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イノベHD Research Memo(9):株主還元を強化

*12:09JST イノベHD Research Memo(9):株主還元を強化
■イノベーションホールディングス<3484>の成長戦略

3. 株主還元策
株主還元については2024年3月期より配当方針を変更し、2024年3月期と2025年3月期については配当性向を40%~50%台とした。さらに利益成長に合わせて連続増配を行う方針としている。この方針に基づいて2025年3月期の配当予想は前期比1.0円増配の21.0円(期末一括)としている。4期連続増配で、予想配当性向は42.3%となる。

なお株主優待制度(毎年3月31日時点で1年以上保有している株主が対象)については2023年8月に内容変更を発表した。2024年3月期は3月31日時点で同社株式を500株以上保有し、かつ1年以上継続して同社株式を100株以上保有している株主にジェフグルメカード10,000円分を贈呈した。2025年3月期以降は、毎年3月31日時点で同社株式を500株以上保有し、かつ1年以上継続して同社株式を500株以上保有している株主にジェフグルメカード10,000円分を贈呈する。


「居抜き」店舗の活用は廃棄物削減に貢献

4. サステナビリティ経営
同社はサステナビリティ経営も強化している。CSR活動としては2019年6月より、同社が転貸借した飲食店を利用して子ども食堂「お店のこども食堂」を推進している。食事が十分に取れない子どもへの食事の提供にとどまらず、親の帰宅まで居場所がない子どもへの居場所づくり、子育て支援など、より広く開かれた社会的インフラになることを目指している。この取り組みが評価されて2022年度グッドデザイン賞を受賞した。なお2024年9月末時点の累計実績は参加店舗数74店舗、食事提供数8,066食となっている。

また、店舗転貸借事業は「居抜き」物件を活用するため、造作物(厨房機器、エアコン、テーブル、床コンクリート、排水管、排気ダクト、看板等)の廃棄量削減に貢献するビジネススキームである。店舗の造作物は一般的に解約時に毎回撤去され、契約時に毎回新たに設置されるのが通常だが、居抜き物件(造作物が残っており、すぐに営業できる状態の物件)を飲食テナントに転貸することで、造作物のリユース・リデュース(再使用・発生抑制)を行い、廃棄物を削減することが可能になる。同社が直近5年間で削減した造作物の廃棄量(試算)は15,255,000kgで、大型トラック(10t)約1,525台分に相当する。


各種施策の着実な実行により企業価値向上を目指す

5. 東証プライム市場の上場維持基準の適合に向けた計画書
同社は2022年4月に実施された東証の市場再編に伴ってプライム市場へ移行したが、移行基準日(2021年6月30日)時点の流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していなかったため、2021年12月15日付でプライム市場の上場維持基準の適合に向けた計画書を開示した。中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上と企業価値の向上を図るとともに、積極的な株主還元策、IR活動などの取り組みも強化し、2028年3月末までに流通株式時価総額の上場維持基準の適合を図るとしている。

その後、流通株式比率の向上に向けて2023年11月に、自己株式を活用した第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項及び停止要請条項付)の発行を決議した。割当先は東海東京証券(株)、発行新株予約権総数は9,000個(新株予約権1個につき100株)、行使可能株価は1,340円、下限行使価額は1,198円、行使期間は2023年12月7日~2026年12月7日、調達予定金額(差引手取概算額)は1,077百万円である。同社が保有する自己株式900,608株を活用するため新株は発行しない。流通株式比率の向上により、流通株式時価総額の向上及び1日平均売買代金の増加に好影響を及ぼし、東証プライム市場の上場維持基準の充足に資することが期待される。

なお2024年6月に上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況をリリースした。2024年3月31日時点では流通株式時価総額が上場維持基準に適合していないため、引き続き中期経営計画で掲げた各種施策の着実な実行によって継続的な業績向上や企業価値の向上を図り、計画期間である2028年3月末までに上場維持基準への適合を図るとしている。


転貸借物件数が増加基調である点を評価、シナジー創出の状況に注目

6. アナリストの視点
外食産業の規模は大きく、店舗数では同社がターゲットとする小規模事業者が大半を占めている。また、開業・廃業による入れ替わりが激しいため、同社の「東京・飲食店・居抜き」領域の店舗転貸借事業にとってビジネスチャンスは豊富であり、さらなる市場開拓余地も大きい。こうした事業環境の下、ストック収益のベースとなる転貸借物件数が右肩上がりの増加基調であり、今後も安定的に収益拡大基調が期待できる点を弊社では高く評価している。さらに、持株会社体制へ移行して、不動産事業者・オーナーを接点とする3事業(店舗転貸借事業、不動産売買事業、家賃保証事業)の展開とシナジー創出を加速させる方針であり、今後のシナジー創出の状況に注目したいと弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)



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