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ワコム Research Memo(6):『究極の「かく」体験を追求する道具屋』として、さらなる企業価値向上を目指す

*13:36JST ワコム Research Memo(6):『究極の「かく」体験を追求する道具屋』として、さらなる企業価値向上を目指す
■ワコム<6727>の新中期経営計画「Wacom Chapter 4」

1. 新中期経営計画「Wacom Chapter 4」の概要
2025年5月9日に4ヶ年の新中期経営計画「Wacom Chapter 4」を公表した。「引き続き「ライフロング・インク」のビジョンを継承するともに、同社を『究極の「かく」体験を追求する道具屋』として定義し、「描く」「書く」を極め、その先の「かく」を拓く」(広義の「かく」体験の実現)をミッションとして、さらなる企業価値向上の実現を目指す。その実現のために「(1) コミュニティとともにユースケース領域の開発 → (2) 新方式ペン技術の導入を含む同社の持つ要素技術の統合+資本提携を含むコミュニティとの技術体験の共創 → (3) ソリューションポートフォリオ(完成品・技術モジュール・プラットフォーム・インクサービス技術)への進化 → (4) 事業セグメントの集約を想定した新組織構造「インキングエクスペリエンスサポートグループ)」による体験価値の提供」という4つのプロセスによる価値提供の循環を推進する。特に1) については、ポテンシャルが大きな「創る(Creation)」「学ぶ/教える(Learning/Teaching)」「働く/楽しむ、 その先へ(Work/Play & Beyond)」「より人間らしく生きる(Well-being)」として、ユースケース領域※に積極投資を行う。2) については、引き続き新コア技術(AI、セキュリティ、XR)をペン体験に統合するとともに、各パートナーとの共創により技術開発の商用化(実装)を実現する。

※ 教育、日常業務のワークフロー、医療分野のDXなどが想定される。

2. 数値目標
最終年度(2029年3月期)の数値目標として、売上高1,500億円(2025年3月期比343.2億円増)、営業利益150億円(同47.9億円増)を掲げた。また、資本効率性も重視し、同社試算の推定値※をそれぞれ大きく上回るROE 20%以上、ROIC 18%以上を目指す。売上高の増加分(343.2億円増)については、外部要因(円高・米国関税影響)によるマイナスの影響(115億円減)を事業成長(458億円増)でカバーするシナリオである。具体的には、「ブランド製品事業」における構造改革完了後の商品ポートフォリオ強化(113億円増)のほか、「テクノロジーソリューション事業」における既存事業の安定成長(195億円増)と新規事業分野(教育・医療・DX支援等)からの収益貢献(150億円増)が、トップラインの伸びをけん引する。営業利益の増加分(47.9億円増)については、外部要因(同上)によるマイナスの影響(30億円減)を事業構造改革効果(29億円増)と事業成長(53億円増)でカバーするシナリオだ。事業成長については、「ブランド製品事業」の商品ポートフォリオ強化(12億円増)のほか、「テクノロジーソリューション事業」の既存事業の伸び(27億円増)と新規事業の貢献(14億円増)という内訳となっている。

※ 同社は株主資本コストについて、CAPM推計や市場の期待水準(株式益利回りの水準)を踏まえて8%〜10%程度、資本コスト(WACC)は 7%~9%程度と推計している。

3. 資本政策及び成長投資の内訳
4年間の営業キャッシュ・フロー(R&D控除前)を累計940億円と見込む一方、その資金をR&Dと設備投資(合計620億円)やM&Aを含む技術資本提携(120億円以上)に投入するほか、株主還元(総還元性向50%以上)にもバランスよく配分していく。また、技術資本提携の進捗状況や株価水準を踏まえて、追加的な株主還元への活用も検討するとしている。

4. 株主還元策
新たな株主還元策についても公表した。年間22.0円を下限とした累進配当※をベースとして機動的な自己株式取得を組みわせることにより総還元性向50%以上を目指す。また、これまで期末の年1回であった配当を年2回(中間期と期末)に分割して実施する方式に変更した。特徴的なのは、累進配当方式への変更である。安定的かつ継続的な増配をコミットした株主にとって魅力的な配当政策と言えるが、今後の利益成長への自信の表れとも捉えることができるだろう。自己株式の取得については、投資機会、資本効率、株価水準等を総合的に勘案して機動的に実施する方針としている。

※ 毎年増配、または最低でも横ばいの水準で配当し続ける配当方式。

5. 弊社による戦略評価
エントリー領域での苦戦が続く一方で、デジタルペンやインクが持つ可能性は各方面で広がっており、同社が大きく成長するための転換点にあると弊社では捉えている。したがって、各技術要素の統合やパートナーとの共創を通じて、ポテンシャルの大きな事業ドメインを切り開いていく戦略はスケール感があり、かつ理にかなった戦略であると評価できる。革新的な価値創出となる分野ゆえ、本格的な商用化に向けた時間軸は現時点で不透明な部分が大きいが、この新中期経営計画期間中にどこまで具体的なソリューションを形にできるかが今後の注目点である。もちろん、想定よりも早く立ち上がってくれば計画のアップサイドとなる可能性も十分に考えられる。各事業ドメインにおいて同社の持つ技術がいかに評価され、活用される余地があるのか、事業ドメインのどこに事業機会を見出していくのかなど、これから徐々に具体的な姿が見えてくるだろう。また、どのようなパートナーと組んでいくのかも同社に対する技術的評価やビジネスの具現性を判断するうえで重要な材料となるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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