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酒井重 Research Memo(1):2026年3月期も営業減益予想。年間配当はDOE3.0%基準で105円を予定
2025/06/09 13:01
*13:01JST 酒井重 Research Memo(1):2026年3月期も営業減益予想。年間配当はDOE3.0%基準で105円を予定
■要約
酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超のトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が27,854百万円(前期比15.6%減)、営業利益が1,583百万円(同52.3%減)、経常利益が1,494百万円(同55.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,435百万円(同41.2%減)となった。国内外の顧客の流通在庫調整が続き厳しい結果であった。国内売上高は、政府建設投資は堅調に推移したが、主要顧客である建機レンタル企業の在庫調整が続いたことから前期比16.2%減となった。北米販売は、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が続いたが、金利の高止まりが続く中でディーラ段階の在庫調整が拡大して同21.9%減となった。アジアでは、タイとマレーシアで底入れの気配が見られたが、選挙の影響もありASEAN市場全体の需要が低迷し同7.2%の減収となった。需要低迷に伴い生産調整を進めたことなどから、売上総利益率は同0.8ポイント低下した。販管費の伸びを0.7%増に抑制したが、減収と利益率低下により営業利益は前期比で大幅減益となった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高で30,000百万円(前期比7.7%増)、営業利益で1,250百万円(同21.1%減)、経常利益で1,250百万円(同16.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で900百万円(同37.3%減)を見込んでいる。依然として国内外の顧客の在庫調整に底打ち感が見られないこと、米国トランプ関税の間接的な影響が見極められないこと、為替(平均レート)が前期よりは円高で推移すると見られることなどから、2026年3月期の業績も少なくとも上半期は厳しい状況が続くと見ており、通期でも減益を予想している。ただし、今後の進捗状況については四半期ごとに見直しを行い、必要に応じて開示する予定だ。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を2021年6月に発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8.0%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指している。既に売上高、営業利益及びROEいずれも2024年3月期に目標を達成したが、足元では厳しい事業環境が続いていることから、現時点でこれらの数値目標を据え置いている。今後の計画については未定のようだ。年間配当については2025年3月期はROEが6.0%を下回ったことからDOE3.0%基準で年間103.0円としたが、進行中の2026年3月期もROEは6.0%を下回る見込みであることから、年間配当はDOE3%の105.0円(配当性向99.4%)を予定している。足元の業績は低迷しているが、ROEの改善に向けた資本政策に沿って株主還元を実行している姿勢は、評価に値する。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2025年3月期は前期比52.3%の営業減益、2026年3月期も同21.1%減益を予想
・中期経営計画の目標は一度達成済み、新計画については未定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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■要約
酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超のトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が27,854百万円(前期比15.6%減)、営業利益が1,583百万円(同52.3%減)、経常利益が1,494百万円(同55.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,435百万円(同41.2%減)となった。国内外の顧客の流通在庫調整が続き厳しい結果であった。国内売上高は、政府建設投資は堅調に推移したが、主要顧客である建機レンタル企業の在庫調整が続いたことから前期比16.2%減となった。北米販売は、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が続いたが、金利の高止まりが続く中でディーラ段階の在庫調整が拡大して同21.9%減となった。アジアでは、タイとマレーシアで底入れの気配が見られたが、選挙の影響もありASEAN市場全体の需要が低迷し同7.2%の減収となった。需要低迷に伴い生産調整を進めたことなどから、売上総利益率は同0.8ポイント低下した。販管費の伸びを0.7%増に抑制したが、減収と利益率低下により営業利益は前期比で大幅減益となった。
2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高で30,000百万円(前期比7.7%増)、営業利益で1,250百万円(同21.1%減)、経常利益で1,250百万円(同16.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で900百万円(同37.3%減)を見込んでいる。依然として国内外の顧客の在庫調整に底打ち感が見られないこと、米国トランプ関税の間接的な影響が見極められないこと、為替(平均レート)が前期よりは円高で推移すると見られることなどから、2026年3月期の業績も少なくとも上半期は厳しい状況が続くと見ており、通期でも減益を予想している。ただし、今後の進捗状況については四半期ごとに見直しを行い、必要に応じて開示する予定だ。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を2021年6月に発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8.0%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指している。既に売上高、営業利益及びROEいずれも2024年3月期に目標を達成したが、足元では厳しい事業環境が続いていることから、現時点でこれらの数値目標を据え置いている。今後の計画については未定のようだ。年間配当については2025年3月期はROEが6.0%を下回ったことからDOE3.0%基準で年間103.0円としたが、進行中の2026年3月期もROEは6.0%を下回る見込みであることから、年間配当はDOE3%の105.0円(配当性向99.4%)を予定している。足元の業績は低迷しているが、ROEの改善に向けた資本政策に沿って株主還元を実行している姿勢は、評価に値する。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2025年3月期は前期比52.3%の営業減益、2026年3月期も同21.1%減益を予想
・中期経営計画の目標は一度達成済み、新計画については未定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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