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いちご Research Memo(1):2025年2月期通期はALL-IN営業利益で過去最高益を更新

*10:31JST いちご Research Memo(1):2025年2月期通期はALL-IN営業利益で過去最高益を更新
■要約

いちご<2337>は、オフィス、商業施設、ホテル、レジデンスなど幅広いタイプの不動産を対象とし、不動産価値向上ノウハウを活用して投資・運用を行う心築(しんちく)を強みとしている。また同社は、不動産価値向上技術・ノウハウを軸にオフィス、ホテル、再生可能エネルギー発電施設の3つの投資法人を運用・管理するユニークな企業グループである。

1. 2025年2月期通期の業績動向
売上高は前期比1.0%増の83,576百万円、営業利益が同25.8%増の16,309百万円、ALL-IN営業利益※1が同17.3%増の24,864百万円、経常利益が同32.5%増の13,764百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同25.4%増の15,187百万円、キャッシュ純利益が同8.5%増の19,391百万円となった。キャッシュ収益※2では、前期比14.6%増の38,646百万円となり、過去最高を記録した。主力の心築事業では、既存・新規物件の賃料増加によりストック収益が拡大するとともに、オフィス・商業施設を中心に売却が増加し、フロー収益も拡大した。ホテル事業では、独自ブランドホテルを主としたホテル賃料が好調に推移するとともに、ホテルオペレーター収益及びPROPERA利用料収益も拡大した。また、利益率の高い売却によりフロー収益も拡大した。いちごオーナーズ事業では、いちご・レジデンス・トークン第4号及び第5号の組成に伴うレジデンスの売却や国内機関投資家への売却を行ったものの、売却額は減少した。アセットマネジメント事業は、いちごホテルリート投資法人<3463>(以下、いちごホテル)とレジデンス・トークンの運用資産の増加に加え、好調な宿泊需要によるホテル売上の伸長に連動し、運用報酬が増加した。また、いちごホテルやいちごオフィスリート投資法人<8975>(以下、いちごオフィス)の資産入替に伴い、売却時の利益に連動した譲渡成果報酬(フロー収益)も増加した。クリーンエネルギー事業は、前期末に稼働を開始した発電所の売電収入の通期貢献があったものの、電力会社による想定以上の出力制御及び天候不順の影響により、減益となった。

※1 心築事業及びホテル事業における営業活動本来の利益を可視化するため「ALL-IN」指標を採用。同社は、心築事業及びホテル事業で保有する不動産を会計上、固定資産と販売用不動産に分けて計上しているが、いずれも心築の対象である一方、会計上は固定資産の売却益は特別損益に計上されるため、これを営業利益に戻し入れる「ALL-IN」指標により利益創出の実態値を示している。
※2 キャッシュ収益=売上総利益+特別損益に計上される心築及びホテルの資産売却損益+減価償却費。

2. 2026年2月期通期の業績予想
営業利益で前期比19.6%増の19,500百万円、ALL-IN営業利益で同14.2%増の28,400百万円を予想する。また、ストック・フロー収益ともに最高益更新を見込む。心築事業では、ストック・フロー収益とも増加し大幅な増益を予想する。いちごオーナーズ事業では、多様なチャネルでの販売を行う方針の下、前期比14,050百万円増の52,000百万円の売却を計画し、大幅な増益を見込む。ホテル事業では、リブランド休館(宇都宮、天神)及び前期並みの売却を見込まず減益を計画する。アセットマネジメント事業では、安定したストック収益を見込むものの、前期フロー収益(1,363百万円)の反動により、セグメント利益(ALL-INベース)で減益を予想する。クリーンエネルギー事業では、出力制御及び一時的な大規模メンテナンスにより、減益を予想する。過去最高水準で推移するストック収益は安定して拡大しており、ホテルやレジデンス、中規模オフィスや商業施設すべての分野で売買市場が活況であることから、弊社ではALL-IN各利益ベースでの目標達成は確実性が高いと考えている。

3. 中長期の成長戦略
不動産業界を取り巻く外部環境は、コロナ感染拡大により一時的な停滞はあったものの、良好な状況が続いている。一方で、同社はリーマンショック時(2009年2月期)に大きな影響を受け、保有資産を売却せざるを得なかった状況を考慮し、外部環境の変化に対応できる収益基盤及び財務基盤の確立を目指してきた。2030年2月期に向けた長期VISION「いちご2030」では、安定収益を目的として、ストック収益比率(目標60%)及びストック収益固定費カバー率(目標200%)を重要経営指標としてきた。2025年2月期は、ストック収益比率59.5%と目標に肉薄し、ストック収益固定費カバー率では209.7%と、前倒しで目標に到達している。また、2,800億円に迫る保有不動産に731億円の含み益が存在し、実際にはその1.5〜2.8倍の売却益を継続的に実現している。財務に関しても、加重平均借入期間で9.3年、3年以内返済予定借入割合で24%、コーポレート有利子負債の加重平均借入金利で1.42%(いずれも2025年2月期実績)といずれの指標においても大幅に良化している。仮に、大きな景気後退が発生したとしても、借入返済期日を長くすることで返済のための売却をすることなく、逆にチャンスと捉えて積極的に買いにいける体制が整っていると言えるだろう。

4. 株主還元策
同社では、株主還元の経営目標として、原則「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」(累進的配当政策)を掲げ、過去13期連続で実践している。2025年2月期には株主資本配当率(DOE)目標を3%以上から4%以上に引き上げた。2025年2月期の配当金は、年間10.50円(前期比1.50円増配)、配当性向30.1%、DOE4.2%と3期連続で増配となった。2026年2月期の配当金は、年間11.50円(前期比1.00円増配)、配当性向30.2%を予想する。また、2018年2月期から2025年2月期まで8期連続で年平均約35億円の自社株買いを実施し、進行期は新たに50億円を取得中である(2025年3月3日〜同年8月29日、発行済み株式総数の4.0%が上限)。強い財務基盤を持つだけに、株式の市場価格によっては、今後も自社株取得による株主価値の向上が期待できる。

■Key Points
・2025年2月期通期は、ALL-IN営業利益で過去最高益(24,864百万円、前期比17.3%増)達成
・2026年2月期は、ALL-IN営業利益ベースで28,400百万円(前期比14.2%増)を予想
・外部環境の激変時にも対応できる収益・財務基盤を確立
・2025年2月期は年10.50円配当(前期比1.50円増)、配当性向30.1%、DOE4.2%を実施
・株主還元策として自社株買い(50億円)を継続中

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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