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マイクロアド Research Memo(1):主力の「UNIVERSE」の売上は20%成長。安定成長に向け基盤を強化

*13:01JST マイクロアド Research Memo(1):主力の「UNIVERSE」の売上は20%成長。安定成長に向け基盤を強化
■要約

マイクロアド<9553>はデータとテクノロジーの力を活用し、顧客が抱えるマーケティング課題の解決に貢献している企業である。同社の主力はマーケティングプロダクト「UNIVERSE」で、外部企業とメディアが保有する大量のデータを収集・蓄積、データから多種多様な特性を持つ消費者の購買行動を分析したうえで、顧客ごとに適切な広告配信を行っている。また、Webメディアにおける総合的な収益化支援を目的としたプロダクト「MicroAd COMPASS」、デジタルサイネージによる広告配信やコンテンツ配信を一元管理する「MONOLITHS」なども提供している。海外子会社においてはデジタルマーケティングの総合的なコンサルティングサービスも手掛けている。

1. 2024年9月期の業績概要
2024年9月期の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の13,712百万円、営業利益が同63.1%減の307百万円、経常利益が同60.1%減の294百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同50.0%減の282百万円となった。「UNIVERSE」が同19.6%増収と引き続き好調でトップラインの拡大をけん引したほか、メディア向けコンサルティングも同13.7%増と売上を伸ばした。「UNIVERSE」はGoogle LLCによる3rd Party Cookie廃止(以下、Cookie廃止)の延期・撤回※を受け、下期に見込んでいたテスト需要が消滅したものの、業界特化型プロダクトの拡販によって稼働アカウント数を順調に積み上げた。利益面では「UNIVERSE」の売上総利益が同8.9%増と好調だった一方で、「デジタルサイネージサービス」が先行投資により減益となったことに加えて、積極的な人員採用によって全社コストが膨らんだことなどが響いた。

※ Googleが3rd Party Cookieを段階的に廃止すると発表し、その後度々延期を発表していたが、2024年7月23日に3rd Party Cookieの廃止を撤回した。


2. 2025年9月期の業績見通し
2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比9.4%増の15,004百万円、営業利益で同28.5%減の219百万円、経常利益で同29.5%減の207百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同89.3%減の30百万円を見込んでいる。売上面では「UNIVERSE」とインバウンドが好調な「海外向けコンサルティングサービス」をけん引役に、2024年9月期を上回る成長を見込んでいる。利益面は、人員を拡充したことによるコスト増や生産性向上施策として実施する(株)MADSの非連結化と子会社清算などに伴うコストが影響し、減益となる見通しだ。同社は2025年9月期を2026年9月期以降の安定的な売上成長に向け、新規サービスの立ち上げや生産性の向上によるコストの見直しなどにより基盤強化に注力する方針である。

3. 中長期の成長戦略
同社は「アドテクノロジーの企業から、総合データカンパニーへ」というスローガンのもとに、データ活用を軸とした中長期成長戦略を描いている。「データプロダクトの拡大」「新領域へのデータ活用」を基本戦略とし、業績の拡大と企業価値の向上を目指す。販売体制の強化と新製品の投入を継続的に実施することによって「UNIVERSE」の稼働アカウント数を増やし、人材投資によって付加価値の高い製品を継続的に生み出す質の高い人材プールを構築する。最終的には広告サービスという枠に留まらず、保有している膨大なデータや分析技術を活用して新領域の積極参入へつなげる。最近でもインバウンド関連の新規サービスや越境EC関連の新規サービス、「UNIVERSE」関連の新規サービスなど、市場投入を続けている。また、同社はこれまでポストCookie時代の先行者優位を獲得するために各種開発投資を積極化してきた。GoogleよりCookie廃止は撤回されたものの、今後はGoogle ChromeユーザーがCookieの許諾を選択できる見通しである。既にCookie代替技術の開発及び提供準備は整っていることから、今後は開発リソースを新規サービスや事業の開発に再度振り向けることによって業績の拡大と企業価値の向上を目指す。

■Key Points
・2024年9月期は増収減益。「UNIVERSE」が好調も「デジタルサイネージサービス」における先行投資や人員拡充などが影響
・2025年9月期も増収減益。2026年9月期以降の安定成長に向け、新規事業立ち上げや生産性向上などの基盤強化に注力
・既存事業の成長と新領域へのデータ活用によってさらなる成長加速を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)



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