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品川リフラ Research Memo(8):Gouda買収により2026年3月期以降の業績反転を確実なものに

*16:18JST 品川リフラ Research Memo(8):Gouda買収により2026年3月期以降の業績反転を確実なものに
■品川リフラクトリーズ<5351>の今後の見通し、中長期の成長戦略

● 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、期初計画に対してオーストラリアでの顧客の操業トラブル、ブラジルでの顧客の活動水準低下により耐火物販売数量が減少したことで、売上高は前期比1.5%減の142,000百万円を見込み、期初計画を1,000百万円下方修正した。引き続き両国の顧客状況は注視する必要がありそうだ。ちなみに、買収したオランダGoudaの売上高は、四半期分(2024年10月〜12月)を織り込んでいる。また、海外グループ会社SRA(オーストラリア)、SRB(ブラジル)の減収に伴う減益に加え、GoudaのM&Aに伴う関連費用7億円の発生などにより、EBITDAは同3.9%減の17,000百万円、営業利益はのれん償却費用5億円を加えて同10.0%減の12,500百万円、経常利益は同12.8%減の13,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同41.1%減の9,000百万円を見込む。期初計画に対して、EBITDAは1,500百万円、営業利益及び経常利益はそれぞれ2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,000百万円を下方修正する。一方、2026年3月期以降はGoudaの業績※がフルに寄与するとともに、事業地域・領域の拡大によりグループ内でのシナジー効果が期待されるため、業績は反転上昇することが見込まれる。

※ Gouda社の2023年12月期業績:売上高170.7億円、営業利益18.4億円、親会社株主に帰属する当期純利益12.1億円(2024年10月株式取得時の為替レート164.699円/ユーロで換算)。

営業利益の期初計画比の下方修正額である20億円の事業セグメント別の増減内訳は、耐火物セクターが前年同期比で19億円減、Goudaののれんの償却費用5億円減のほかは、断熱材セクターが同0億円増、先端機材セクターが同0億円増、エンジニアリングセクターが同3億円増となる。耐火物セクターでは、減益要因として海外グループ会社の減益19億円が過半を占める。GoudaのM&A費用7億円をはじめ、SRA(オーストラリア)の8億円、SRB(ブラジル)の3億円、その他地域で3億円の減益を見込む。EBITDAの下方修正額15億円は、営業利益の下方修正額からGoudaののれんの償却費用5億円を控除した金額となる。

2024年5月に長期ビジョン「ビジョン2030」及び第6次中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)を公表した。同社は2025年10月に創業150周年を迎えるが、第6次中期経営計画はその先の未来に向けた第一歩として策定している。2026年3月期には、創業150周年に合わせて企業理念(パーパス、ビジョン、バリュー)を再構築する予定であるが、2024年10月には先行して創業150周年記念事業の一環としてスローガンを「150年、熱中。」と定め、記念ロゴマークも制定した。今後、このスローガン、記念ロゴマークを活用して様々な周年記念事業を展開する予定である。

1. 「ビジョン2030」の概要
「ビジョン2030」は事業成長と社会課題解決を表裏一体として追求する、すなわち両立させることを基本方針としている。グローバル展開を強化し、セクター戦略を深化させ成長分野へ進出することで事業成長を図る。同時に、気候変動への対応や人的資本戦略の実行を進め社会課題解決を目指す。キャッチフレーズは「日本だけ、耐火物だけ、鉄鋼だけではない、品川グループへ」としている。グローバル展開の強化により、現地で製造し、現地で販売する「世界の耐火物メーカー」として、世界トップグループとしてのプレゼンスを確保する。グローバル展開を支える国内拠点の整備と技術開発力も強化する。各セクターにおいては、セクター戦略を深化させることで成長分野への進出、事業ポートフォリオの拡大を図り、ROICを重要指標として資本効率を重視した事業投資、設備投資を展開する。社会課題解決としては、取引先に脱炭素化に貢献する熱ソリューションを提供するなど気候変動への対応を進める。また、「人材獲得」「人材定着」「人材・組織開発」を軸に人的資本戦略の実行を進め、経営基盤を確立する。

2031年3月期の具体的な目標としては、財務目標とサステナビリティ目標を設定した。財務目標は、売上高2,400億円(2024年3月期1,441億円)、ROS(営業利益ベース)12%(同9.6%)、ROIC10%(同9.1%)、海外売上高比率50%(同29.8%)とし、持続的な成長を推進する。サステナビリティ目標は、気候変動対応関連においては、2023年3月期のCO2排出量138千トンを50%削減、グリーン原料の使用比率20%(2024年3月期10%)をKPIとする。人的資本戦略関連においては、経営戦略に即した人材・組織開発、ダイバーシティ&インクルージョンの確立、働きやすい職場環境の創造を目標とする。

目標に向けた財務・資本戦略として、2025年3月期からの7ヶ年累計で1,280億円の積極的な設備投資と事業投資を実施する。資金は売上高・利益の拡大により7ヶ年累計で1,500億円のキャッシュ・フローを創出するほか、440億円を外部調達するが、有利子負債/EBITDA倍率は1.9倍と健全性は維持する戦略である。さらに配当性向40%を目標とした株主還元の充実を図る。

2. 第6次中期経営計画の概要
第6次中期経営計画は、「ビジョン2030」実現に向けたマイルストーンとして、持続的成長に必要不可欠な組織能力の強化を図り、財務目標達成とサステナブルな企業に向けたステップを踏む。主要取引先の高炉休止などの影響が一定の業績低下要因となるが、海外ビジネスをはじめとした事業拡大とコストダウンなどの取り組みによりカバーし、売上・利益ともに拡大する計画だ。2027年3月期の財務目標として、売上高は2024年3月期比24.8%増の1,800億円、ROS(営業利益ベース)11%、ROIC10%、海外売上高比率45%を掲げる。同社によれば、2027年3月期の売上高には、計画公表時点で検討中のM&A・JVのうち、本中期経営計画期間中に実現する可能性の高い案件を含んでいるという。一方、サステナビリティ目標については、「ビジョン2030」で設定した目標について中期経営計画期間中に諸施策の検討を行う考えで、マイルストーンとしての2027年3月期の目標は現時点では設定していない。

財務目標の達成に向けては、ROIC経営を徹底し、既存事業における経営資源の配分見直し、3ヶ年累計410億円の積極的な成長投資を進め、資本コスト(同社のコストは6.5%)を上回る効果を発現する計画である。投資効率を重視した経営で“稼ぐ力”を創出・強化することでセクター戦略の深化を図り、企業価値の最大化を目指す。3ヶ年累計で500億円のキャッシュ・フローを創出するほか、200億円の外部調達を行い、この資金を再投資と株主への還元140億円や増加運転資金に充てる計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)



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