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ピー・シー・エー:ストック収入8割の独立系ソフトウェアメーカー、クラウド・サブスク移行の加速を目指す

*09:24JST ピー・シー・エー:ストック収入8割の独立系ソフトウェアメーカー、クラウド・サブスク移行の加速を目指す
ピー・シー・エー<9629>は、中小・中堅企業向けの基幹業務ソフトウェア(会計・給与・販売管理など)を自社開発・販売する独立系ソフトウェアメーカーである。1980年設立以来、会計事務所出身者らが中心となって中小企業向け業務パッケージソフトを提供してきた。同社の主力製品は、財務会計や給与計算、人事管理、販売在庫管理などをカバーし、オンプレミス型とクラウド型の両方を展開している。2008年には業界に先駆けてクラウドサービス「PCAクラウド」を開始し、現在では2万社超の導入実績を持つ。同社のクラウド製品は、公益法人を含む多様な業種で導入が進んでいる。2023年にはサブスクリプション型オンプレミス製品「PCAサブスク」の提供を開始し、既存ユーザーのスムーズな移行を支援している。加えて、PCA IDやPCA Hubシリーズといった新たなサービス群を通じて、企業の業務効率化と法制度対応を一体で支援するエコシステムの構築を進めている。

2025年3月期の売上構成比はクラウドサービス収入57.7%、保守サービス22.9%、ソリューション等12.5%、その他(商品・製品)6.9%となっている。また、ストック比率は80.6%まで上昇しており、業績の安定性が高まっている。特にクラウドサービスは、月額課金モデルを採用し、継続的な利用によって毎月安定した収益を生み出す点が特徴である。同業他社には、オービックビジネスコンサルタント(OBC)<4733>、弥生、応研、OSKなどが挙げられる。マネーフォワードやfreeeといった新興クラウド会計ベンダーは小規模事業者を中心とした市場に注力しており、同社の中堅企業市場とは対象顧客が異なる。

同社の最大の強みは、40年以上にわたる開発実績と約24万社に及ぶ顧客基盤にある。法改正や社会的制度変化への対応の早さ、価格帯の低さ、安心感のあるサポート体制、販売パートナー網の広さ、そして高い財務健全性に裏打ちされた経営基盤が、他社との差別化ポイントである。とりわけ、ユーザーサポートや導入支援といったアフターサービスの品質が高く評価されており、顧客満足度の高さが長期的なリテンションにつながっている。

2025年3月期の売上高は16,237百万円(前期比8.1%増)、営業利益は2,637百万円(同14.2%増)で着地した。クラウド/サブスクサービスは、DXニーズの高まりにより、オンプレミスのクラウドシフトの市況が堅調に推移するなか、価格改定効果、サブスク移行が増加した。保守サービスも前期末のオンプレミス製品販売終了に伴う駆け込み需要の影響が奏功した。重要業績指標(KPI)は、課金契約数3.5万件(同25%増)、ARR98.9億円(同18%増)、チャーンレート0.24%、ARPU27.9万円(同1.9万円減)。ARPUは低価格サービスの増加による影響からやや低下した。

2026年3月期の売上高は17,689百万円(前期比8.9%増)、営業利益2,824百万円(同7.1%増)を見込む。特需の一巡後も堅調な拡大が見込まれている。開発投資を継続しつつ、次世代ソリューションの普及により安定した成長を目指す方針である。DXニーズの高まりを背景に、PCAクラウド、PCAサブスクの浸透、「PCA Hub」シリーズの拡充がクラウドシフトを後押し、契約単価の向上を狙うほか、その他販管費は人員増加やシステム利用費用、販促費は全国イベントを強化し、前期微増の利益を見込んでいる。

国内中小企業を取り巻く環境は、少子高齢化や人材不足を背景に、業務効率化・省力化が喫緊の課題となっている。これに伴い、IT導入やバックオフィス業務のクラウド化が進展しており、クラウドERPやクラウド会計ソフトの市場は拡大基調にある。また、国による中小企業支援策やデジタル化支援(IT導入補助金など)も追い風となっている。加えて、電子帳簿保存法やインボイス制度などの制度改正が業務システム更新の契機となり、各社がクラウド対応を急いでいる状況にある。これら制度対応のニーズは一巡するものの、今後も業務のデジタル化は中小企業経営の必須要素となるため、業界全体としては引き続き安定的な需要が見込まれる。

同社は中期経営計画において、2028年3月期に売上高220億円以上(うちストック収入180億円以上)、営業利益40億円以上、営業利益率18%以上、ROE10%以上という目標を掲げている。主力製品群のクラウド・サブスク移行を加速し、ストック収益基盤の拡充を最優先課題とする。具体的には、「PCAサブスク」や「PCA Hub」などの新製品群を軸に、顧客のDX推進を支援するソリューション提供型ビジネスモデルへの転換を進めている。また、HR領域への進出やAI活用による業務効率化支援など、周辺領域の展開も視野に入れている。2024年にはコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)設立を発表し、新たな技術との連携や非連続的な成長にも取り組む姿勢を示している。

株主還元では、ROE10%超まで配当性向100%を実施し、資本効率性の向上を図る方針。ROE10%達成後も累進配当を基本とするようだ。2026年3月期の期末配当は前期末87円から95円に増配、配当性向100.4%となる予想である。



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