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クリアル Research Memo(3):個人投資家向け不動産ファンドオンラインマーケットサービス「CREAL」が主力

*13:03JST クリアル Research Memo(3):個人投資家向け不動産ファンドオンラインマーケットサービス「CREAL」が主力
■事業内容と特長

1. 事業の概要
同社グループでは資産運用プラットフォーム事業として、投資主体、投資金額、投資対象ごとに「CREAL」「CREAL PRO」「CREAL PB」「その他」の4つのサービスを展開している。各サービスで対象顧客の投資・運用方針に沿った事業コンセプトを追求しつつ、各サービス間でのシナジー創出を念頭に一体となって運営しているため、事業セグメントとしては単一セグメントとなっている。サービス別の売上高構成比は、2025年3月期第2四半期で「CREAL」が34.8%、「CREAL PRO」が46.2%、「CREAL PB」が18.1%、「その他」が0.9%となっている。

2. 各サービスの特長
(1) 「CREAL」
クラウドファンディングを活用した、個人投資家向けの不動産ファンドオンラインマーケットサービスで、1万円から資産運用ができる。余剰資金を短期的(5年以内)に運用する目的での投資にマッチしている。2024年2月末時点でクリアル<2998>が組成し運用しているファンドの想定利回りの平均値は4.3%で、2024年11月末現在で元本割れはない。2022年11月に岸田政権下において「資産所得倍増プラン」の正式決定後は、2024年1月から新NISAの制度が開始されるなど個人の投資に対する垣根は低くなってきている。円ベースの運用かつ短期で、4~5%内外の利回り獲得を期待できる運用商品は少なく、市場としても追い風にあると言える。同サービスでは、資産運用のプロが運営していること、保育園などESG不動産からレジデンス、ホテル、オフィスと多様な不動産へ投資できることが、競合との大きな差別化要素となっている。「CREAL」の売上総利益はGMV×テイクレート※から成り立っており、GMVの伸長が同サービスの利益拡大に大きく寄与する収益構造となっている。

※ GMVに対して運営企業が得られる収益の比率。

「CREAL」は特定の物件に対して投資するファンドであり、募集期間中に一定以上の投資資金が集まるとファンドが成立となり、運用を開始する。運用で得られた家賃収入は投資金額に応じて投資家に分配され、運用が終了すると不動産売却により投資元本が返還される仕組みとなっている。「CREAL」では、同社があらかじめ設定した想定配当利回りをリターン目標におき、投資家が1口1万円から様々な不動産に投資できるうえ、投資家登録から投資実行に至るまでのすべてをオンラインで完結している。投資後の物件の管理から運用、そして売却に至る運用プロセスについては、高度な不動産投資ノウハウとIT技術によって高度化された投資システムを有する同社に一任し、投資家は手間や時間、高度な知識を要することなく不動産ファンド運用が可能となる。

「CREAL」では「情報の透明性」を重要視しており、募集金額や想定利回り(インカムゲイン、キャピタルゲイン内訳)、想定運用期間、想定初回配当日、投資対象の不動産についての詳細情報や、運営者へのインタビュー動画を商品案内ページに掲載している。また、対象となる不動産の概要や所在地の明示のみならず、プロジェクトについての投資リスクの内容とその手当のほか、不動産価格調査報告書やエンジニアリングレポート等の専門家の第三者レポートも開示している。加えて、物件の運営者の概要・投資対象が所在するエリアや市場のマクロマーケットの概況、投資リターンの参考となる類似物件の賃貸事例や売却事例の提示のほか、ファンドにおける調達資金とその使途、投資リターンのシミュレーション機能の提供も行っている。

「CREAL」はサービス開始以来、資金供給が難しいとされてきた保育園や学校、地方創生関連などのESG不動産領域の投資案件創出にも注力してきた。ESG不動産は投資規模が小さく資産運用対象としての実績に乏しく、これまでは機関投資家から注目されにくいという課題があった。同社では「CREAL」のクラウドファンディングを活用して、個人投資家からの投資資金を供給するパイプ・インターフェースとしての役割を果たし、社会性と投資商品性の両立に成功した。

これらのESG不動産への投資実績は、同社のSDGsを重要視した経営方針を明示していると言える。ESG企業としてこのようなコンセプトで主力サービスを展開し、良好な運用実績とともに個人を含む幅広い投資家の支持を得て成功している資産運用支援企業は希少であると弊社では見ている。同社及び「CREAL」の特長の1つである。

また、投資家保護の観点から、出資持分を優先部分と同社の出資による劣後部分に分けている。「CREAL」の投資家は優先部分に出資し、同社が出資する劣後部分(5%程度)よりも優先的に配当等を受け取る仕組みを構築することで、想定どおりに収益が生じなかった場合のリスクを同社が劣後出資額を上限として負担する。同社が劣後出資で顧客投資家とともに投資することは、優先部分への配当及び元本償還等の確実性を高め、顧客投資家の安心感を醸成し、同社への信頼を高める大きな要素となっている。

「CREAL」の動きとして特筆すべき点は、SBIホールディングスとの資本業務提携に基づき、(株)SBI証券からの送客が2024年3月期から本格化し、「CREAL」の急成長の原動力となっている点である。また、不動産売却においてもSBIマネープラザ(株)の顧客への物件紹介が活発になってきている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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