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ティアンドエス Research Memo(8):2035年9月期に売上高100億円、時価総額300億円を目指す

*12:08JST ティアンドエス Research Memo(8):2035年9月期に売上高100億円、時価総額300億円を目指す
■ティアンドエスグループ<4055>の中期の成長戦略

● 企業価値向上に向けた具体的施策
持株会社体制に移行したことに伴い同社は、アップデートした中期経営計画を発表した。収益基盤であるDXソリューションカテゴリーを着実に成長させながら、そこから生まれたキャッシュを拡大分野である半導体ソリューションカテゴリー、躍進分野であるAIソリューションカテゴリーに重点的に投資するという基本的な方針に変更はない。今後3年間のグループ戦略として「顧客ニーズに即したソフトウェア開発とITサービスの推進」「半導体業界へのさらなる深耕とAI最新技術の研究開発」「グループ経営体制の確立とM&Aの実現」を基本戦略としながら、事業本部ごとに落とし込んだ具体的な施策を着実に推進することにより、業績の拡大と企業価値の向上を実現する方針だ。エンジニアの増強、提供サービスの付加価値向上、M&Aによるノンオーガニックグロースなどにより、10年後の2035年9月期に売上高100億円、時価総額300億円とプライム市場への上場を目指す。

(1) システム開発事業本部
一次請負かつ、より大規模案件への対応実績を積み重ねながら、既存顧客の深耕と対象産業領域の拡大により業界の成長スピードを上回る成長の実現を目指すほか、運用・保守案件の獲得により、長期にわたって受注を安定して獲得できる体制の構築などに注力する。また、半導体関連では、キオクシアのシステム刷新プロジェクトをしっかりと完遂させることやキオクシアグループに次ぐ収益源を育成し、事業の安定性をさらに高めることに注力する。2024年9月期においても各種施策が着実に進捗を見せた。新規・既存双方の顧客から大型案件を受注したことなどによって、DXソリューションカテゴリーが15%強の増収を果たしたほか、半導体関連では、大手企業グループとの新規取引を開始し顧客基盤の分散を着実に進めた。その他にもニーズウェルとの業務提携によって、九州地区での事業推進体制を強固にしている。

(2) ITサービス事業本部
ITインフラ構築とITサービスの分野においてネット証券会社などのクラウド移行プロジェクト拡大に注力するほか、生成AIのプロンプトエンジニアリングの領域に参入し、事業を拡大する計画である。半導体関連に関しては、需要増に伴うサポート等のITサービス体制の拡大やキオクシアグループの新棟建設を前提として着実に事業を拡大・安定させていく。2024年9月期から顧客先との協業によって生成AIのプロンプトエンジニアリング領域へと参入したほか、半導体関連では、顧客工場の新棟完成を受け、計画に基づき採用を強化しながら運用保守部隊の増強を推進している。

(3) 先進技術事業本部
AI関連を強化することにより顧客基盤の拡大と新たな収益源の育成に注力する。具体的には、最新AI技術の情報力・実装力を強みとして、外部への情報発信と顧客層拡大に注力するほか、製品開発への応用に注力することで、案件の長期安定化やさらなる技術実績とビジネス展開の可能性の拡大を目指す。また、半導体関連では、大学等との共同研究を継続しながら独自技術の開発やそれに伴う権利の獲得に注力する。2024年9月期においては、Hailoのデザインパートナーとなったことにより最新AIプロセッサを用いたソフトウェアソリューションの提供を開始したほか、生成AIを活用したソフトウェア支援サービスも新たに開始している。同社提供サービスの質を継続して高めるとともに、顧客層に関しても順調に拡大している状況だ。また、研究開発に関しては、大学との共同研究を予定どおり完了したことに加えて、独自技術の習得と将来的な新規ビジネスへの昇華を目的に、新たにJAXAとの共同研究を開始している。

システム開発事業本部、ITサービス事業本部共通の施策としては、採用を強化しながら退職者を抑制すること、既存顧客グループでの横展開や新規顧客の開拓により顧客シェアを分散させること、品質管理の徹底と利益率の向上などの各種施策に注力する。また、すべての事業部共通の施策として独立採算制を推進するほか、コーポレート本部に関しては、体制変更に伴うガバナンス体制の強化やM&Aの実現などに注力する。既存顧客との取引を継続しながら新規顧客との取引も順調に拡大させたほか、新卒採用に関しては2024年4月入社が過去最多人数となった。その他、M&Aに関しても足元で協議中の案件を抱えており、各種施策が総じて順調な進捗を見せている状況だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)



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