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アンジェス Research Memo(4):慢性椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験は2027年に結果発表へ

*12:04JST アンジェス Research Memo(4):慢性椎間板性腰痛症を対象とした第2相臨床試験は2027年に結果発表へ
■アンジェス<4563>の主要開発パイプラインの動向

2. NF-κBデコイオリゴDNA
NF-κBデコイオリゴDNAは、人工核酸により遺伝子の働きを制御する「核酸医薬品」の一種で、生体内で免疫・炎症反応を担う転写因子のタンパク質(NF-κB)に対する特異的な阻害剤である。NF-κBがゲノムの特定の配列領域(炎症を引き起こすゲノム)に結合し、スイッチが入ることで痛みなどの炎症の原因であるタンパク質が生成されるが、NF-κBデコイオリゴDNAを体内に入れることで、炎症を引き起こすゲノムとNF-κBが結合しにくくなり、炎症の原因であるタンパク質の生成を抑制する。

2023年3月に塩野義製薬と国内第2相臨床試験への協力に関する契約を締結(開発費の一部を負担)し、同年10月から第2相臨床試験を開始した。予定症例数を92例※とし、最初の2例で最大投与量20mgの安全性試験を実施、安全性及び忍容性が確認されたことを受け、10mg、20mg、プラセボの3群(各30例、単回投与)に分類した比較試験を実施している。観察期間は12ヶ月で、有効性については「痛み」の指標であるNRSスコアの変化で評価する。現在、2025年3月上旬時点で全体の約4割まで被験者登録が進んでいるもようで、治験施設を増やしながら2025年内の被験者登録完了を目指す。順調に進めば2027年前半にも臨床試験の結果が発表される見通しで、良好な結果が得られた場合にはライセンスアウトする意向だが、塩野義製薬との協議次第だ。

※ 対象者は18~75歳で3ヶ月以上持続する腰痛を有し、腰痛のNRSスコア(自己申告による痛みの指標)が臀部痛や下肢痛のNRSスコアよりも大きく、腰痛に対する保存的治療で効果が不十分な患者とする。スクリーニング時点の腰痛のNRSスコアは4~9の患者(中等度から強い痛み)で、かつ、投与実施日当日及び前日のNRSスコアが4~9の患者。

国内の臨床試験に先駆けて米国で実施した後期第1相臨床試験(プラセボ対照無作為化二重盲検試験、25症例、観察期間12ヶ月)の結果は、安全性及び忍容性に問題がなかったほか、有効性においても投与量3群(0.3mg、3.0mg、10.0mg)のうち最大投与量群において投与後早期に腰痛が大幅軽減し、腰痛の軽減も12ヶ月後まで継続したことが確認された。慢性椎間板性腰痛症に関しては、一般療法としてステロイド注射が行われるケースが多いが、ステロイド注射が一時的な対症療法であるのに対してAMG0103は炎症を抑制する効果があるほか、椎間板の高さを回復させることで腰痛の症状が長期間にわたって改善した可能性がある。日本の臨床試験では米国の最大投与量を上回る20mg群の試験も行っていることから、好結果を得られる可能性が高いと弊社では見ている。

国内では慢性椎間板性腰痛症で苦しむ患者に対して、内服・外用薬治療など対症療法が主に行われている。AMG0103は単回投与で長期間の効果持続が見込まれるため、患者のQOL向上にも貢献する。開発に成功すれば、慢性椎間板性腰痛症に使用される世界初の核酸医薬品となる可能性があり、2027年に発表される臨床試験の結果が注目される。


2025年後半に治療薬「AV-001」前期第2相臨床試験結果が判明の見通し

3. 新型コロナウイルス感染症及びARDS治療薬(Tie2受容体アゴニスト)
カナダのVasomuneとの共同開発品である「AV-001」(Tie2受容体アゴニスト)※は、2018年より全世界を対象に急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患の治療薬として共同開発を進めてきたが、中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者向けの治療薬としても効果があると見て、2022年1月より米国で前期第2相臨床試験を実施している。ただ、新型コロナウイルス感染症の変異株では重篤な肺炎を発症する感染者が急減したことから、現在は対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含むARDSに拡大し(FDA承認済み)、目標症例数も当初予定の約120例から約60例に縮小したうえで臨床試験を進めている。60名を投与量で3群に分け、「AV-001」と標準治療薬またはプラセボと標準治療薬のいずれかを投与し、安全性及び忍容性と有効性を評価する。

※ 同社は2018年7月にVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした「AV-001」の全世界を対象とした共同開発契約を締結した。開発費用と将来の収益を折半し、また、同社がVasomuneに対して契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払う契約である。ARDSの患者数は米国だけで26万人を数える。

2024年12月4日付で、米国における独立データ安全性モニタリング委員会から、コホート2の成績において安全性に問題がなく、最終コホートへの移行に関して推奨を受けたことから、現在はコホート3の試験を進めている段階にある。2025年後半には組み入れが完了する予定で、同時に臨床試験結果も判明する見通しだ。良好な結果が得られればライセンスアウトする意向だが、後期第2相臨床試験でも引き続き開発助成金を得られる見通しが立ったことから、独自で臨床試験を進めることも選択肢の1つとして考えている。自社で開発を進めた方が上市後に得られる利益も大きくなるためだ。同社は開発費を一部負担することになるが、相当分の助成金を受領できると見込んでいる。なお、「AV-001」は2024年5月に米国FDAからFast Track※に指定されており、臨床試験に関する協議や審査などの手続きが迅速化される。

※ 重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤等の開発を促進し、迅速に審査することを目的に制定された制度である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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