,113戸(前年同期比9.3%増)と増加し、ストック基盤が順調に拡大したことで管理手数料収入が伸びた。祖業でもある留守宅管理については、近年低調だったことから2020年3月期に海外赴任から切り離して社宅管理と一体化するなどテコ入れが奏功しており、管理戸数が9,687戸(同3.4%増)と増加している。物件検索など転居支援サービスの利用件数が増加、転勤に伴う引越や賃貸仲介などの収入も増加した。また、こうした管理事業は一戸建てや一部屋単位が基本だが、1棟をサブリースしてまるごと企業が借上社宅として使う場合もあり、今回、そうした物件でオーナーチェンジがあったことにより、スポットで1億円程度の利益を計上した。

賃貸管理事業の売上収益は24,085百万円(前年同期比3.6%増収/調整後前年同期比2.8%増)、営業利益は3,604百万円(同14.2%増益/同8.6%増)となった。賃貸管理戸数が121,204戸(前年同期比3.7%増)となって稼働率の高いストック基盤が堅調に積み上がったことに加え、不動産売却粗利益が1,773百万円(同6.6%増)と伸長した。賃貸管理戸数の伸びが1ケタ前半にとどまったのはM&Aが少なかったことが要因だが、上場企業で継続的にM&Aしている企業が同社くらいであるうえ、シェアの拡大とともに情報が入りやすくなってきたため、一時的なものといえよう。一方、工事収益は想定以上に伸びている模様である。

海外赴任支援事業の売上収益は8,501百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益は1,711百万円(同30.0%増)となった。海外赴任支援世帯数については、北米に次いで多い中国への赴任支援世帯数が低迷したため減少したが、他のエリアは増加傾向にある。にもかかわらず2ケタ増収増益となったのは、北米におけるサービスアパートメントの稼働が好調に推移したことに加え、インバウンド(国内への外国籍赴任者)支援の伸長や一部価格の見直しが要因である。

(2) 福利厚生事業
福利厚生事業は、会員の新規獲得が進んだことに加え、住まいの駆け付けサービスが好調に推移したことから、増収増益となった。需要が根強く会員数が742万人(前年同期比7.1%増)、契約社数も13,191社と着実に増加し、ストックとなる会費収入は前年同期比11.4%増と好調に推移した。契約の獲得は強みの中小、地方企業の新規獲得が進み、また大手企業の他社からの切り替えが進行し引き続き好調に推移した。業界トップ企業が大手生命保険会社にM&Aされた影響も要因の1つと考えられるため、こうした流れは今後も続きそうだ。また、HR(ヒューマンリソース)関連サービスによるアップセルも徐々に増加した。この結果、営業利益については前年同期比7.6%増となったが、前年同期に約1億円の一過性利益があったことを考慮すると実質9.6%増ということになる。ただし、福利厚生が好調だった一方、顧客のマーケティングを支援するCRM事業が、コロナ禍後、企業のマーケティング予算の見直しが続いていることを背景に、想定に届かなかった。

(3) 観光事業
観光事業は、ホテルの平均客室単価の上昇や新規開業施設の収益貢献に加えて施設売却があったことから、増収大幅増益となった。売却を想定して所有・運営している物件が同社には20〜30あり、このうちの一部施設を売却したものが今回の施設売却である。これは観光事業の通常の営業行為によって経常的に発生する収益で、日本基準であればBSに販売用不動産、PLに売上収益として計上されるべきものだが、IFRS基準のためBSには有形固定資産、PLにはその他収益として計上されている。業績への施設売却の影響は大きかったが、夏の稼働が好調だったことに加え新規施設の貢献もあって、施設売却による影響を除いても営業利益は前年同期比35.6%増と非常に大きな伸びとなった。足元の秋の稼働も引き続き好調のようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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