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大日光・エンジニアリング:一貫生産体制と技術力を活かしてEMS事業展開、宇宙分野や蓄電池分野にも事業拡大へ

*09:29JST 大日光・エンジニアリング:一貫生産体制と技術力を活かしてEMS事業展開、宇宙分野や蓄電池分野にも事業拡大へ
大日光・エンジニアリング<6635>は、電子機器の受託製造(EMS)を中心に事業を展開している。回路設計から電子部品実装、完成品組立まで一貫して対応でき一眼レフ向け交換レンズなどの光学機器や半導体の製造装置などの生産請負、さらには自社での電源開発にも取り組んでいる。この「ワンストップ」のビジネスモデルにより、顧客の製品開発段階から量産までを支援し、高付加価値サービスを提供している。同社製品は車載機器、医療機器、産業機器、オフィス機器、民生機器など幅広い分野の最終製品に組み込まれており、高い品質管理体制を備えている。

セグメント別の売上構成を見ると、従来大きな割合を占めていたオフィス機器向けは2020年から2023年で大幅に低下して車載関連が主力となっている。実際、2024年時点では車載関連54%、オフィス機器9%、医療機器向け10%、産業機器向け11%、民生16%。引き続き医療機器や産業機器など新分野の案件獲得に注力し、事業ポートフォリオのバランス改善を図っている。また、地域別売上高では、2024年時点で日本41.8%、中国43.9%、東南アジア14.3%。ほか、日系/非日系比率では、日系企業86.3%、非日系13.7%。

競合他社としては、シークス<7613>、加賀電子<8154>、UMCAエレクトロニクスなどが挙げられるが、明確な強みが同社にはある。

第一に、一貫生産体制と技術力である。少量試作から大規模な筐体組立までトータルに対応できる柔軟性を持ち、製品の開発設計から実装・組立・検査まで一括で請け負える体制は競合他社との差別化ポイントである。特に電源開発などアナログ基板のパワーサプライ系の製品においてノウハウがあり、他社が対応できない部分を補うほか、同社の技術力は、直近で宇宙分野や蓄電池分野でも活用されており国内でも稀有な企業となる。航空・宇宙分野では、帝京大学の「多目的宇宙環境利用実験衛星TeikyoSat-4」に搭載する「冗長化による高信頼性衛星用電源システム」を開発・製作、2022年11月9日にJAXA内之浦宇宙空間観測所からイプシロンロケット5号機によって打ち上げられ、「おおるり」の愛称で現在も高度560 kmの軌道を周回しながら稼働している他、いくつかの宇宙ベンチャー企業が手掛けるロケットや衛星に内蔵される電源機器の設計、製造支援などを展開している。

第二に、グローバルな生産ネットワークである。同社は栃木県日光の本社工場に加え、中国(無錫)、香港、タイ、ベトナムにも拠点を展開しており、顧客のグローバル生産ニーズに対応できる体制を整えている。中国や東南アジアでの現地生産拠点により、安定した品質かつ低コストでの製品供給が可能となる。主要顧客であるキヤノンをはじめ要求水準の高い取引先との長年の取引実績から培った高品質・高信頼性も強みであり、品質保証の取り組みは医療・車載といった高信頼性分野で競争優位性をもたらしている。

2024年12月期の売上高は38,960百万円(前期比0.6%減)、営業利益は643百万円(同10.2%増)で着地した。日本国内は主力の車載機器向けが増収となったものの、医療機器や産業機器向けの受注減により前年同期比6.0%の減収となった。一方で中国・東南アジアを中心とするアジア地域は全ての生産子会社で増収を達成し、同4.0%の増収と地域間で明暗が分かれた結果、全社ではわずかな減収に留まった。具体的には、アジアでは大型案件の立ち上げ遅延により売上高は計画未達となったようだ。利益面では、グループ全体での原価低減活動が功を奏している。2025年12月期は、売上高39,000百万円(同0.1%増)、営業利益920百万円(同43.0%増)を見込む。売上高はほぼ横ばいの保守的な見通しだが、利益面はROIC改善やコスト構造改革など収益力強化策を引き続き推進していくようだ。

市場環境では、車載電子機器や医療機器の市場が中長期的な成長領域と見込まれる。自動車分野では電装化・EV化の進展により車載用電子部品実装の需要が堅調であり、医療機器分野も高齢化やDX化に伴う需要拡大が見込まれる領域で新規顧客開拓を戦略課題と位置付けている。一方で、主要市場の一つである中国経済の減速は懸念材料で、今後も米中関係の悪化が継続するとややリスクになりかねない。ただし同社では中国拠点での生産を数年前から先行して輸出向けから中国国内市場向けの受注に切り替えをはかっており、影響は限定的とみている。今後も中国拠点の生産効率化やコスト見直しを加速させ、利益率の向上をはかりつつ、タイ・ベトナムなど東南アジア拠点への役割分担を強化することでリスク分散を図っている。

同社は長期ビジョン「DNE WAY 2030」の下、2024-2026年を対象期間とする中期経営計画「Phase2」を推進している。東南アジアにおける大型案件の立ち上げ遅延により、2025年・2026年の中期経営計画をローリングしているが、具体的な数値目標として2026年度に売上高430億円、営業利益10.5億円(営業利益率2.4%)、ROIC4.0%を掲げている。地域別売上比率では、東南アジア売上比率を2026年に18.3%(2024年実績:14.3%)、非日系売上比率を2026年に15.9%(2024年実績:13.7%)に引き上げている。国内では、医療・半導体分野の受注拡大と栃木地区にて車載案件を立ち上げ、成長が見込まれる東南アジアにおいて車載を中心とした受注拡大を図っていく。中国でも非日系売上比率を高めるようだ。

株主還元方針について、2025年12月期の中間配当より新たに「累進配当」の方針を導入。今後は「持続的な利益成長を通じて累進配当を継続していく」ことを基本方針とし、2024年12月期の年間配当金は1株当たり12円(中間6円・期末6円)とされ、2025年12月期は16円を予定。業績拡大に応じて段階的に配当を増やし、株主還元の充実を図る姿勢が明確に示された。内部留保による財務基盤強化とのバランスも考慮しつつ、今後も配当性向の維持・向上と状況に応じた自社株買いを組み合わせた株主還元策が継続される見込みである。2024年12月期は減収ながら収益性改善の兆しが見られ、今期以降は中期計画に沿った成長を目指している。PER6倍台、PBR0.45倍、配当利回り3.5%の割安感に加え、技術力とグローバル展開力を活かしつつ、宇宙分野や蓄電池分野へも事業拡大が可能な同社の今後の動向には注目しておきたい。




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