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ファンペップ Research Memo(5):花粉症ワクチンは2025年に第1相臨床試験開始、2026年に結果を発表

*16:15JST ファンペップ Research Memo(5):花粉症ワクチンは2025年に第1相臨床試験開始、2026年に結果を発表
■主要開発パイプラインの動向

2. FPP004X(花粉症)
「FPP004X」は大阪大学大学院医学系研究科との共同研究によりファンペップ<4881>が創製した開発化合物で、IgEを標的タンパク質とする抗体誘導ペプチドである。IgEはアレルギー性疾患の発症・進展に関与する重要因子で、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)が代表的な疾患として知られている。

2024年3月に塩野義製薬と全世界を対象とした独占的開発及び商業化権のオプション契約を締結し、契約一時金として3億円を受領した。また、オプション権が行使された場合のライセンス契約一時金及び開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円(契約一時金の3億円を含む)、さらに販売額に応じたロイヤリティを獲得することになる。オプション契約による一時金3億円については、オプション権の行使が確定した段階で事業収益として計上することになる。また、契約金の一定率はメディパルホールディングス<7459>(以下、メディパル)に支払う契約※となっている。同社では、今回のオプション契約締結と併せて塩野義製薬に対する第三者割当増資を実施し、約2億円を調達した。これにより塩野義製薬の出資比率は従前の4.52%から8.28%(2024年12月末時点)に上昇し、筆頭株主となった。

※ 2016年2月に同社の抗体誘導ペプチドプロジェクトの研究開発支援を目的とした提携契約をメディパルと締結し、研究開発協力金を受領した。メディパルは本研究から創出された抗体誘導ペプチドのうち一定数の対象開発品を選定したうえで、同開発品から得られる契約一時金及び開発マイルストーン収入の一定率を同社から受け取る契約となっており、「FPP004X」も選定品目に含まれている。

今後の開発方針については、塩野義製薬と協議しながら進めることになるが、まずは花粉症ワクチンの第1相臨床試験を2025年12月期第1四半期から開始する。主に安全性及び忍容性を確認する試験である。結果については2026年内にも明らかになる見通しで、良好な結果が得られれば塩野義製薬がオプション権を行使して第2相臨床試験を行う可能性が高いと弊社では見ている。そうなった場合は、2026年12月期にオプション契約に伴う一時金3億円と本ライセンス契約一時金が事業収益に計上されることになる。また、同社は2024年10月に塩野義製薬とワクチンの効果を増強させるアジュバントの共同研究を開始することも発表しており、「FPP004X」の開発を進める過程で活用される可能性も考えられる。

国内での花粉症の患者数は年々増加傾向にあり、有病率は1998年の19.6%から2019年には42.5%まで上昇し、約5千万人規模の患者数となっている。有病率の高さや症状の激しさ、低年齢化により、政府は国の社会問題と位置付け、全国でスギの伐採計画や花粉の飛散防止対策などをまとめた※1。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医療用医薬品の国内市場規模は約1,700億円(2019年度)、市販薬で約400億円(2022年)と推計されており※2、現状はさらに市場規模が拡大していると考えられる。治療薬としては、抗ヒスタミン薬を中心に多くの内服薬や点鼻薬、点眼薬が販売されているが、重症例では抗IgE抗体医薬品の「ゾレア(R)」※2が処方されている。

※1 内閣府「花粉症対策の全体像」(2023年5月30日)資料。
※2 主にアレルギー性喘息治療薬として販売されていたノバルティス ファーマの抗IgE抗体「ゾレア(R)」が、抗体医薬品として初めて花粉症への適応追加承認を2019年12月に取得した。「ゾレア(R)」の全世界での販売額は2024年で約43億米ドル。

「FPP004X」の対象患者をどのように設定するかは塩野義製薬との協議で決定することになるが、同社では効果の持続期間が長いというワクチンの特長を生かし、花粉症のシーズン(飛散時期)前に1〜2回投与すればシーズンを通して症状を緩和できるという新しい治療選択肢の提供を目指している。中等症から重症患者を対象として開発に成功した場合、売上ポテンシャルとしては数百億円規模になると弊社では見ている。今後、開発が順調に進んだ場合、2032年頃の上市が予想される。また、海外では主にアレルギー性喘息治療薬として用いられている「ゾレア(R)」の世界売上高は6千億円を上回る規模に達しており、抗IgE抗体誘導ペプチドとして国内の開発に成功すれば、塩野義製薬が海外でアレルギー性喘息用治療薬としても開発を進める可能性が出てくることから、今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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