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マイクロアド Research Memo(3):「UNIVERSE」の販売拡大に向け営業拠点2支社を新設

*13:03JST マイクロアド Research Memo(3):「UNIVERSE」の販売拡大に向け営業拠点2支社を新設
■マイクロアド<9553>の会社概要

a) 「UNIVERSE」を活用した新マーケティングプロダクト
「UNIVERSE」は保有するデータを組み合わせるため新規のシステム開発は必要なく、即座に新商品の提供が可能である。「UNIVERSE」の保有データを活用した新たなマーケティングプロダクトとして、2023年2月に移住・旅行・ふるさと納税といったユーザーの需要に対して地方自治体がより適切なターゲティング広告を配信できる「まちあげ」、同年6月にNISAの口座を開設する見込みが高い層へ広告配信できる金融業界向けサービス「UNIVERSE for 新NISA」、同年8月に企業にエントリーする見込みが高いと推定される学生に対しターゲティング広告配信を行う新卒採用に特化した「マーブル」など、複数のサービスを順調に市場に投入してきた。

2024年9月期には、2023年10月に連携する位置情報データ量の総数を2倍に拡充し「まちあげ」の機能を強化したほか、2024年5月に(株)JTBコミュニケーションデザインと共同開発した観光プロモーション支援サービス「AITでまちあげ」をリリースした。また、「UNIVERSE」のデータを活用した新たなサービスとして同年10月にBtoB企業向け商談獲得ツール「ショウグン」を、小売・ECサイト・予約サイト等をリテールメディアとして広告媒体化するサービス「URMS」を、同年11月には企業のWebサイトの表示速度を高速化し商品の購買率などを改善する「Content Accelerator」を提供開始した。引き続き新規プロダクトの開発、既存プロダクトの性能強化や機能拡充を継続して実施している。

b) 「UNIVERSE」の稼働アカウント数
「UNIVERSE」の主要なKPIである稼働アカウント数は好調に推移している。2024年9月期第4四半期の累積稼働アカウント数は前期比8.4%増の1,720件に拡大した。新プロダクトのタイムリーな市場投入やデータ連携による既存プロダクトの性能強化、顧客属性ごとに最適化した営業体制による営業活動の推進などがアカウント数の増加に寄与してきた。各業界業種に特化することよって顧客ニーズは今後も高まることが予想され、稼働アカウント数も順調に推移すると弊社は推察する。また顧客企業のKPIを深く理解することにもつながり、データから抽出したインサイトを適切にKPIと関連付けながら顧客に提案できるという点も同社プロダクトの訴求力を高める要因となっている。実際、2024年9月期においてもリピートアカウントは高水準を維持しており、同社の高い提案能力が顧客の継続利用につながっているようだ(2024年9月期におけるリピートアカウントの割合は公表されていないものの、2023年9月期第2四半期の稼働アカウントに占めるリピートアカウントの割合は約8割と高かった)。顧客企業のKPIに対する深い理解とそれに基づく提案は同社の長い事業活動のノウハウによるもので、他社には模倣が難しく、同社が競争優位にしているポイントと言える。

さらに、累計リピート月数が長くなるにつれて、顧客当たりの月額単価が拡大する傾向にある。顧客が広告活動に投じる予算を段階的に増やしていることが要因だ。今後も新規アカウントの拡大と並行して、リピートアカウントが積み上がることにより、同社の業績も順調に拡大するものと想定される。

c) 「UNIVERSE」関連トピックス
近年のプライバシー保護に対する意識の高まりを受け、同社は今後のデジタルマーケティング市場において先行者利益を獲得することを目的として、2024年7月に企業が保有する1st Party Dataの分析や活用を支援する各種ソリューションを提供しているUNCOVER TRUTHを連結子会社化した。潜在顧客を対象としたブランドマーケティングに強みを有する「UNIVERSE」と1st Party Dataの分析や活用に強みを持つUNCOVER TRUTHのノウハウ・ソリューションを組み合わせることによって、より包括的なマーケティングソリューションを提供することができる体制を整え、同社の競争優位をさらに高める構えだ。

また「UNIVERSE」の販売拡大に向けた取り組みとして、2024年2月に広島支社、同年4月に仙台支社を新設した。これは、地方自治体及び拠点周辺企業のデジタルマーケティング需要の高まりに対応するためだ。同社によると2支社では顧客からの引き合いが旺盛であり、足元で業績が好調に推移している。

(2) 「デジタルサイネージサービス」
MADSは、広告主・ロケーションオーナーの双方をターゲットに「MONOLITHS」を提供している。ロケーションオーナーは自社が保有するデジタルサイネージを一括で管理できるCMSとして「MONOLITHS」を活用し、デジタルサイネージで配信するコンテンツをリアルタイムでWebブラウザを通じて管理できる。また、管理画面より広告枠を設定し、その広告枠をアドネットワークの広告在庫として提供できる。一方、広告主は「MONOLITHS」を使用することによって「渋谷エリア×土日×夕方」のような細かいセグメントで広告枠を買えることに加え、天気やSNSなどの外部データを配信に反映できる。同社のデジタルサイネージは屋外大型ビジョン、ドラッグストア、スーパーマーケット、美容サロン、タクシーなどの多様なロケーションに約13万面を設置している。収益は広告主及び広告代理店がロケーションオーナーに支払う広告費の一部をプラットフォーム利用料として徴収するほか、ロケーションオーナーからCMS利用料を得るビジネスモデルとなっている。

2024年9月期から新たに美容サロン専用タブレットメディア「OCTAVE」の提供を開始した。美容サロンの各座席に設置したタブレットで、来店客がインタラクティブに動画コンテンツを視聴できるサービスで、コンテンツ間に配信される動画広告の視認状況をタブレット搭載のカメラで検知し、顧客に広告掲載料を課金する収益モデルである。ビューアブル課金により効率的な広告配信を実現した。

なお、2024年11月に同社が保有するMADSの一部株式を売却し、持分法適用会社に移行した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)



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