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加藤製作所 Research Memo(1):「株主などのステークホルダーを意識した経営」を最優先課題として推進
2025/06/10 11:01
*11:01JST 加藤製作所 Research Memo(1):「株主などのステークホルダーを意識した経営」を最優先課題として推進
■要約
加藤製作所<6390>は1895年の創業(個人事業)以来130年の歴史を持つ大手建設機械メーカーである。社会インフラ構築に欠かせない建設機械メーカーのパイオニアとして、現在は建設用クレーンや油圧ショベルを主力として事業展開している。顧客の要望に応えて「頑丈」「力強い」「操作しやすい」といった顧客視点の製品づくりを特徴としており、顧客から高い信頼を得ている。
1. 建設用クレーンと油圧ショベルが主力
建設用クレーンのラインナップはラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、クローラクレーン。油圧ショベル等のラインナップは油圧ショベル、ミニショベル、クローラキャリアである。品目別売上高構成比は建設用クレーンが6割前後、油圧ショベル等が3.5〜4割、海外向けの売上高構成比では海外向けが3割前後で推移している。同社の市場におけるポジションとしては建設用クレーンで大手、油圧ショベルで中堅という位置付けである。なお海外展開については、中国の子会社2社の解散及び清算を決議する一方で、インドではAction Construction Equipment Ltd(以下、ACE)と合弁会社設立に向けた協議を進めており、欧州ではイタリアの子会社KATO IMER S.p.A.(以下、KATO IMER)への出資比率を引き上げた。
2. 2025年3月期は特別損失計上により当期純損失を計上
2025年3月期の連結業績は売上高が前期比7.9%減の52,932百万円、営業利益が同45.4%減の903百万円、経常利益が同45.6%減の1,401百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が6,033百万円(前期は親会社株式に帰属する当期純利益が4,235百万円)となった。売上高は国内大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入遅れ、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国・欧州の油圧ショベル等需要後退などにより減収となった。営業利益と経常利益は減収や原材料価格高騰による影響、棚卸資産評価損計上などにより減益となった。また、特別損失(中国事業の子会社整理損)が生じたため、親会社株主に帰属する当期純損失を計上した。
3. 2026年3月期は大幅営業増益・最終黒字予想
2026年3月期の連結業績予想は売上高が前期比7.7%増の57,000百万円、営業利益が同88.1%増の1,700百万円、経常利益が同14.4%減の1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,200百万円(前期は6,033百万円の損失)を見込む。売上高は国内大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入、期中からのインド事業の寄与等により増収が見込まれる。営業利益は増収効果、売価改善・原価低減・業務効率化効果、棚卸資産評価損の反動等により大幅増益となる見通しだ。経常利益は受取補償金の剥落等により減益を見込むも、親会社株主に帰属する当期純利益は前期計上した特別損失の反動で大幅増益(黒字転換)を予想している。2025年4月に販売開始した国内大型ラフテレーンクレーン新型車の当期生産計画台数のすべてが受注予約済みであり、売価・原価改善効果の進展なども寄与し、収益改善が期待できると弊社では考えている。
4. 新中期経営計画の基本方針
同社は2025年3月に中期経営計画(2025〜2027)を策定し、テーマを「飛躍、そして次の時代へ」とした。基本方針は企業価値の向上、成長戦略の推進と有効投資、収益性の更なる向上、サステナビリティ経営の実践の4つである。計数計画には最終年度2028年3月期の売上高790億円、営業利益36億円、営業利益率4.5%、ROE8.0%を掲げた。株主還元については、1株当たり配当金の下限を70円に設定し、一過性損益を除いた経常利益の30%を目安に配分する方針とした。また、2025年5月14日付で自己株式取得を発表した。今後も業績拡大に伴って株主還元の一段の強化が期待できると弊社では考えている。
■Key Points
・130年の歴史を持つ大手建設機械メーカー、建設用クレーンと油圧ショベルが主力
・2025年3月期は特別損失計上により当期純損失を計上
・2026年3月期は大幅営業増益・最終黒字予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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■要約
加藤製作所<6390>は1895年の創業(個人事業)以来130年の歴史を持つ大手建設機械メーカーである。社会インフラ構築に欠かせない建設機械メーカーのパイオニアとして、現在は建設用クレーンや油圧ショベルを主力として事業展開している。顧客の要望に応えて「頑丈」「力強い」「操作しやすい」といった顧客視点の製品づくりを特徴としており、顧客から高い信頼を得ている。
1. 建設用クレーンと油圧ショベルが主力
建設用クレーンのラインナップはラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、クローラクレーン。油圧ショベル等のラインナップは油圧ショベル、ミニショベル、クローラキャリアである。品目別売上高構成比は建設用クレーンが6割前後、油圧ショベル等が3.5〜4割、海外向けの売上高構成比では海外向けが3割前後で推移している。同社の市場におけるポジションとしては建設用クレーンで大手、油圧ショベルで中堅という位置付けである。なお海外展開については、中国の子会社2社の解散及び清算を決議する一方で、インドではAction Construction Equipment Ltd(以下、ACE)と合弁会社設立に向けた協議を進めており、欧州ではイタリアの子会社KATO IMER S.p.A.(以下、KATO IMER)への出資比率を引き上げた。
2. 2025年3月期は特別損失計上により当期純損失を計上
2025年3月期の連結業績は売上高が前期比7.9%減の52,932百万円、営業利益が同45.4%減の903百万円、経常利益が同45.6%減の1,401百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が6,033百万円(前期は親会社株式に帰属する当期純利益が4,235百万円)となった。売上高は国内大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入遅れ、前期の東南アジア向け建設用クレーン大口案件の反動、米国・欧州の油圧ショベル等需要後退などにより減収となった。営業利益と経常利益は減収や原材料価格高騰による影響、棚卸資産評価損計上などにより減益となった。また、特別損失(中国事業の子会社整理損)が生じたため、親会社株主に帰属する当期純損失を計上した。
3. 2026年3月期は大幅営業増益・最終黒字予想
2026年3月期の連結業績予想は売上高が前期比7.7%増の57,000百万円、営業利益が同88.1%増の1,700百万円、経常利益が同14.4%減の1,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,200百万円(前期は6,033百万円の損失)を見込む。売上高は国内大型ラフテレーンクレーン新型車の市場投入、期中からのインド事業の寄与等により増収が見込まれる。営業利益は増収効果、売価改善・原価低減・業務効率化効果、棚卸資産評価損の反動等により大幅増益となる見通しだ。経常利益は受取補償金の剥落等により減益を見込むも、親会社株主に帰属する当期純利益は前期計上した特別損失の反動で大幅増益(黒字転換)を予想している。2025年4月に販売開始した国内大型ラフテレーンクレーン新型車の当期生産計画台数のすべてが受注予約済みであり、売価・原価改善効果の進展なども寄与し、収益改善が期待できると弊社では考えている。
4. 新中期経営計画の基本方針
同社は2025年3月に中期経営計画(2025〜2027)を策定し、テーマを「飛躍、そして次の時代へ」とした。基本方針は企業価値の向上、成長戦略の推進と有効投資、収益性の更なる向上、サステナビリティ経営の実践の4つである。計数計画には最終年度2028年3月期の売上高790億円、営業利益36億円、営業利益率4.5%、ROE8.0%を掲げた。株主還元については、1株当たり配当金の下限を70円に設定し、一過性損益を除いた経常利益の30%を目安に配分する方針とした。また、2025年5月14日付で自己株式取得を発表した。今後も業績拡大に伴って株主還元の一段の強化が期待できると弊社では考えている。
■Key Points
・130年の歴史を持つ大手建設機械メーカー、建設用クレーンと油圧ショベルが主力
・2025年3月期は特別損失計上により当期純損失を計上
・2026年3月期は大幅営業増益・最終黒字予想
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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