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MDNT Research Memo(6):再生医療・ライフサイエンス関連大手企業の製造受託を開始

*12:06JST MDNT Research Memo(6):再生医療・ライフサイエンス関連大手企業の製造受託を開始
■メディネット<2370>の細胞加工業の進捗と今後の取り組み

1. 細胞加工業における近年の動向
細胞加工業は2019年9月期に初めて黒字化を達成したが、コロナ禍により免疫細胞治療患者(特にインバウンド患者)の受診控えが続いた。2023年9月期以降は、新型コロナウイルス感染症の5類移行と経済活動の活発化に伴い免疫細胞治療患者が徐々に戻り、免疫細胞加工受託件数も回復傾向にある。

2024年9月期上期の特定細胞加工物製造業事業は一部の価格改定を実施したことに加え、新規加工技術である「S-DSC」の技術移転に伴う一時金の計上により増収となった。細胞製造件数は緩やかではあるものの増加に転じており、特定細胞加工物製造業事業全体の成長に貢献する結果となった。下期は海外インバウンドの患者数がコロナ禍前の水準に戻ってきたが、国内患者の回復増加が鈍化したことにより、売上高が伸び悩む結果となった。

CDMO事業では、かねてより進めていたヤンセンファーマ(株)との治験製品「カービクティ(R)点滴静注」(以下、「カービクティ点滴静注」)製造における技術移転が完了した。2021年5月には治験製品製造受託に関する契約を締結し、同年6月よりヤンセンファーマが実施する国際共同治験(第III相臨床試験:CARTITUDE-4)において、日本国内で試験に用いる治験製品製造工程の一部の製造受託を開始した。ヤンセンファーマが2022年9月に薬事(製造・販売)承認を取得したことで、同社では再生医療等製品全般のさらなる製造受託を目指している。

ヤンセンファーマの国際共同治験(第III相臨床試験:CARTITUDE-5)の日本国内での治験は終了したものの新たな治験が開始され、2024年9月期の上期・下期とも前期を上回る結果となった。

細胞加工業の事業構造は特定細胞加工物製造業(特に医療インバウンド患者に依存)の1本足打法であったため、コロナ禍で大打撃を受けた。今後は環境変化に強い事業構造への転換・拡大が不可欠と考え、成長が期待できるCDMO事業を強化する。免疫細胞加工受託件数も回復しており、できるだけ早くコロナ禍前の水準近くまで収益の回復を目指す。そして、特定細胞加工物製造業とCDMO事業の両利き経営を早期に確立し、細胞加工業の早期黒字化を目指す。

CDMO事業の強化に向け、既に細胞培養加工の環境・体制整備として専門人材の採用(細胞加工技術者など40名程度)、資金調達(第19回新株発行、調達総額2,638百万円)を実施した。事業目標については「事業基盤の強化による売上拡大」を目指す。一時的な黒字化に留めず、医療インバウンド患者依存の事業構造を改め、同社のコア事業として持続的安定成長型の事業構造を確立することに主眼を置いている。

2. 細胞加工業の4つの事業の進捗と今後の方針
(1) 特定細胞加工物製造業
再生・細胞医療に取り組む製薬企業・大学・医療機関・研究機関などから製造受託する特定細胞加工物の細胞種・品目を増やす。特に免疫細胞以外の新しい細胞種による加工受託メニューの拡大を推進する。今後も最新の「がんの個別化医療」に貢献しつつ、業績拡大を目指す。

a) 免疫細胞治療
免疫細胞製造受託の経験やノウハウを活用し、多様な細胞種への製造受託の拡大を進めると同時に、国内患者の受診者数の増加にも取り組む。また、再生医療を提供する医療機関は年々増加傾向にあり、新規契約医療機関の獲得を目指して営業活動を強化していく。さらに契約医療機関と協力し、免疫細胞治療の啓蒙・普及に取り組むとともに、安全性及び有効性に関する臨床エビデンスの蓄積を積極的に推進する。

b) 新規分野
i) 「S-DSC」の製造受託
同社は、2024年8月より「培養自家毛球部毛根鞘細胞を用いた男性型及び女性型脱毛症治療」に使用される特定細胞加工物の製造受託を開始した。

資生堂はすでに東京医科大学病院及び東邦大学医療センター大橋病院と共同で臨床試験を行い、2020年以降には、杏林大学医学部付属病院を加えた3施設で「S-DSC」の広範囲及び反復注入による臨床研究を実施し、男女の壮年性脱毛症に対する有効性と安全性を確認した。これらの共同研究に基づく技術は、2024年に開始された医療機関での「S-DSC」を用いた薄毛治療に活用されている。

同社は医療機関と特定細胞加工物「S-DSC」の製造受託に関する契約を締結し、医療機関からの製造受託を実施する準備が整ったことから、「S-DSC」の製造受託を正式に開始する運びとなった。「S-DSC」の製造については、資生堂から技術提供を受け、資生堂の工程監理のもとで、同社の製造施設において適切に実施していく。

ii) 「ASC(脂肪由来間葉系幹細胞)」の製造受託
「脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)」については、様々な疾患に対して臨床応用されており、間葉系幹細胞治療への期待は大きい。ASCの提供計画数は231件(2023年12月同社調べ)と年々増加傾向にあり、間葉系幹細胞を用いた再生医療提供医療機関は281施設が登録している。現在、医療機関からの同社へ製造委託の問い合わせが増えており、同社では対象疾患を「肝疾患」とし、2024年10月に医療機関(治療施設)からの加工受託を開始する準備を進めてきたが、ASCの製品仕様をより医療機関で使いやすくするために凍結製品へと変更することとした。それに伴い現在は非臨床試験の再実施及び各種データの取得を進めており、2025年9月期第4四半期での製造開始を目指している。

iii) 「歯科領域における新たな骨造成治療法」のセルアクシアとの共同開発
歯科領域における新たな骨造成治療法の開発を目指し、セルアクシア(株)と共同開発を進めている。早ければ2025年9月期の臨床研究の開始に向け、現在各種のデータを取得している。

(2) CDMO事業
ヤンセンファーマからの治験製品受託製造は順調に推移し、売上高に安定的な貢献をもたらしている。引き続きヤンセンファーマからの治験製品の安定受注(製造受託)に加え、同社が市販製品の販売を開始した際にはその製造受託の獲得を目指す。また、新規案件についても獲得に向け製造体制の強化に取り組む。

(3) バリューチェーン事業
1) 細胞培養加工施設(CPC)の運営管理を適切にフォローし、アカデミアとのネットワークを維持強化、2) ライセンスアウトによるロイヤリティー収益(Medigenなど)を打ち出している。一方で、2023年9月期より、バリューチェーン事業の再生医療関連サービスのリソース(細胞製造プロセスや人材)を、細胞加工業の2本柱である特定細胞加工物製造業とCDMO事業にシフトして、効率的資源配分を実施している。

(4) アライアンス活動
同社がγδΤ(ガンマ・デルタT)細胞培養加工技術のライセンス契約を締結した台湾MBCの提携医療機関が8施設にて台湾当局から承認を取得した。今後、これらの医療機関でγδΤ細胞が提供される際に、その製造を担当するMBCより治療実績に応じてロイヤリティー収入が同社に得られる見込みである。

また最近では、中国・韓国・東南アジアを中心に日本の再生医療関連の事業・技術に興味を持つ企業や医療機関が増えてきている。医療インバウンド需要を取り込み、現地の医療機関に再生・細胞医療が健全に提供されるよう、アライアンスの推進並びに細胞培養加工技術の積極的なライセンス供与を進める。現在複数のアライアンス案件が進行中である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)



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