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酒井重 Research Memo(8):発表中の中期経営計画の変更はないが、新中期経営計画については未定(2)
2025/06/09 13:08
*13:08JST 酒井重 Research Memo(8):発表中の中期経営計画の変更はないが、新中期経営計画については未定(2)
■酒井重工業<6358>の中長期の成長戦略
2. 資本戦略
資本政策の基本方針として同社は、ROE8.0%を目標としてそれを支えるための株主還元策を実施するとし、株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。2026年3月期の最終目標として、ROE8.0%かつ配当性向50%を掲げている。
一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、前者の事業利益向上のためには既述のような事業戦略を推進していく計画だが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3~6%の間はDOE(株主資本配当率)3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行する方針だ。
自己株式の取得については、2026年3月期までに5〜20億円規模を上限とした機動的な自己株式の取得を検討するとしている(2022年3月期に340百万円実施)。また、投資有価証券についても、事業戦略の観点から見直しを進める方針だ。なお、成長投資については、投下資本利益率(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。
3. ESGに関する取り組み
同社は、ESGに対しても積極的に取り組んでおり、様々な施策を推進している。特に足元では、以下の施策を進めている。
(1) 効率的な締固め※による施工現場のCO2排出量削減
a) 岡山県の玉島笠岡道路改良工事への自律走行式ローラ(自動運転)の有償貸出を実施
岐阜県新丸山ダム工事案件に続く第2号有償貸出案件である。自律走行式ローラの道路建設工事での活用は全国初で、新技術によるカーボンニュートラルへの取り組みと付加価値提供の両立に注力している。岐阜県加茂郡八百津町の「新丸山ダム」の建設現場において、初の有償・短期レンタルによる機械の提供を実施した。今後、無人化施工の拡大が予想されるなか、ビジネス化に注力していく。
※ 有人作業と比較して約20%の作業省力化が可能になるという実験データがある。
b) インドネシアにおける道路建設への貢献と事業領域の拡大
同社の道路補修技術であるCAE法(路上路盤再生工法)が、JICAのビジネス化実証実験を通じて、インドネシア公共事業省より正式にインドネシア国内での基準工法として承認を取得した。インドネシアの道路インフラの整備、道路舗装の品質向上・長寿命化へ貢献するとともに、同工法に使用される道路維持機械スタビライザ(インドネシアでの現地生産完了)の拡販に注力している。
(2) 政策保有株縮減に向けた取り組み
同社では、資産効率改善のために「政策保有株式に関する方針」を2024年6月に発表し、政策保有株式残高の対連結純資産比率を20%未満とすることを目標に、政策保有株式の縮減を進めている。
この方針に沿って、2025年3月末の政策保有株式残高は5,625百万円(2024年3月末5,993百万円)となり、連結純資産30,130百万円(同29,165百万円)に対する割合は18.7%(同20.5%)となった。今後も、同比率を20%未満とする方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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■酒井重工業<6358>の中長期の成長戦略
2. 資本戦略
資本政策の基本方針として同社は、ROE8.0%を目標としてそれを支えるための株主還元策を実施するとし、株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。2026年3月期の最終目標として、ROE8.0%かつ配当性向50%を掲げている。
一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、前者の事業利益向上のためには既述のような事業戦略を推進していく計画だが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3~6%の間はDOE(株主資本配当率)3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行する方針だ。
自己株式の取得については、2026年3月期までに5〜20億円規模を上限とした機動的な自己株式の取得を検討するとしている(2022年3月期に340百万円実施)。また、投資有価証券についても、事業戦略の観点から見直しを進める方針だ。なお、成長投資については、投下資本利益率(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。
3. ESGに関する取り組み
同社は、ESGに対しても積極的に取り組んでおり、様々な施策を推進している。特に足元では、以下の施策を進めている。
(1) 効率的な締固め※による施工現場のCO2排出量削減
a) 岡山県の玉島笠岡道路改良工事への自律走行式ローラ(自動運転)の有償貸出を実施
岐阜県新丸山ダム工事案件に続く第2号有償貸出案件である。自律走行式ローラの道路建設工事での活用は全国初で、新技術によるカーボンニュートラルへの取り組みと付加価値提供の両立に注力している。岐阜県加茂郡八百津町の「新丸山ダム」の建設現場において、初の有償・短期レンタルによる機械の提供を実施した。今後、無人化施工の拡大が予想されるなか、ビジネス化に注力していく。
※ 有人作業と比較して約20%の作業省力化が可能になるという実験データがある。
b) インドネシアにおける道路建設への貢献と事業領域の拡大
同社の道路補修技術であるCAE法(路上路盤再生工法)が、JICAのビジネス化実証実験を通じて、インドネシア公共事業省より正式にインドネシア国内での基準工法として承認を取得した。インドネシアの道路インフラの整備、道路舗装の品質向上・長寿命化へ貢献するとともに、同工法に使用される道路維持機械スタビライザ(インドネシアでの現地生産完了)の拡販に注力している。
(2) 政策保有株縮減に向けた取り組み
同社では、資産効率改善のために「政策保有株式に関する方針」を2024年6月に発表し、政策保有株式残高の対連結純資産比率を20%未満とすることを目標に、政策保有株式の縮減を進めている。
この方針に沿って、2025年3月末の政策保有株式残高は5,625百万円(2024年3月末5,993百万円)となり、連結純資産30,130百万円(同29,165百万円)に対する割合は18.7%(同20.5%)となった。今後も、同比率を20%未満とする方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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