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美樹工業 Research Memo(7):2024年12月期は、大型物件工事の着工時期遅れなどにより厳しい業績に

*12:57JST 美樹工業 Research Memo(7):2024年12月期は、大型物件工事の着工時期遅れなどにより厳しい業績に
■美樹工業<1718>の業績動向

1. 2024年12月期の業績動向
2024年12月期の業績は、売上高が27,292百万円(前期比15.3%減)、営業利益が1,134百万円(同13.8%減)、経常利益が1,155百万円(同13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が658百万円(同21.6%減)となった。また、期初の計画と比較して、売上高で707百万円、営業利益で85百万円、経常利益で44百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で41百万円と若干ながら未達となった。やや厳しい決算と言えるだろう。

日本経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の回復など緩やかな回復基調が続く一方、原材料や資源・エネルギー価格の高騰や米国をはじめとする世界情勢の動向、円安や物価上昇による国内景気への影響など先行きは依然として不透明な状況が続いている。建設業界においては、建設投資は引き続き堅調に推移しているものの、円安などによる資材価格の高止まりや慢性的な人手不足による労務費の高騰などにより建設コストが上昇しており、価格転嫁など超えるべきハードルも高く、業界全体で収益性の低下が懸念材料となっている。このような環境下、同社は、地盤である兵庫県と大阪府を中心に事業活動の強化に努めるとともに、兵庫県のヒョウ工務店と大阪府の設計事務所をM&Aにより取得するなど業容の拡大に注力した。

この結果、売上高は、賃貸収益マンションの売却を実行したものの、岡山駅前再開発プロジェクト遅延による大型物件工事の着工時期の遅れなどから減収となった。利益面では、前々期に特殊要因で大きく毀損した売上総利益率が改善した一方、従業員の給与見直しに伴う人件費の上昇やM&A仲介手数料の発生などにより販管費が増加、営業利益は2ケタ減となった。期初予想との比較では、大型物件工事の着工時期の遅れが想定されていたため期初より減収減益予想ではあったが、想定以上に遅れたこと、M&A手数料が発生したことなどにより、業績は未達となった。なお、棚卸資産が20%近く増加しているが、これは販売目的の収益マンション用地を取得したことによる増加が要因で、既に2棟の販売が決まっているようだ。賃貸収益マンションについては、今後も毎期1棟ずつコンスタントに売却する考えだが、物件の購入はタイミング次第となるため、今回のように先行的に購入することもあり、そうした場合を含めて、物件を着実に売却することで棚卸資産をしっかりと回転させる方針である。

建設事業セグメントは、賃貸収益マンションの売却が行われたものの、大型物件工事の着工時期の遅れなどから、売上高は15,293百万円(前期比24.6%減)、営業利益は820百万円(同20.0%減)となった。建設事業のうち旧 セグメントでの建設事業は、売上高が11,553百万円(前期比13.2%減)、営業利益が442百万円(同44.5%減)となった。受注高は、監督人員を含めた現場の人材不足に加え人員計画の難しい大型工事が増えたことにより、好環境のわりに確保が十分に進まなかった。このため、人材を確保するためのM&Aを強化する必要に迫られていると言える。売上高については、賃貸収益マンションの売却はあったが、岡山駅前再開発プロジェクトの進捗が遅延したため、プロジェクト後半で建設する計画の同社が受注した大型物件(ホテル)の着工時期が遅れ、減少することとなった。また、売上高の減少に加え人件費の上昇やM&A仲介手数料の発生により、営業利益も減少となった。設備事業は、売上高が2,976百万円(前期比52.0%減)、営業利益が45百万円(前期は122百万円の営業損失)と黒字転換した。業界全般で施工能力が遍迫しており、オフィスビルなどの改修工事の受注は着実に進捗、強化している病院の受注も決定した。売上高は大規模太陽光発電所工事の剥落によって減少し、工事費上昇には依然警戒が必要だが、案件ごとの採算管理が改善して営業利益は黒字転換した。太陽光発電の運営は、出力制御があったが、おおむね天候に恵まれたため5発電所とも順調に稼働、減価償却費が小さくなったこともあって収益が安定化した。引き続きパネル清掃や周辺除草など修繕維持に努め、保険料などの上昇をカバーする予定である。

住宅事業セグメントについては、引渡棟数は減少したものの、販売価格の上昇やリフォーム件数の増加により、売上高は微増の11,755百万円(前期比0.5%増)となり、木造住宅の主要材料である木材などの急激な高騰による影響が多少低減されたことで、営業利益は310百万円(同9.7%増)となった。住宅に対する需要に関しては、1戸当たりの価格が上昇し、リフォーム需要も底堅いが、人口減少による長期的要因と金利上昇という足元の要因により、新築着工の伸び悩みが顕著で引渡棟数が減少している状況である。このため旧 セグメントの住宅事業も、売上高10,290百万円(前期比0.6%減)、営業損失71百万円(前期は30百万円の営業損失)と引き続き苦戦した。一方、不動産賃貸事業(一部建設事業に含まれる)は、賃料、物件稼働率がともに安定しているうえ販売用不動産の売却もあったことから、売上高1,679百万円(前期比7.9%増)、営業利益493百万円(同14.9%増)と好調で旧 住宅事業をカバーした。今後の賃上げや金利の状況を注視することも必要だが、地盤の姫路では依然持ち家志向が強いため、収益性の良好な多区画の分譲と人材育成による営業を強化することで、旧 住宅事業の売上高を拡大する余地があると見られる。

その他事業は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことでレストランが回復し、売上高は243百万円(前期比8.9%増)、営業利益は13百万円(同67.8%増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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